花背山の家入所ハイキング自然観察

伏見中学校と西京極中学校の理科部は1994年から花背山の家を利用して、自然観察を目的とした夏期合宿を実施しています。自然観察は天体観望や天体写真の撮影が目的ですが、花背山の家入所ハイキングを利用して北山の自然を観察しています。8月の上旬から下旬にかけて過去6回実施していますが、毎回観察できる動植物が違い自然の多様性や季節感を感じるところです。普通に歩けば1時間ぐらいのコースですが、ゆっくり動植物を観察しながら3時間ぐらいかけて歩きます。

ハンキング入り口 平坦な林道 ここより急な登り
       

花背峠のバス停を下り、進行方向を10mぐらい進むと入所ハイングの入り口があります。山道は平坦で歩きやすく、左は比較的明るい杉林で右手の崖ではいろいろな植物を観察することができます。 急な登りにさしかかると今まであった下草が極端に少なくなります。この林は檜の林で杉林との違いを観察することができます。

丹波山地の準平原地形 尾根近くの赤松林 尾根道のクマザサ

急な坂道を登ると眼下に花背の集落を見ることができます。遠くには北山の山並みを見渡すことができます。北山は丹波山地を形成していて、400mと800mと高さがそろっています。この丹波山地は海で堆積した地層が隆起し、長い間に風化と浸食作用を受け、平坦な準平原ができ、現在も風化浸食を受け谷が刻まれたことを説明します。尾根道には日なたを好む赤松などの木が目立ち、北山らしいクマザサの道が続きます。原始的なシダ植物であるヒカゲノカズラやクラマゴケ、サルトリイバラなどを観察することができます。

杉の峠から見る琵琶湖 杉の峠のチャートの地層 ノリウツギ

杉林を登ると杉の峠にでます。遠く眼下に琵琶湖を見ることができます。杉の峠ではNTTの鉄塔を左手に見ることができます。近くにはチャートの地層を観察する事ができます。丹波山地は中生代・古生代に深海で堆積した放散虫というプランクトンが堆積してできたチャートという堆積岩の観察をします。また、この地層の褶曲していることや、チャート層の上に堆積している黒土の層が数cmしかなく、植物が育つために必要な表土の重要性について説明します。比較的平坦な林道を歩くと北の方角に蓬莱山を見ることができます。ここで比良山地の隆起や京都盆地の沈降の地形の成り立ちや花折断層の話をします。ノリウツギやゲンノショウコ、クロモジ、ヤマジノホトトギス、ツリフネソウなど多くの植物の観察をすることができます。

ヤマジノホトトギス ヒカゲノカズラ クラマゴケ

大見尾根からわさ谷をおりると花背山の家に着く。わさ谷には小川が流れていて、リョウメンシダ、ジュンモンジシダ、クサシダなどのシダ植物やカジカガエルなどの小動物の観察をすることができます。

ジュウモンジシダ ミズヒキ ゲンノショウコ