キャッシュ・フロー計算書 60

キャッシュ・フロー計算書の作成方法には、直説法と間接法があります
間接法では、損益計算書の税金等調整前当期純利益に、資金の収支に関係しない金額を加減算してキャッシュ・フロー計算書を作成します
間接法によるキャッシュ・フロー計算書の作成についての解説はここでは行いません、「展開一番」のアウトサイド処理で対応可能です
間接法によるキャッシュ・フロー計算書は、実務的に定着していますが、これは「公表財務諸表として」という限定が付きます
間接法によるキャッシュ・フロー計算書は、経営管理的には役に立ちません、税金等調整前当期純利益に売掛金や未払費用等の増減を加減算して資金残高を計算しても、製品売上で幾らの資金流入があり、給料等で幾らの資金流出があったのかには答えてくれないからです
ここでは直説法によるキャッシュ・フロー計算書の作成について解説します
なお、この手順は、資金収支計算書の作成や、現金預金勘定の分析などに応用できることにも留意してください

1.資金Codeのセット
「展開一番」は、Ver.2.XX以降、仕訳ファイルの構成を拡張しています
資金Codeのセット方法が異なるので、それぞれの場合について解説します
【二科目仕訳の場合】
科目マスタに資金Code(MA_CFCodeD/MA_CFCodeC)を登録すると、仕訳データの資金Code欄(J_DCF/J_CCF)にその値を自動的にセットすることができます
「Set7JCF12XJ_RYA」スクリプトは、資金科目(科目区分MA_Classが12の科目、科目マスタの作成を参照のこと)の相手科目の資金Codeがゼロのとき、当該科目に登録してある資金Codeをセットします
例えば、短期借入金〔0〕/当座預金〔0〕−〔〕内は資金Code−のとき、科目マスタの短期借入金の借方資金Codeが500(借入返済)、貸方資金Codeが501(借入収入)であれば、当該仕訳は短期借入金〔500〕/当座預金〔0〕になります
科目マスタの資金Codeを仕訳データにセットする条件は以下のようになります
1科目マスタに資金科目を登録している
2科目マスタに資金Codeを登録している
3貸借いずれかの科目が資金科目である
4資金Codeをセットする科目の資金Codeがゼロである
資金Codeにゼロをセットするには、「Set7V12XJQ_Tag」スクリプトを使用します、使い方は「スクリプト」の「スクリプト詳解」をご覧下さい
【一科目仕訳の場合】
科目マスタに資金Code(MA_CFCodeD/MA_CFCodeC)を登録すると、仕訳データの自資金Code欄(J_XCF)にその値を自動的にセットすることができます
「Set7JCF12XJ_RYA」スクリプトは、自資金Code欄が特定値のとき、科目マスタに登録してある自科目Codeに対応する科目マスタの資金Codeをセットします、この特定値はユーザが自由に決めることができ、引数としてスクリプトに渡します
Set7JCF12XJ_RYA(99)とすれば、自資金Codeの値が99のときだけ、自資金Codeが自動的に置き換わります
仕訳貸借区分(J_XDC)の値により、科目マスタの貸借いずれかの資金Codeが自動的にセットされます
例えば、短期借入金の借方資金Codeが500、貸方資金Codeが501であれば
YYYYMMDD,短期借入金〔99〕,D...という仕訳は、YYYYMMDD,短期借入金〔500〕,D...となります

2.資金Code別金額集計
資金Code別に金額を集計することができます
「Sum7JCF1WXJ2ZLT」スクリプトは、仕訳抽出ファイルから資金Code別に金額を集計し、その結果を集計リストファイル(ZList_hhhh.txt)に書き出します
集計リストファイルには、以下のフォーマットで記録されます
最初に、標題と作成年月日,次の行からDr(Cr)Code,CashflowCode,集計金額

以下に、集計リストの一部を記載します
------------------------------------------------------------
Cashflow Code Summary Sheet 2016/6/30 14:8:22
------------------------------------------------------------
Dr.Code,0,15154339
Dr.Code,1012,10
Dr.Code,1014,10094829
Dr.Code,1022,45464
Dr.Code,1032,1501523
Dr.Code,1052,24064
------------------------------------------------
キャッシュ・フロー計算書(直説法)は、これらのデータから作成することができます(資金Codeゼロは無視します)
資金Codeゼロは集計対象外ですが、貸借合計金額確認のために記載しています
展開一番Ver.6.03 から、スクリプト「Set7N12t1F_FileX」が追加され、資金Codeに対応する名称を自動的に付加できるようになりました
上記スクリプト実行後の集計リストは以下のようになります
--------------------------------------------------------------------
ZList Line No. 125〜152 Date 20160711 14:21
--------------------------------------------------------------------
Dr.Code,0,N/A,15154339
Dr.Code,1012,原材料仕入支出,10
Dr.Code,1014,商品仕入支出,10094829
Dr.Code,1022,人件費支出,45464
Dr.Code,1032,その他の営業支出,1501523
Dr.Code,1052,利息の支払額,24064

3.二科目仕訳作成上の留意事項
キャッシュ・フロー計算書(直説法)作成のため、資金Code別の合計金額を計算する場合、仕訳の作成に留意する必要があります
「展開一番」の仕様では、資金科目の相手勘定の金額を集計対象とするので、以下の仕訳を起こすと正確な集計ができません

給与 100 預金 85
立替金 10 源泉税預り金 20
(N/A) 0 従業員貸付金 5
源泉税預り金 20 預金 20
旅費交通費 10 立替金 10
ここで計算されるのは、給与の借方資金Code(人件費支出100)と、源泉税預り金の借方資金Code(預り金支出20)だけになります
これでは、内容もさることながら支出額(105)にも一致していません
したがって、上記の仕訳は、資金Code集計規則を考慮して、以下のように修正する必要があります

給与 100 預金 100
預金 20 源泉税預り金 20
立替金 10 預金 10
預金 5 従業員貸付金 5
源泉税預り金 20 預金 20
預金 10 立替金 10
旅費交通費 10 預金 10
給与の借方資金Code(人件費支出100)は変わりませんが、源泉税預り金の借方資金Code(預り金支出20)と貸方資金Code(預り金収入20)が同額計算されます、立替金も同様です
上記の他、従業員貸付金の貸方資金Code(貸付金収入5)と、旅費交通費の借方資金Code(営業費支出10)が計算され、貸借同額の仮勘定を除けば、資金の収支は、人件費支出100、営業費支出10、貸付金収入5、キャッシュ・アウトフローは105となります

資金Code集計規則を考慮した仕訳を幾つか、参考までに記載します

・固定資産の売却処理
固定資産未決済 10 固定資産 100
減価償却累計額 50 (N/A) 0
固定資産売却損 40 (N/A) 0
預金 10 固定資産未決済 10
固定資産未決の貸方資金Codeを「固定資産売却収入」とします

・売掛金と買掛金の相殺処理
預金 100 売掛金 100
買掛金 10 預金 10
売掛金の貸方資金Codeを「営業収入」、買掛金の借方資金Codeを「仕入支出」とします

4.一科目仕訳作成上の留意事項
一科目仕訳では、自資金Code(J_XXF)について金額の集計が行われます
二科目仕訳と異なり、相手科目が資金科目であるかどうかのチェックは行ないません
したがって、自科目Code(J_XA)に付ける自資金Codeが適切で、かつ、金額(J_XAmt)が正しいことをユーザ側で管理する必要があります
仕訳作成上の留意点は、二科目仕訳と同様ですから、上記を参考にしてください

Last Update 2022/02/14