元帳と補助元帳 20

「展開一番」は、仕訳科目で運用する仕様になっています
仕訳科目を統合して表示する処理は、アウトサイド処理として分離する方針を採っています
規模の大きな法人、非営利法人では科目の階層が深くなる傾向があります
例えば、現金預金−預金−普通預金−普通○銀行△支店−普通○△×口座(仕訳科目)
このような場合、現金預金と預金は決算書表示上の科目の組み替えであり問題はありませんが、預金以下の元帳と補助元帳の関係は相対的であり、どのレベルの科目を元帳とするかは法人の判断に任されています
ここでは、仕訳科目レベル元帳の作成、複数の仕訳科目を統合した元帳の作成、元帳の一括作成を解説します

1.仕訳科目レベルの元帳作成
仕訳科目の元帳を作成する手順は以下のようになります
註)スクリプト名は「展開一番 Ver.7」以降のものです

1仕訳ファイルから元帳作成期間の仕訳を抽出します(Sel9MA1XJ2WXJ_SetV)
2元帳ファイルを作成し指定科目の試算表の開始残高を開始行に転記します(MkF7BgF12ZGL)
3仕訳抽出ファイルから元帳科目を持つ仕訳を再抽出します(Sel1WXJ2WGL)
4仕訳フォーマットを元帳フォーマットに変換します(Con12WGL_FormGL)
5上記ファイルを元帳ファイルに追加し、各行ごとに残高欄を計算します(Apd7WGL9Bal12ZGL)

元帳ファイル作成スクリプトの引数は科目Codeになります
作成される元帳ファイルは、「ZGL_hhhh_aaaa」(hhhh:法人番号、aaaa:科目Code)になります
元帳ファイルのフォーマットは、「会計日,伝票番号,摘要,相手科目,借方,貸方,残高」です
元帳の開始行(開始残高)を転記するスクリプトでは、試算表ファイルの開始残高欄の残高を転記する仕様となっているため、試算表と仕訳抽出期間の整合性に留意する必要があります
例えば、7月1日から9月30日までの元帳を作成する場合は、開始残高が6月30日の試算表を作成し、仕訳抽出期間を7月1日から9月30日までとします
貸借同じ科目Codeを持つ仕訳は、貸借金額がそのまま引き継がれ、同一行に記載されます
消費税込みで仕訳を作成していて、消費税抜きの元帳を作成する場合は、消費税の税抜き処理を行った後に、試算表と元帳を作成します

2.複数科目の元帳
複数の仕訳科目を纏めた元帳−例えば、預金A1〜預金Anまでを纏めた預金A元帳−を作成する手順は以下のようになります

前提条件
期間:第V四半期
預金科目:科目Code1100〜1190
仕訳タイプ:「二科目仕訳」(「一科目仕訳」は都度コメントを付ける)
1.第V四半期の試算表を作成する(手順は省略)

2.元帳の開始行を作成する(この事例では第二四半期末残)
-----------------------------------------
require "t1.rb"
MkF7BgF1ZTB2ZGL(1100)
Apd7BgF12ZGL_ZTB(1100,1120)
Apd7BgF12ZGL_ZTB(1100,1130)
以下同様に1190まで追加する
-----------------------------------------

3.第三四半期の預金科目を抽出する
科目Code 1100〜1190(複数預金科目) の仕訳を抽出します
一科目仕訳のときは第一パラメタの "J_A" を "J_XA" にします
この後、仕訳抽出ファイルを元帳様式に変換するので、ファイル名をWXJからWGLに変更しておきます
ファイル名の変更は「Ren12t1F」で行いますが、第三バラメタで最初の預金科目Codeを指定します
-----------------------------------------
require "t1.rb"
Sel2WXJ("J_A",1100,1190)
Ren12t1F("WXJ","WGL",1100)
-----------------------------------------

4.抽出した仕訳を元帳フォーマットに変換します
-----------------------------------------
require "t1.rb"
Con12WGL_FormGL(1100,1190,"")
-----------------------------------------
第三パラメタは、一科目仕訳のときは「""」を
二科目仕訳の時は「"J_XCA"」(これは例示、他のタグでも可)とします

5.元帳の開始行に抽出した仕訳を追加し残高を計算し完成させる
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require "t1.rb"
Apd7WGL9Bal12ZGL(1100)
-----------------------------------------
試算表の残高と一致することを確認する


科目Codeの置き換えは、元帳対象科目(複数の仕訳科目)の抽出に利用するために行います
したがって、他に存在しないCodeを指定する必要があります
ここで指定するCodeは科目マスタに登録されている必要はありませんが、元帳対象科目間の振替仕訳では、置き換えた科目Codeが相手科目Codeになることに留意してください
例えば、普通預金A銀行(科目Code111101)から普通預金B銀行(科目Code111102)に資金を移動する仕訳の場合、これらの科目Codeを「99」に置き換えると、普通預金元帳の当該取引欄の相手科目は「99」になり、置き換えるCodeを「1111」にすると、相手科目は「1111」になります、どちらを採るかはユーザの判断によります
なお、上記の場合、元帳の同一行に貸借同額が記載される仕様になっています

3.元帳の一括作成
複数の元帳を一括して作成するには、試算表の作成は終了しているものとして、「仕訳科目レベルの元帳作成」の手順2〜5のプロセスを繰り返すことになります
これらのスクリプトで必要となる引数は、元帳作成期間と科目Codeです
元帳作成期間は、基本マスタにその値をセットすることができます
科目Codeは、元帳リスト(既定のファイル名は LGL_hhhh.txt)で準備することにします
元帳リストは、元帳作成科目の科目Codeを記載した以下のようなテキストファイルです
#---------------
1010
1011
1012
1014
(以下、略)
#---------------

元帳を一括作成する手順は以下のようになります

1基本マスタから元帳作成期間を取得します
2上記元帳作成期間をグローバル変数にセットします
3元帳リストから最初の科目Codeを取得します
4上記2と3のデータから、「仕訳科目レベルの元帳作成」の手順2から5を実行します
5元帳リストから次の科目Codeを取得し、4を実行し、科目Codeがなくなるまで繰り返します

繰り返し処理は数行のスクリプトで記述することができます、実際のスクリプトは「サンプルスクリプト」をご覧ください

Last Update 2022/01/25