イタリア編3 (ヴェネツィア・ベネト地方)

2018年、僕はヴェネツィアと、ヴェネチア周辺の都市、トレヴィーゾ、ヴィチェンツァ、ヴェローナ、パドヴァを巡る旅に出ました。
久しぶりに訪れたヴェネツィアは、水の都と言われるのにふさわしく、世界中にここにしかない魅力を持った都市でした。車も、自転車さえも通らない道は、いくつもの運河と組み合わされて、迷路のような不思議な空間を作り出しています。

ヴェネチア周辺のヴェネト地方の都市も、その歴史の中で常にヴェネツィアとの関係を保ちながらも、それぞれに独特な個性を持った街でした。


ヴェネツィアの街の中を大きくS字型に貫くカナル・グランデ(大運河)が南側で海につながるあたりに、ヴェネツィアの中心、サン・マルコ広場があります。

この写真は、その対岸にあるサン・ジョルジオ・マジョーレ聖堂の塔の上から撮ったもの。右側にパラッツオ・ドッカーレ、左にマルチャーナ図書館の建物に囲まれて、その間のピアツェッタ・サン・マルコ(小広場)と鐘楼が見えています。

サン・マルコ広場の正面に見えるのは、ヴェネツィアの守護聖人、サン・マルコを祭るサン・マルコ寺院

日中は観光客で大変な賑わいのサン・マルコ広場も、夜遅くで雨も降っていたのでひっそりと良い感じでした。

カナル・グランデに面して、かっての貴族たちの館が軒を連ねています。ヴェネツィアでは、あくまでも運河に面している方が正面なので、その華麗なファサードをカナル・グランデを通る水上バスから眺めることが出来ます。

左に見えるのがヴェネツィアの魚市場。魚市場にしておくのがもったいないほど立派な建物です。グラン・カナルと、脇の小運河に面していて、商品の荷揚げ、積み込みのための階段が付いているところも、交通手段が船というヴェネツィアらしいところ。

街の中程にも小さな運河が縦横に走り、道路が無くて船でないと行けないような建物もある。ゴンドラは観光用としても、ヴェネツィアの旅情を誘います。

迷路のような道を歩いていると時々小さな広場に行きあたります。道路と同じように運河もこんなところでは交差して、いくつもの橋が架かり、独特な風景を見せています。広場には必ずカフェやレストランがあって、市民の憩いの場所となっています。


ヴェネツィアから列車で1時間ほど西へ行ったところに、ルネッサンスの建築家アンドレア・パッラーディオが活躍した、ヴィチェンツァの町があります。旧市街地は800m×800mほどの小さな街ですが、多くのパッラーディオ設計の建物を見ることのできる美しい街でした。

その町の中心、シニョーリア広場には彼の設計した通称「バジリカ」と呼ばれる真っ白な美しい建物があり、夕方ともなると街の人たちがカフェでコーヒーや軽いお酒を飲みながら話に花を咲かせます。僕はここに4日ほど滞在しましたが、この町がすっかり気にいってしまいました。 

街のメインストリート、パッラーディオ大通りは、メインストリートと言っても800mほどの長さですが、両側にはルネッサンスの美しい建物が立ち並び、夕方になるとショッピングの人たちで賑わいます。 

ヴィチェンツァ滞在中に1日、レンタル自転車を借りて、町の南、マドンナ聖地巡礼教会のあるモンテ・べリコの丘に登ってみました。

そこからは、ヴィチェンツァの街の美しい眺望が得られるのですが、途中の急な坂道の脇には、このようなポーティコ(屋根のある通路)が延々と続いていました。


ヴィチェンツァからさらに西へ列車で30分程の所に、ローマ時代から続く古都、ヴェローナがあります。

町の中心シニョーリア広場には、かっての街の支配者スカラ家の館があり。広場の中央に立つのは、この地に亡命したダンテの像。

シニョーリ広場とエルベ広場に面してある、ラジェーネ宮の一角に、12世紀に建てられたランベルティの塔があります。1779年に増築されて84mの高さがあるということですが、今ではエレベーターで展望台まで上がることが出来ます。

ランベルティの塔の展望台からは、ヴェローナの街を一望に見渡すことが出来ます。写真は眼下に見える、エルベ広場。

エルベ広場では、午前中いっぱい市が建っていて、買い物客で賑わっていました。

ヴェローナの街には、アレーナと言われる、古代ローマの円形闘技場があります。ローマのコロッセオに次いで大きな規模だと言われています。


ヴェネツィアのラグーナに注ぎ込む川のひとつ、シーレ川を30Kmほど遡ったところに、シーレ川沿いの美しい街、トレヴィーゾがあります。

トレビーゾは城壁と濠によって囲まれた東西1.5Km、南北1Kmほどの小さな街ですが、その中を3本の運河が流れていて、何処にいても水音が聞こえるような水の町と言えます。

建物の下を運河が流れているというか、運河の上に家が張り出しているような風景をよく見かけます。それだけ身近に水があるという感じで、水量も豊富で、思っていたよりも運河の水の流れが速いことに驚かされます。

ヴェネト地方の町ではどこでも、建物の1階部分が歩道になっている、ポーティコと呼ばれる形式になっています。この日も、雨が降ったり止んだりというお天気だったのですが、このポーティコのおかげで濡れることもなく街歩きが出来てとても便利でした。