中国 編

1994年の5月に僕は友人達と中国へ行き、北京、上海、そして蘇州と巡りました。その友人の奥さんが北京の出身だったので、短い滞在だったけれど興味深い旅になりました。
日本のすぐ隣(成田から上海までは、たったの2時間でした。)で昔から文化の交流の盛んな国なのに、日本とは文化の成り立ち方が、根本から違うことに驚きました。僕の専門の建築にしても、似ているようでずいぶん異なった美意識の上に成り立っているように思えました。


故宮の建物の軒先には動物達が並んでいた。何かの魔除けのようなものなのだろうけれども、調べようと思ってそのままになっている。

北京の裏通りの朝市。色とりどりの野菜や魚、香辛料を売っていた。市場を見るとその街の人々の暮らしがよくわかる。

北京の胡同(フートン)と呼ばれる裏町。家々は道路に対して閉ざして、内側の中庭に向かって開く、四合院と呼ばれる形式の閉鎖的なプランで、構造も煉瓦や石を積んだもので、日本の下町とはずいぶん様子が違う。

食事に行った四川飯店の建物。元の貴族の屋敷をレストランにしたもので、中庭がいくつも続く、四合院形式の立派な建物だった。

中庭にいたときに、たまたま通りかかった人が、ここの社長さんで
(といっても社会主義の国らしく、四川から来たお役人ということだったけれど) 建築に興味があるというと、親切に中を案内してくれました。

蘇州の運河に面した町並み。

蘇州は街の中を縦横に運河が走っていて、東洋のベニスとも呼ばれているらしい。もっともベニスとはずいぶん感じが違うけれども、運河を利用して、農産物の集散地として栄えたところ。

白い壁と、黒い瓦屋根の町並みはモノトーンで、写真を撮るとみんないかにも水墨画のようになる。

町中の、運河に面した船着き場。

蘇州は有名な庭園を持つ寺院が多いことでも知られている。この庭の土塀が土地の起伏にあわせてリズミカルに庭を囲い込んでいるところがとても美しく、案内してくれた上海の青年、小兵(シャオピン)さんにそういうと、Like a Musicと彼は言った。中国の建築は中国の音楽のように、日本の建築は日本の音楽のようにあるのかもしれないとそのときは思った。

上海の中心部、南京路と外灘の裏あたりの早朝の風景。通勤の自転車の群を除けば、建物はまるでローマの町並みのよう。

戦前のフランス人の居留地だった、フランス租界の街並み。