赤瀬川原平基礎講座

最近また赤瀬川原平がマイブーム。勝手にいろいろまとめてみました。

※文中紹介する書籍について、特にことわりのないものの著者はすべて赤瀬川原平です。また、[amazonで購入]amazon.co.jpで、[bk1で購入]bk1でその本を購入できるマークです。

略歴トマソン路上観察學会千円札裁判小説・エッセイネオ・ダダとハイレッドセンター

略歴

 本名、赤瀬川克彦。1937年3月27日生まれ。武蔵野美術学校中退。芸術家(画家、作家)。ネオ・ダダハイレッドセンタートマソン観測センター、路上観察學会、ライカ同盟などの活動を経て今に至る。千円札裁判被告。

トマソン

 「建築物に付着して美しく保存されている無用の長物」のこと。建物の入口へ上がる階段が、何らかの事情で入口が封鎖されたあともそのまま保存されているようなものがある。階段としての実用的機能を失いつつ、壊れた手すりが補修されるなどして存続し、無用的機能を発揮している。これは作り手にその意識がなく、観測者が「発見」する種類の芸術作品であることなどから「超」芸術と呼ばれた。のちにこれらは「トマソン」と命名されることになる。トマソンの由来は、「超芸術」の観測が活発になった当時、鳴り物入りで巨人軍入りしたもののさっぱり打てず「扇風機」のあだ名をほしいままにしていたゲーリー・トマソン選手による。

 トマソンは大量に観測される中で、現在21種類に分類されている。曰く、前述の「無用階段」、無用門、ヒサシ、無用窓、ヌリカベ、原爆タイプ、内面、高所、でべそ、ウヤマ、カステラ、アタゴ、生き埋め、地層、境界、ねじれ、阿部定、もの喰う木、無用橋、純粋タイプ、蒸発。

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路上観察學会

 1986年、筑摩書房の松田哲夫、建築学者の藤森照信(建築史学)、イラストライターの南伸坊などが中心となって発足した考現学の「學会」。あくまで冗談を旨としつつ、各自研究対象の採集に怠りない。そのジャンルは多岐に渡り、トマソン(赤瀬川原平)、建築探偵(藤森照信)、ハリガミ(南伸坊)、建物のカケラ(一木努)、マンホールのふた(林丈二)、工事現場のオジギビト(とり・みき)、女子高生の制服(森伸之)などがある。荒俣宏(博物学者)、杉浦日向子(銭湯研究家)、四方田犬彦なども學会の会員。

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千円札裁判

 「千円札の模型」を制作した赤瀬川原平が、警視庁の摘発・捜査を受け起訴された事件。10カ月に及ぶ公判の末、1967年6月24日、東京地方裁判所は懲役3カ月、執行猶予1年の有罪判決を下した。

 これとは別に赤瀬川原平は、千円札の拡大図作品「復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)」を制作していたほか、千円札裁判の結審後「模型」ではない本物の「零円札」を制作している。

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小説・エッセイ

 1981年、小説『父が消えた』(文春文庫)を尾辻克彦の筆名で発表。第84回芥川賞受賞。その後上述各書のほか、『櫻画報大全』(新潮文庫)、『科学と叙情』(新潮文庫)など多数の作品を発表。独特の価値観にもとづいた不可思議な感触が心を捉える。

 三省堂の新明解国語辞典の語釈を彼らしいユーモアで紹介する『新解さんの謎』(文芸春秋/文春文庫)は1996年のベストセラーに。

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ネオ・ダダとハイレッドセンター

 これらも面白いのですが話が長くなるので、前者は『反芸術アンパン』、後者は『東京ミキサー計画』(ともにちくま文庫)を読んでみて下さい。

 作品として気に入っているのは「宇宙の缶詰(蟹缶)」。蟹缶のラベルを缶の内側に貼って蓋をする。それまで缶の内側だった空間はラベルによって缶の外側となり、全宇宙は蟹缶の内側に入ってしまうというもの。赤瀬川原平は、価値観を心地よくひっくり返してくれるのが得意だ。

興味のある人へ

 とまあ、赤瀬川原平について、紹介程度に簡単にまとめてみました。ここまで読んで赤瀬川原平に興味を持った方には、『超芸術トマソン』、『東京路上探検記』、『新解さんの謎』のあたりが初めて読むにはいいでしょう。

 また2001年7月に、赤瀬川原平のこれまでの人生を網羅的に振り返る『全面自供!』が出ています。赤瀬川原平についてある程度知っている方におすすめです。

興味のある人へ

 ゲンペさん語録などもそのうちにやってみたいです。今回はこれまで。