モータの力は、ベベル・ギア→スパー・ギア→セクター・ギア→ピストンの順で伝わります。
ベベル・ギアには逆転防止ラッチが干渉して1/2回転以上の逆転を防ぎます。逆転防止ラッチを取り除いて逆転を許してしまうと、スプリングを圧縮途中でモータが止まった場合に全体が逆回転してしまいます。
セクター・ギアには歯が半分くらいしか付いていません。これによってギアの有る部分ではピストンのギアとかみ合ってピストンを引き、無い部分が来るとピストンの歯はどこにもかみ合わないのでスプリングの力でリリースされる訳です。
歯の無い部分がピストン側に向いているうちにピストンが前進しきらない場合、ピストンのギアとセクターギアの一歯目がうまくかみ合わずに衝突してしまい、先述の通りピストン側の歯が摩耗するわけです。
純正パーツは、スプリングとピストンがネジ+接着で固定されています。ピストンヘッドをほじくればネジが現れるのでこれを回せばスプリングは取り出せますが、単なる分解整備なら特に取り出す必要も無いでしょう。
シリンダーは加速型なのでスリットが有り、ピストンが前進する際に後退状態からスリットの位置までは空気が圧縮されずにスリットから逃げて行きます。逃げる、つまり抵抗が殆ど無いまま前進するのでピストンはいい感じで加速します。そして加速した状態でスリット部が終わり、突然空気を圧縮し、これで十分なパワーを得るのです。
バレルが短ければ短いほどにBB弾を発射する為に必要な空気の量も減るわけで、それに合わせてスリットの位置は前にずれます(というかそう組まれている)。M16等はスリット無しで、MK5Kは先端から数cmの位置にスリットが有ります。....しかし、これは凄いアイディアですよね。機種毎にシリンダーの大きさを変化させずに調整が出来るのですから。
ちなみにスリットが無いフルサイズシリンダーの場合、ピストンが静止状態から前進し始める頃にゆっくり空気を圧縮し始めるので、短いバレルの銃の場合、バレル内でBB弾が加速出来ずにポロッと銃口から落ちてくるはずです。
ノズルの気密をグリスでやるのはコストダウンの為だと思うのですが、ちょっと甘目です(弾詰まり対策でもあるのかな?....後述)。社外品だとノズル内側にOリングが入っていてバッチリ気密してくれます。ただこれを組み込むと確実にパワーアップしてしまうので今回MC51では見送り(効率アップパーツなので本当は組みたいんだけど)。
ノズルの先端は良く見ると、十字に穴が空いてますね。詳しくは知りませんが、多分これも弾詰まり対策じゃないかと思います。十字で平面ですから、例えBB弾がチャンバーに2、3発詰まってしまった状態でノズルが前進した場合にも、BB弾とノズルが気密状態ではなく、十字の先端から空気が漏れ出すはずです。もしも気密状態になると、ピストンの前進が非常に遅くなるので例のギア破損を招きます。(だからBB弾が詰まった場合、すぐにトリガー離さないといけないんですよ!)
タペット・プレートはセクター・ギアの突起で後方に引かれ、スプリングの力で戻ります。前後するタイミングはセクター・ギアがピストンを引くタイミングに合致し、ピストンリリース後に引っ込みます。
タペット・プレートにはノズルが溝にはまって固定されており、ノズルも一緒に前後します。
ノズルは前進時にBB弾をチャンバーに送り出し、圧搾空気を発射してBB弾を飛ばし、後退、後退すると真下にあるBBが上がってきて、それをまた前進して押し出して....を繰り返します。
さあ、2年間の疲労が溜まったメカボックスは....おぉ、なんと言う事、思いの他美しいじゃありませんか。正直びっくり。ギアの摩耗も均等で、しかも微少。オイルの飛び散りも僅か、金属片(ギア等の削れカス)も殆ど無い。
う〜ん、整備してもこれ以上の状態には持って行けないでしょうねぇ...(と少し弱気)。
ピストンのセクターと絡む部分の歯は大抵いくらか削れるのですが、それも殆ど無し。優秀な物です。あ、でもそうなると折角買ってきたピストンもギアも在庫になってしまう(^^;
そうそう、ギアを取り出すとき、ギアとモナカの間にワッシャーが所々挟まっているはずなのですが、実はコレがとても重要。ギアの動揺の微調整を行っているパーツで、これを適当にくみ上げるとすぐに壊れます(経験者談(笑))。
どのギアのどっち側ににどれがついていたのかは完全に把握しておく必要が有ります。(確か何かの純正パーツを買ったときに説明が付いてたような、付いてなかったような....)
その昔システマさん推奨のシムセッティング図を何かで入手し、その通りにセッティングしてみたら所、ノイズがいくらか減りました。
きっとメカボックスによって、ギアセットによって、ベストに成るようなセッティングが有るのでしょうけれども、それを見つけるのは大変な努力が必要になります。
私の場合はシステマさんのセッティングを元にシムを色々無理なく組み替えて微調整し、ピストン抜きでくみ上げてモータを回しノイズを聞き比べたりして調整を繰り返しました。
0.02mmとかの微妙なセッティングなのですが、それでもかなりノイズの大きさ等に影響するのは驚きです。
パワーアップに繋がるわけでもなく、お金が掛かる訳でもなく、静粛性と耐久性を向上させるチョット渋いチューニングだと思いません?
スプリング強化によるパワーアップ(他はノーマルでね)を行うと確実に、セクターとピストン、スパーギアの歯のよじれ、ベベルギアの摩耗等が起こります。更にその無理な力はギアの回転を受け止める樹脂製の軸受けに掛かってくる訳で、軸受けがある日突然吹っ飛びます。
吹っ飛ぶといっても、砕け散るのではなくボロボロなって穴にははまっている事が多いので、ギアの位置が数ミリずれてしまいます。しかし高速回転中にこれが起こるわけで、大抵は回り続けるモーターの力が斜めになったモーターの歯に不均等に伝達されてギアの歯を破壊してしまいます。嫌〜な音がしてからモーターから回りする状態に成ってしまったら、軸受け破損→ギア損壊の可能性を覚悟しましょう
そうなるとギア1〜2枚交換、軸受け交換、ピストン交換コースです。あ〜あ。
パワーアップをお勧めしない一つの理由はその辺にも有り、もしもどうしてもパワーアップしたいのであればちゃ〜んとメカボックスの構造を理解し、計画的にパーツを組み込む事が必要です。
お手軽にバネだけ強くすると全体の寿命を極端に縮めてしまいます。バネを強くしたければ、まずそれに耐え得るギア・軸受けの強化が必須です。
しかし全体を強化しても過度なパワーアップはメカボックス自体をも歪め、いくらメンテナンスしても故障が頻発する状況にもなり得ます。
ピストンなどの吸気系パーツを安易に変更する事も危険です。例えば純正ピストンよりも硬くて重量のある格好の良い(!)ピストンに変更した場合、ピストンをギアでひき切ってからリリースした時に重いのでノーマルのスプリングではなかなか押し切れずにモタモタしてしまい、モタモタして前進しきる前にセクターギアが一回転してしまい、セクターギアの最初に一歯がまだ先端まで移動しきっていないピストンの末尾付近の歯を破壊してしまう事が有ります。ピストンの歯の一部が妙な摩耗をしている場合、全体のバランスがおかしくなっている証拠です。
純正パーツを見ていると、「これで強度大丈夫なんかい?」と思うような材質で構成されているものも有りますが、逆に言えば壊れる個所はその部分に集中する、とも言えます。
あまりガチガチにしてしまうと、その部分が破壊されない代わりに他にダメージが行ってしまう事も有るのです。勿論コストとの関係も多いに有るのでしょうが、それでも素晴らしいバランスで組み上げられていると私は思います。
しかしながらイロイロなパーツを組み込んでみるのも楽しみだと思います。現に私もMP5Kはメカボックス2組持っていましたし、パワーアップ(Kでしてど〜する(笑))してみたりもしました。....でもKだったらパワー無くしてでも連射能力重視した方がいいですよね....当時物珍しくてイロイロ試してみたんですけど、価格の割に効果が有ったのはシリンダーの潤滑剤の変更位でした。
おっと、改造談義に成ってしまいました。改造に付いては私なんかよりもショップや他のHPの方が遥かに詳しいでしょうから、そちらを参考にして下さいね〜(責任放棄)。
清掃
ギア等にベットリくっついた暗灰色の物質は元々白かったはずの「高粘度特殊グリス(赤い袋の奴)」です。
高粘度なので飛び散り難く、長期間ギアを潤滑します。(多分)長期間の内に少しずつギアとギアが擦れて摩耗した破片等を含んでしまっている為に暗灰色になってしまっているのです。ここにオイルを付け加えても微細破片等が混ざったままに成ってしまうので、折角だから掃除しましょう。これが今回の分解の主目的でも有ります。
あまり人に言えない適当な方法で今回洗浄しちゃったけど、実際には古い歯ブラシとかを使って中性洗剤溶液のなかでこすればすぐに奇麗になります。溶液は、500mlのペットボトルとかを半分に切断した容器等に入れておけば溶液が漏れ出さないし使い捨てが利くし。すすぎもしっかりやればギア洗浄は完了。
ピストンも奇麗に清掃。ピストン内は「シリコンオイル」っていう半透明なオイルが塗布されています。ここも奇麗にしましょう。Oリング近辺も古くなったオイルがべっとりなので、外して歯ブラシ等で清掃。う〜、これって面倒なんですよね結構。
ついでに吸気系チューンを少し。ピストン先端に吸気穴を増設する改造です。ピストンの前後に伴う空気の流れはいつか説明するものとして、取り敢えず先端部からOリングガイド溝に向けて穴をいくつかあけます。吸気時抵抗が減る事になり、連射速度が上がる効果が得られます。体感できるレベルで上がるので、チューニング欲は満たされます(笑)。デメリットはピストンの耐久性低下(多少だと思うけど)と、加工ミスにでしょう。まあでも、なんとかなるレベルです。これが一番お手軽なチューニングじゃないでしょうか?
さて、清掃後。どうです、見違えるようですね。いかにも「整備した〜」という満足感が得られます(笑)。
オイル再塗布
オイルには2種類あります。シリコングリス(青い袋の奴)と高粘度特殊グリス(赤い袋の奴)です。シリコングリスはシリンダー内部とピストンに、高粘度特殊グリスはギア類全体にそれぞれ使用します。逆は駄目です。
高粘度特殊グリスはかなりベトベトヌルヌルなので、これをシリンダー内に塗り込んでしまうとピストンの前進が妨げられて故障の原因になります(多分すぐにイっちゃうんじゃないですかね、やった事無いですけど)。
高粘度特殊グリスはギアの歯、ギアとギアが擦れそうな面、ギアとピストンの歯、ギアの軸受け等に塗布します。
シリコングリスはシリンダー内全体と、ピストンヘッドのOリングとそのガイド部分、シリンダーヘッドとシリンダーの隙間、実は重要なシリンダーヘッドとノズルの間、等に塗布します。シリンダーヘッドとノズルの間は、実はこのグリスで気密されているので、これを怠るとパワーダウンします。同じ使用電力で、同じ様にメカボックスに負担を掛けて、最後にロスさせてしまったのでは勿体無いのできちっと塗布しましょう。
塗布するときにシリンダーヘッド内の空気流出口にグリスが入り込むとBB弾やバレルにグリスが飛び散ってしまうので気を付けましょう。
組み上げ
ノズルとタペットプレートをはめずに組み立てると、弾が発射されません(苦笑)
一通りの作業が終わったならばいよいよ組み立てです。シムのセッティングを変えたり、ギアを社外品に交換したりした場合にはピストンを抜いて組み立てて、モーターを回してノイズやらを確かめながら慣らし運転を行うと良い様です。純正品以外に組み替えていきなり実戦で使用するのは少々心配ですからね。
(その昔、160%だかのスプリングだけ突っ込んで意気揚々としていた方が、実戦一回目で「シャカギュイ〜ン!」となってしまい、意気消沈しておられました)
今回はクリーニングだけだったのでもう組み上げてしまいます。
- オイルの塗布は大丈夫か
- シムセッティングは正しいか
- 軸受けが抜けていたりしないか
- 逆転防止ラッチは正しく装着されているか
- スパー、ベベル、セクターの各ギアを所定の位置に設置出来たか
- タペットプレートとスプリングは問題ないか
- 加速シリンダーの場合、スリットの向き、位置は正しいか
- シリンダー、ヘッド、ピストン、ノズルを組み上げて
- ノズルとタペットプレートを噛ませながらモナカに設置
- スプリングを縮めてスプリングガイドを挿入
- モナカの穴からシリンダー類を押さえながら合わせる
- ギアの軸等が正しくモナカの穴に合致させ、ピッタリモナカを閉める
- コード等が挟まったりしていないか
- ネジ止めしてメカボックス組み立て完了!
おしまい
外側の組み立ては分解の逆工程ですので省きます。セレクターレバーの内側の小さなパーツや、モーターの後ろの小さな円盤状のモーター位置調整スペーサー、モーターへの電源ケーブルの属性等に注意すればG3系は簡単に組み上がります。
おっと、折角だからサイレンサーもくっつけてみようっと....。
いつもラージバッテリー使っている&ストック縮めたりしないから、固定ストックに変更する予定です。ちなみにSOCOMサイレンサーは消音効果低いぞ〜。でも格好いいから許しちゃうんだけどね(笑)。
如何でしたか。何の書物も見ずに書いたのでかなり適当ですが、ちょっとした暇つぶしにはなりましたか?これと同じ様にやって「壊れた!」なんてのは責任持てませんので、各人の責任でやって下さい。
「いや〜、バッチリだよ!」っていうメールはいくらでも受け付けますのでよろしく(笑)。
私、昔はスーパー9使っていまして、勿論アレは改造してナンボです。そこで分解や改造、エアガンの簡単な構造やシステム等を学び、電動ガン購入はMP5Kが最初でした。MP5Kはいじりすぎてボロボロだったので、素直に諦めMC51を購入、バレルだけ換装して使用していました。
メカボックス的にはモーターが簡単に固定できるAK47が良かったのですが、AK47はメカボックスにたどり着くまでに大量のネジが出てきてしまう(つまり分解が面倒)のでG3系にしました。G3の長物はバレル部の強度がヨワヨワで不安だったのですが、MC51は結構優秀です。このサイズでこれだけの性能が出てしまうと、長物の意味が無くなっちゃいますよね....でも長物はみんなで持って行軍すると格好良いから問題無いか!(笑)。
(でもサブマシンガンは0.15gのBB弾しか使用しちゃ駄目ってルールにして、長物と命中精度などを区別すると面白いかもナ〜)
ここまで付き合ってくれた皆さん、アリガトウございます!
History
1999.07.23 少し修正