ワイルド・フロンティア 30歳を過ぎた頃からだろうか。以前に比べてCDを買う枚数が減ってきている。20代の頃までは毎月、必ず二、三枚は買っていたのだが、現在はせいぜい月に一枚買うかどうかという状況だ。特に新しいアーティストを聴くことが非常に少なくなってしまった。ほとんどが以前から聴いていたアーティストのCDばかりだ。昔は毎週必ずチェックしていたヒットチャートも全然気にしなくなってしまった。これも歳をとったせいなのだろうか?もはや旧世代の人間になってしまったのかもしれない。そんな僕が最も最近買ったCDは旧譜である。しかも、もう十年以上も前に発売されたもので、ゲイリー・ムーアの「ワイルド・フロンティア」というアルバムである。このアルバムは以前から欲しかったのだが、買うタイミングがなく、買っていなかったものだ。この間、ぶらりと立ち寄ったCD屋の棚で、僕に「聴いてくれ!」と訴えていたのが目に止まり思わず買ってしまった。そういえば去年もゲイリー・ムーアの旧譜「コリドー・オブ・パワー」を買ったことを思い出した。僕は結構、このゲイリー・ムーアが好きなのである。決して大ヒットを飛ばすわけではないが、かといってマイナーな独りよがりの音楽でもない。中途半端(失礼)なポジションのアーティストではあるが、僕は彼の曲とギターが大好きなのである。いや、僕だけではなく、日本ではかなり人気があるほうではないか。この「ワイルド・フロンティア」はゲイリーの数あるアルバムの中でも三本の指に入る名作と言われている。シン・リジィ時代の盟友であるフィル・リノットの死の直後に製作されたこのアルバムは全編に渡って二人の祖国アイルランドへの郷愁が歌われている。このアルバムの次作「アフター・ザ・ウォー」に収録されている「ブラッド・オブ・エメラルド」に通じるアイリッシュの情念みたいなものを感じることができる。特にタイトル曲の「ワイルド・フロンティア」は名曲である。また、「ザ・ローナー」という曲でのゲイリーの泣きのギターは、彼の泣きのギター名曲集の中でも上位に位置する出来映えである。このアルバムを買ってから、しばらくはこのアルバムばかりを聴いて過ごした。アルバム全体の出来で言えば、僕はこのアルバムがゲイリーの最高傑作(現在までの)だと思う。新しいものを聴くことも大切だが、まだ聴いたことがない古いアルバムにも素晴らしいものがまだまだたくさんあるはずだ。僕が一生かけたとしても、それらを全て聴くのは無理かもしれない。しかし、お金と時間が許すかぎり、これからもロックを聴き続けていこうと思っている。もちろん新譜も出来る限りチェックしていくつもりである。