謎の目玉 子供の頃はよく友達らと探検に出かけていた。探検といっても、アマゾンの奥地なぞへ行けるわけはなく、町はずれの山や川へ遊びに行くだけなのだが、子供達にとっては、それでも充分にスリルに満ちた大冒険であった。その探検の目的地のひとつに不思議な場所があった。そこは僕の家から5kmほど離れた山の中腹にある通称「一本松」と呼ばれる場所であった。友達と数人で自転車をこいで曲がりくねった坂道を登ったその場所は、特に何かあるわけではなくただ、道路の傍らに赤土の斜面がむき出しになっているだけであったのだが、実はその赤土の中に秘密があった。それは実に奇妙な物体が赤土の中に埋まっていたのである。直径5cmくらいの丸い玉状の固まりなのだが軽くて表面が硬かった。中は中央部が黒く炭みたいになっており、そのまわりを白っぽい軽石みたいなものが覆っていた。僕らはそれを「馬の目ん玉」と呼んでいた。しかし、本当の正体は誰も知らなかった。友達の話しによると、昔その場所に馬の墓場があって、その馬の目玉が化石化したものらしいというのだが、それだったら、目玉意外の骨がたくさん出てくるはずなので、全くの出鱈目だったのだろう。しかし、当時の僕は無知だったので、「もしかしたらそうなのかも?」と、その話しを少しだけ信じていた。数人で斜面を掘っては「目玉」を取り出し、集めたり道路に投げつけたりして遊んでいたのだが、いま考えると、道路わきの斜面を掘って道路を汚すんだから、とんでもない遊びである。器物損壊及び道路交通法違反と言われても仕方がない状況であった。まあ、場所が山の中だけに、ほとんど車も通らないので怒られずに済んだのだと思う。僕はその目玉の正体がどうしても知りたくて、家に持ち帰り両親に見せたのだが、両親揃って「何かな?」と首をかしげるばかりであった。結局「気持ち悪いから捨てとけ。」と言われて捨ててしまった。小学生時代に何度かこの「馬の目ん玉」掘りをしたのだが、中学生くらいになると、興味もなくなってしまい、その場所へは全く近寄らなくなってしまった。それにしても、あの物体の正体は、一体何だったのだろうか?本当はすごく危険な物だったりして・・・。将来、人生に余裕ができたら調査をしてみたいと、ちょっぴり思っている。