いんきんたむし 恥ずかしい話しだが、僕はかつて「いんきんたむし」を患ったことがある。それは中学一年生の頃だった。当時学校では男子生徒同士で他人のズボンを脱がせる事が流行っていた。中学一年生と言えば、性に目覚める頃であり、体毛が生えてくる時期であったので、そんな遊びが流行ったのだろう。すでに毛が生えはじめていた僕は、どうすればそのズボン下げから身を守れるかを真剣に考えた。そして導き出した結論は、ズボンの下に短パンをはくという事であった。つまりパンツの上に短パンを履き、その上に学生ズボンを履くという3層構造計画である。万が一、ズボンを脱がされても、まだ2枚残っているようにすることで反撃、脱出の時間ができるだろうという考えたのである。しかし、これがその後の僕を多いに苦しめる原因となったのであった。やがて夏になったのだが、僕は短パンをはき続けていた。パンツの中が蒸れて熱いことは感じていたが、そのままにしておいた。そのうちにポコチンの付け根あたりが微妙に痒くなってきた。自分の部屋でパンツを脱いで痒い部分を見てみると、直径5ミリくらいの範囲が赤くなっていた。「あせもかな?」と思いオロナインを塗り様子を見ることにした。しばらくすると痒みが以前よりひどくなってきた。特に寝る時に布団に入り体が暖まってくると強烈な痒みが襲ってきた。耐え切れずに指でその部分を掻くのだが、掻いても掻いても痒みは止まらない。あまり掻いてると、違う部分が刺激を受けて別の行為をはじめてしまうという愚かなことを犯してしまう事もあった。痒みの原因が気になった僕は、夜中にパンツを脱いで、電気スタンドを股間へ移動し背中を丸めて患部をじっと観察してみた。そこにはポコチンの付け根から股の内側にかけてかなりの範囲で赤くなっており周辺部の皮膚が少し盛り上がっていた。これは「いんきんたむし」に違いないと、思ったのだが、場所が場所だけに親に相談するのも恥ずかしく「清潔にしておけば治るかも」という安易な期待を抱き、治療もせずに放っておいた。そのうち患部の面積が、日を追って拡大していき、遂にタマキンまでもその領土としてしまった。痒みもその面積の広がりに比例して強くなり、2年生になったころには授業中や、家でTVを見ている時までも、痒くて痒くてたまらないという状況になっていた。試験勉強をしていても、痒みが強く勉強している時間より股間を掻いている時間のほうが長いくらいであった。当然、勉強は頭に全然入らず成績は下降曲線を描いていた。さすがにいつも股間を触っていれば両親も「何かおかしい」と気がついたようで父に「どうした?痒いのか?」と聞かれてしまった。もう隠し通す事は無理だと悟った僕は「いんきんたむし」に冒されている事実を告白した。翌日、父が薬局で「いんきんたむし」に効く軟膏を買ってきてくれた。さっそく部屋でその軟膏を塗ってみた。スーッと皮膚に浸透し気持ちがよかった。しばらくその軟膏を塗り続けたら1、2週間でほぼ完治してしまった。最初に気付いた時に父に相談していれば1年以上も苦しまずに済んだのにと後悔したのはいうまでもない。もしあなたの股間に痒みを感じたら「いんきんたむし」を疑ってみてはどうだろうか?「毛じらみ」の可能性もあるが「毛じらみ」は急激に痒くなるので区別はつくはずだ。くれぐれも「そのうち治るだろう」と放って置かないことである。