されどプロレス もうだいぶ前の事になるが、僕が東京の郊外で働いていた頃のことだ。その頃、僕は会社の同僚と日本プロセスという会社の建物の一室を借り、マシンを持ち込んで仕事をしていた。仕事がひと区切りついたので、マシンを移動することになり地元のタクシーを呼んだ。「もしもしタクシー1台お願いできますか?」「はい。そちらはどちらですか?」「日本プロセスです。」「はぁ?日本プロレスですか?」一瞬、「日本プロレス・・・懐かしいな」と言おうかと思ったが、その言葉を飲み込んで「いいえ、日本プロセスです!」と答えた。きっとタクシー会社のおじさんは、力道山が好きだったんだろうと思った。プロレスと言えば、数年前のある朝、会社に行く途中のコンビニに立ち寄った時のことである。入り口のドアを開けようとした時に、僕の左に大男が立っているのに気付いた。2メートル近い身長に、170キロはあると思われる巨漢であった。顔を見上げるとTVで見たことがある顔があった。おお!ビガロだあ!クラッシャー・バンバン・ビガロだあ!。東京ドームでハシミコフと米ソ対決をやった、あのビガロだあ!思わず「でっけぇ!」と声が出そうになったが、恐い顔をしていたので目をそらしてコンビニの中へ逃げるように入った。買い物をして外へ出ると、もう彼の姿はなかった。握手してもらえばよかったかなと少し後悔した。でかいと言えば、ジャイアント馬場である。あれは後楽園ホールへ試合を観に行った時のことだった。試合が始るまで、少し時間があったので僕はロビーの売店まで行こうと思った。ロビーは結構人が多く混雑していたが、特に中央部分に人だかりができていることに気付いた。「何だろう?」と思ってのぞきこむと、その人ごみの真ん中にG・馬場の顔が出ていた。あれ?思ったより馬場って小さいなぁと思いながら、人ごみをかき分けて前の方へ行ってみた。みんなが椅子に座ったG・馬場を取り囲んでサインをもらっていた。つまり馬場は座っていても、周りの人より大きかったのである。さすが東洋の巨人、世界の馬場だと思った。最近、あまりプロレスがパッとしない時代になったような気がする。長州力も引退してしまった。けれどプロレスが無い世界はつまらないと思う。たかがプロレス、されどプロレスである。