貴方だけを愛して 20代はじめの頃、熱烈な恋をしたことがあった。相手は僕よりひとつ年下で、僕にとってはじめての女性であった。決して美人ではなかったが性格がとてもいい子だった。友達の紹介で付き合い始めたのだが、最初はそんなに惚れていたわけではなかった。しかし時間が経過するにしたがって僕は彼女に惚れていった。そして一年くらい付き合いは続き、本気で彼女と結婚することを考え始めた矢先にふられてしまった。理由は僕の愛が彼女にとって「重荷」になったからである。当時の僕は彼女だけを愛していた。他のだれも目に入らなかった。そして彼女を愛することに僕のすべてをかけていた。いま振り返ると若かったなと思う。若さ故の思い込みで突っ走ったのだろうと思う。アレサ・フランクリンの「貴方だけを愛して」というアルバムがある。「リスペクト」ではじまり、ソウル・ミュージックのお手本のような素晴らしい曲が並んでいる。かなり昔の録音なので音質は悪いがアレサの歌は本当に心にしみる。彼女のベスト版のほとんどをこのアルバムの曲が占めているという。ロック少年であった私にとってソウル・ミュージックは遠い存在だった。恥ずかしい話しだが、はじめてソウルと聞いたときに韓国の音楽だと思ったくらいであった。はじめてソウルをきちんと聴いたのはマービン・ゲイであった。しかし本当にソウルを好きになったのはアレサと出会ってからである。彼女こそまさにレディ・ソウルであると思う。もう30歳が近づいてきた。昔のようながむしゃらさは無くなったかもしれないが、人を愛する気持ちはまだ失っていないと思う。