歌い続けるマリア レコード店では、いつのまにかレコードがなくなりCDだけになってしまった。もはやレコード屋さんではなくCD屋さんと呼ぶべきなのだろうか。たしかにCDはその名の通りコンパクトで扱いやすいし音質もよく非常に便利になったと思う。しかしCDになってからひとつだけ楽しみが減ってしまったことがある。それはレコードの場合、レコード屋の棚に並んでいるのをパラパラとめくりながらジャケットで選ぶことができたのだが、CDではそれができないということである。たしかにCDでも一枚一枚引き出して見ればよいのだろうがレコードのようにはうまくいかない。僕はレコードを買っていた頃、たまにジャケットを見ただけで買うことがあった。大抵は失敗するのだが、たまにヒットした時はうれしかった。ある日いつものようにぶらりと寄った街のレコード屋でジャケットを見ていた。すると一枚のジャケットが僕の目に止まった。それはむさくるしい男達を従えた美しい女の子がアップで写っているジャケットだった。グループ名は「ローン・ジャスティス」とあった。レコードについている紹介文を読むと「ジャニス・ジョプリンの再来?!」と書いてあった。興味が湧いた僕はそのレコードを買い求め、自分の部屋へ帰りつくとすぐにレコードに針を落とした。数曲聞いただけで気に入ってしまった。とくに「ソープ・スープ・アンド・サルベーション」という曲がよかった。のりのいいカントリー・ロックの曲なのだが歌っている女性の声が最高に良かった。彼女の名はマリア・マッキーといった。その後ローン・ジャスティスはセカンド・アルバムまで出したのだが、そのうちにグループは解散してしまいマリアはソロで活動するようになった。ソロとしては現在までに2枚のアルバムを発表している。あまり売れていないためだと思うが、彼女のアルバムはなかなか手に入らない。地味ではあるが素晴らしいアーティストであるのでもう少し売れないかなと思っている。けれどあまりメジャーにはなって欲しくないという気持ちもある。僕だけのマリアでいて欲しいと思うのであるがやっぱりひとり占めはよくないと思う。みんなのマリアとなる日まで歌い続けて欲しいと思う。