エデンの東 僕の一番好きな映画は「エデンの東」である。あのジェームス・ディーンの代表作である。「理由なき反抗」のジミーもかっこいいが、物語としては絶対に「エデンの東」のほうがよいと思う。この映画の中で一番好きというか印象に残っているのは、ジミー演じる「キャル」が父親の誕生日に商売して稼いだお金を贈るところだ。兄(名前を忘れてしまった)は恋人との婚約がプレゼントだと言って父はたいそう喜ぶが、「キャル」にお金を贈られた父は喜ぶどころか逆に烈火のごとく「キャル」を叱りつけてしまう。父親に誉められることを信じていた彼は泣きくずれ「もう、誰の愛も要らない」と叫ぶ。このシーンは何度繰り返して見ても泣けてしまう。そういえばずいぶん前に雑誌でジミーの特集があり、彼の恋について書いてあった。彼はある女性と熱烈な恋に落ち、結婚するつもりでいた。ところが周囲の反対もあってその恋は実ることなく彼女は別の男性と結婚してしまう。それから彼の生活はすさんだものとなり愛車ポルシェで帰らぬ人となった。たしかそういう内容であったと記憶している。この記事を読んだとき大変感動したのを覚えている。照れ屋で本心をかくしながら、いつも上目使いで人を見ている彼の姿に共感を覚え真似をしていた時期があった。けれどオールバックは似合わないのですぐにやめてしまった。もう解散してしまったが、英国のバンドでスミスというグループがあった。インディーズ出身で常にチャートの上位にランクされていたグループなので記憶されている人も多いと思う。「食肉は殺人だ」、「クイーン・イズ・デッド」、「世界はだれも聴かないだろう」といった過激でいかにも英国人らしいユニークなタイトルのアルバムを残している。ジョニー・マーの天才的なギターとヴォーカルのモリッシーの個性が際立ったグループだった。モリッシーはジェームス・ディーンを尊敬し崇拝しているという。だから似合わなくても(きっと本人は似合っていると思っているだろう)オールバックなんだと思う。彼は小さい頃から自閉症で自宅の2階からほとんど降りてこれないような少年だったという。ラスト・アルバムの中に次のような曲がある。「昨夜、だれかに愛された夢を見た。 本当に抱きしめられたみたいだった。 希望はない。 けれど、ひどいめにあうこともない。」この曲が頭にこびりついて離れない時期があった。僕と同じ人間がここにもいたんだと思った。そのスミスのベスト・アルバムはライブ・アルバムの「ランク」だと思う。解散の直前と思われる時期のライブからレコーディングされたこの作品は非常にテンションが高い。モリッシーのヴォーカルも元気があってはつらつとしている。しかし、それ以上にジョニー・マーのギターが素晴らしい。スタジオ版とは比較にならないほどエネルギッシュで、スミスはギターバンドだったんだと改めて気付かされた。現在はモリッシーはソロで活躍しているがスミス時代を知る人間にとってはちょっともの足りなさを感じる。スミスが再結成されることを僕は希望する。