散歩の季節 みなさんは「ロッキー・ホラー・ショー」という映画をご存じだろうか。ロックファンの間ではかなり以前から話題になっていたし、ビデオ化されているのでご覧になった方も多いかと思う。若い男女が乗った車が故障し、電話を借りるために古城の門を叩いたことから始まるホラー映画っぽいストーリーなのだが、城主はユニ・セックスの宇宙人で奇怪な人間?達が入り乱れて大騒動を繰り広げるという作品で、全編に渡ってロックン・ロールが流れるミュージカル仕立てとなっている。登場人物のファッションからして、もろグラム・ロックしてて好きな人にはたまらない世界だろうと思う。グラム・ロックといえば代表選手はT・REX=マーク・ボランであろう。70年代初頭に出した2枚のアルバムで彼はスターになった。「スライダー」と「電気の武者」である。個人的には「テレグラム・サム」や「メタル・グルゥ」の入っている「スライダー」のほうが好きだが、「電気の武者」には「ゲット・イット・オン」が入っているのでいい勝負だと思う。ともに明るいブギー調のロックン・ロールを主体としアコースティックなバラードがところどころでいい味を出している。笹塚に住んでいた頃、よくヘッドフォン・ステレオで「スライダー」を聴きながら軽快なステップで散歩をしていた。まるでおもちゃ箱のように次から次へと変わったものが出てくるのが楽しくてニコニコしながら歩いていたと思う。きっとすれ違った人はあぶない人だと思っただろう。「スライダー」はジョンの「ロックン・ロール」と並んで僕の2大散歩ミュージックであった。マーク・ボランはこの2枚のアルバムのあとあまりパッとせずに「地下室のダンディ」というアルバムを発表した直後、30歳を前に帰らぬ人となった。グラム・ロックのスターといえばもうひとりデビッド・ボウイを忘れてはいけないだろう。彼のグラム時代の代表作に「ジギー・スターダスト」がある。自分を宇宙から来たジギーと名乗りSFロックと呼べる世界を演じた。このアルバムは世界にはあと5年間しかないのだという「5年間」という曲から始まり「スター・マン」、「レディ・スターダスト」、「ジギー・スターダスト」といった名曲が続き最後は「ロックン・ロールの自殺者」で終わるという構成になっている。さすがとしか言い様の無い絶妙の構成だと思う。また若かりし頃のボウイの金属的なボーカルが素晴しいのである。是非アルバムを一枚通して聴いてもらいたい作品である。こちらは散歩の時に聴くよりは、部屋の中とか落ち着いた場所でおもいきりボウイの世界に浸りながら聴いたほうがよいと思う。グラム・ロックは外見等から正当に評価されていない部分が多いと思うが、ここでご紹介した作品は、音楽的にも素晴らしいので是非聴いてみてもらいたいと思う。特に気分が落ち込んだ時には効果があると思う。ただみんなが軽快なステップで散歩していたらちょっと気持ち悪いだろうな。