続・隣は何をする人ぞ あなたは自分の隣に住んでいる人について、どれだけのことを知っているだろうか?僕は最近まで、隣に住む人が若い女性であることは知っていたが、顔も名前も知らずに過ごしていた。何故、若い女性であるか知ってるのかというと、声だけは聞こえてくるからである。どういう声かは、ここではあえて申しあげないので、想像して欲しい。ところが、先日、隣のお姉さんの名前、職業、勤め先まで知ってしまった。断っておくが、僕はストーカーではない。こっそり尾行したり、郵便受けを勝手に覗いたわけではない。もちろんゴミ袋をあさるような趣味もない。本当に偶然、知ってしまったのである。それは土曜日の朝のことである。僕は耳の病院に行くために午前8時に部屋を出た。玄関の鍵を閉めて、隣の玄関の前を通り過ぎようとした時に、隣の玄関が開くのが見えた。僕はそのまま、エレベータのところまで行き、ボタンを押してエレベータを待っていた。するとそこへ隣のお姉さんがやってきた。エレベータに乗り込み、「おはようございます。」「今日は雨降りますかね?」「さあ、どうでしょう。」 といった何気ない会話をしているうちに、エレベータが1Fに到着した。僕は、車を止めてある駐車場まで歩いて行ったのだが、お姉さんはその数メートル先を歩いて行った。素足にサンダル履きで薄手の丈の短いワンピースを着ていた。 「そんな格好でどこへ行くんだろう?」「働いてるのかな?」などと思いながら、50mほど後ろを歩いた。(注:尾行したわけじゃないですから)しばらくして駐車場につき、車に乗り込んでいるうちにお姉さんの姿は見えなくなっていた。病院は、うちから近いので、車では1、2分で着いた。一旦、駐車場に頭から止めて、玄関にある診察の番号札を取り名前を書いた。僕は、もう一度駐車スペースに戻り、一旦、車を出して、バックで止め直した。そこでふと歩道を歩いてくる隣のお姉さんの姿が目に入った。するとお姉さんは、病院へ通用口から入っていくではないか。 「もしかして・・・看護婦さん?」 と思ったが、その病院は歯科と耳鼻科が同じ建物にあるので、歯医者の衛生士さんか、アシスタントの可能性も考えた。 それから1時間近く、待ち合い室で診察が始まるまで待った。診察が始まり僕の順番になり、診察室へ入った。診察室の中にも、長椅子が置いてあり、そこで診察を待ちながら、医者や看護婦の姿を眺めていると、その中にさっき会ったばかりの隣のお姉さんの姿を発見した。「あっ!」と思っていると、お姉さんと目が合った。すると向こうも一瞬「あっ!」という顔をしたので、僕は軽く会釈をした。 しばらくして手が空いた看護婦さん(隣のお姉さん)が、僕のそばへ来て、 「隣の人ですよね?うちの患者さんだったんですか?」 と話しかけてきた。 「いやあ、偶然ですね・・・」と僕は答えた。 そこで診察の順番が来たので、一旦会話を中断し、診察を受けた。その最中、その看護婦さんは同僚の看護婦さんに、何やら話しをしていた。僕は耳の掃除をすることになり、診察用のチェアから、隣の部屋のベッドへと移動した。分泌物を分解する溶液を耳に注がれて、15分ほどベッドに横になった。その間、担当の看護婦さんが横にいたのだが、どうやら、隣のお姉さんから話しを聞いたらしく、隣の人なんですね。」と話しかけてきた。その看護婦さんは隣のお姉さんと友達 らしく、何度も隣に遊びに来てることがわかった。途中で隣のお姉さんが何度か現れて、鳩がうるさくて困っているなどの話しをした。それにしても、壁一枚挟んだだけの隣の部屋に住み、1年近く同じ病院に通っていながら、お互い全く気付かないとは・・・。それからはたまに路上やコンビニで偶然会った時に挨拶するようになったのだが、お互いに正体を知る前と少し変化があった。それは、その、「あの声」が聞こえなくなったのだ。さすがに隣に聞こえるとまずいと考えたのだろう。僕のほうも、もし、病院中に言いふらされたら・・・と考えると、エッチビデオのボリュームを小さくするようになってしまった。隣の人の事って、知らないほうが幸せなのかも知れない。