宝島 かつての僕はアニメ少年であった。「みなしごハッチ」を見るために、親にUHFのコンバータ(懐かしい)を無理矢理買わせた4歳の頃からテレビのアニメばかり見ていた。とにかくテレビをつけてアニメが放送されていれば何でもよかったのである。僕が見ていないアニメは、同じ時間帯に違うチャンネルで放送された作品だけといっても過言ではなかろう。高校1年生までは、唯一最大の趣味であったことは間違いない。その後、ロックに目覚めてからは、トップの座を譲ったのであるが、アニメが好きなことに何ら変化はなかった。最近(といっても、数年前)は、セーラームーンがお気に入りであった。最後のシリーズで「まもちゃんが死んでいた」ことを「うさぎ」が知るシーンでは情けないことに泣いてしまった。30過ぎのいい年こいた大人がセーラームーンを見て泣いてしまうなんて、我ながら恥ずかしいのだが、こればっかりは「いいじゃない。」と開き直る僕である。まあ、元来、涙もろい性分であるから、ちょっと悲しいシーンがあるともう駄目である。現実の出来事で涙を流したのは、もうほとんど記憶にないくらい昔の事なのに、テレビを見て泣いたのは数え切れないくらいあるのである。最近は仕事が忙しく平日に放映されるものは見れなくなってしまったが、月曜日に早く帰れれば必ず名探偵コナンを見てしまうといった有り様だ。そんな僕が最も夢中になったアニメは、小学生の頃見た「宝島」ではないだろうか?まず、主題歌が無茶苦茶かっこよかった。何せ町田義人である。あの高倉健の「野生の証明」を歌っていた人である。オープニングで「さあ、行こう。夢に見た島へと・・・」と、あの独特の声で歌うのである。エンディングでも「潮風よ。お前も。友達ならば・・・」と歌うのである。ストーリーも原作自体がすばらしい冒険活劇であるので、とても夢があってよかった。また、声優さんの声もキャラクターと一致していて、実によかった。特に僕は「ジョン・シルバー」の声が大好きであった。いよいよ最終回となった時には、終わってしまうのが残念で残念で仕方なかった。そこで現在ならば、ビデオに撮って永久保存を考えたのだろうが、昭和50年頃の一般家庭にそんな便利なものはなかった。そこで僕は考えてた挙げ句に、その最終回の音をラジカセに録音することにした。ラジカセの録音ボタンに指を載せて、時計とにらめっこしながら、オープニングが始まるのを待った。時間になり、オープニングテーマが始まると同時にスイッチを入れ、録音を開始した。それから僕は「宝島」に集中しながらも、声を出さぬようにして、録音を続けた。30分が経過し、やっとエンディングテーマが終わり、放送が終了した。早速巻き戻して、ちゃんと録音されているか確認した。少年ジムの「ぼ、ぼくのジョン・シルバーが、一本足の海賊だったなんて・・・」と嘆く台詞も間違いなく録音されていた。それから、そのテープは僕の宝物となったのはいうまでもない。しかし、その宝物も高校を卒業し、上京したりしているうちに、いつの間にか行方不明になってしまった。でも、当時のあの感動と興奮は、いまでもはっきりと覚えている。その思い出こそが僕にとっての「宝島」ではないだろうか?・*m[