ハーレム

  「あなたの夢は何ですか?」と、突然、人に尋ねられたとしたら。
みなさんは何て答えるのであろうか。

数年前の事である。
僕は仕事先の人達と酒を飲む機会があった。
そこで、僕はその質問を受けたのである。
まず、僕より先に、隣に座っていたH野さん(僕より4歳年下。O型)がその質問を受けた。
彼は「えー。それは・・・。教えられん。」と、笑顔で意味ありげに語った。
質問したY口さん(僕と同い年。B型)も、それ以上は突っ込まなかった。
そして次に僕へと質問したのである。
僕(AB型)は直感的に頭に浮かんだことを話した。
「ハーレム。ハーレム作りたいですね。」
Y口さんの顔が一瞬困ったような表情になった。
たぶん、予想していたことと全然違うレベルの返事であったのだろう。
僕はちょっと恥ずかしくなったが、自分の意見を正当化するために
「みなさんも、そう思いません。男だったら、ハーレムですよね。ね。」
と、H野さん、Y口さんの顔を見ながらまくしたてた。
しかし二人とも「そうねえ。」と、あまり賛同してくれなかった。
そこへ遅れてN波(僕より年上。A型)さんが現れた。
早速、僕らは「夢は何ですか?」と聞いた。
N波さんは、少し困ったような照れたような笑顔を浮かべながら、
「うーん。ハーレムかなあ。」と語った。
その瞬間、僕は勝ち誇ったような顔をしていたに違いない。
「ほうら見てみい。男はハーレムじゃあ。」と叫びたい気持ちを押さえて、
「ははは」と笑った。

それから、しばらくして、知り合いの女の子(A型)に、
「ねえ。夢って何?」と聞いてみた。
すると彼女はこう答えた。
「ハーレム作りたい。」と。
僕は心の中でこう叫んだ。
「ほうら見てみい。男も女もハーレムじゃあ。」

しかし、冷静になって考えた僕は、ある事に気付いた。
「ハーレム」が夢だと答えた3人の共通項はただひとつ、
血液型がAかAB。つまりA型の因子を持つ人間であるということだ。
たぶん、現実の生活では、もっとも、浮気や不貞に厳しい人間に限って、
現実には実現できそうもない「ハーレム」に憧れるのではないだろうか?
つまり、「ハーレム」に憧れる人間ほど、現実的には浮気はしないんじゃないだろうか?
というのは自分を正当化するための言い訳かも知れないが。

最近は夢を尋ねられるとこう答えるようにしている。
「世界征服じゃあ!」
いつまでたっても馬鹿が治らない僕である。
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