馬鹿野郎!

 最近、両親を車に乗せる機会が多くなった。
僕は父が脳梗塞を患ったのを機に東京からUターンしてきたのだが、
両親とは同居せず10kmほど離れた所で一人で暮らしている。
月に1度か2度ほど実家へ顔を出すのだが、その際に近所のスーパーまで両親を車に乗せたりするのである。
両親はともに60歳を越えているのだが、最近二人ともめっきり足腰が弱ってきたらしい。
車はごく普通のセダンなのだが、乗り込む際や降りる際にはかなりの時間を要する。
実は両親は二人とも元々体が少し不自由であった。
父は幼い頃に病気にかかり、それが元でリウマチを患い右手が不自由である。
僕が子供の頃までは、足は丈夫で普通に歩いていたのだが、歳をとるにつれて足も弱ってきたらしい。
いまでは病院で注射してもらってしばらくは何とかなるが、注射が切れてくるとかなりつらいという。
母もまた、生まれつき足が不自由である。
股関節脱臼というやつで歩く際には常に片足を引いていた。
子供の頃、一緒に買い物に出かけると母に合わせてゆっくりと歩いていた。
それでも65歳になったいまでも自転車に乗り、カラオケ道場へ通っているから恐れ入る。

それにしても世の中は体の不自由な人や、お年寄りなどの弱い人間にとって不便にできていると思う。
実家のある町では、歩道というものがほとんどない。そのうえ道幅は狭いから歩くのは非常に危険だ。
また、交差点でも横断歩道はあるのだが、信号機がないために渡るのに時間がかかる人にとっては
まさに命がけで道を横断せざる得ないのである。
また、町のスーパーは2階建てなのだが、エスカレータもエレベータもないのである。
これじゃ、階段を登れない人は買い物に来るなと言ってるようなものじゃないか。
たしかに小さな店でそういったものを設置するのにはお金もかかるし簡単にはいかないのかもしれないが、
これから高齢者が増える時代を考えると早急に何とかすべきだと思う。

日本は豊かになったと言われるが、そういった部分ではまだまだ遅れていると思う。
誰も渡らない橋や道路、何も作れない(作らない)干拓地を作るくらいなら、
そのお金を使ってやるべき事は無数にあるのではないだろうか。
最近、一部のバスや電車で低床タイプのものが走りはじめたがまだまだ一部だけである。
大抵のバスではお年寄りなどが、乗り降りで時間がかかっていると運転手は不機嫌になる。
中には文句さえ言う人までいる。そんなのは言語道断である。大馬鹿者だ。
人間必ずいつかは年寄りになるし、若くてもいつ体が不自由になるかわからないのである。
自分がそうなった時の事を考えれば、そんな態度は取れないはずである。
その他で気になっているのが、歩道に置かれた自転車である。
これが点字ブロックの上でも平気で止めてあるから始末に負えない。
これって若者だけじゃなくておばさんも多いんだよな。何を考えてるんだまったく。

この文章を書いていたら、なんだか腹が立ってきた。
思わず「馬鹿野郎!」と叫びたくなってしまった。

ハンデキャップがある人も安全に、そして快適に外へ出かけられる世の中にしなければいけないと思う。
僕の力は微々たるものだが、少しでもそういった事に役立てれば幸いであると思っている。
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