引越し

 僕はよく引っ越しをする。
社会人になって現在の部屋は5ヶ所目である。
これだけ引っ越してるんだから、運送屋に表彰してもらってもいいんじゃないだろうか。

僕が最初に住んだのは会社の寮だった。
東急の高津駅から歩いて10分、JRの武蔵溝の口より15分くらいの住宅街にあったが
周りにあまり商店がなく不便だった。
ただ、隣のアパートに窓を開けたまま裸でウロウロしているお姉さんが住んでいたので
それに気付いた寮生は、たっぷりと目の保養をさせてもらっていた。
当然、僕もその恩恵を受けたひとりである。
部屋は基本的に6畳一間で押し入れがついてるだけでとてもせまかった。
3年近くはその部屋に住んでいたのだが、布団はいつも敷きっぱなしで部屋はかなり汚かった。
寮を出て初めて一人暮らしを始めたのは、田園都市線の江田駅から歩いて15分くらい
の新興住宅地にあるアパートだった。
アパートの名前が白亜館といったのが、実態はただの白い壁の木造アパートで
隣との壁があまりにも薄く音が筒抜け状態で、隣人のいびきに悩まされるという体験をした。
ここは周りがほとんど造成地ばかりで商店どころか民家さえもなく、
また大きな道路に面していたので夜中になると暴走族が走り回ってとてもうるさかった。
うちに立ち寄ったおまりさんによると同僚が暴走族を止めようとして怪我したらしく、
「いやあ、私も恐いんですよ」と言っていたくらいだから想像できるだろう。
また、台所にウジ虫を発生させたのもこの部屋だった。
あまりに不便だったのでここには1年ちょっとしかいなかった。
次に移り住んだのは京王線の笹塚の商店街にある雑居ビルで1階が八百屋で
2階が美容院というところだった。
前に住んでいたところがあまりに寂しいところだったので
今度は賑やかなところというのが最大の条件でそこを選んだのである。
ここはとても便利がよく(なんたって商店街の真ん中)、
また下北沢まで歩いて15分くらいで行けたので結構気に入っていた。
ただ会社で借りていたのでやがていづらくなってしまった。
それでも2年以上は住んでいた。
また、ここでは畳を腐らせたうえに柱にきのこを発生させるという
貴重な体験をさせてもらった。
そして次は小田急線の向ヶ岡遊園に住んだ。
この時はちょっとわけありで女の子と一緒だった。
街自体は学生の街(近くに専大と明大がある)という感じでこじんまりとして結構気に入っていた。
ただ部屋のすぐそばにボディ・ビルのジムがあり、
夏になると筋肉ムキムキのお兄さんが上半身裸でうろうろしているので暑苦しかった。
あの人達はそんなに筋肉を見せたかったんだろうか。
そこに住んで1年たった頃に田舎の父親が脳梗塞で入院したのをきっかけに会社を辞め田舎へ戻った。
そして現在住んでいるのが熊本市の九品寺のマンションである。
部屋はワン・ルームだが7畳くらいはあり、北東向きだが出窓もあり、8Fなので遠く阿蘇まで見渡せる
ので気に入っている。またコンビニもすぐそばにあるので独身の身には大変助かる。
冷蔵庫が壊れて2年以上になるがコンビニが僕の冷蔵庫だと思っている。
難点はまわりに建物がないので、台風が来ると風が強烈に吹きつける事ぐらいだ。
それでもわざとティッシュを飛ばしたり(悪いことなのでまねをしないように)して楽しんでいる。
よほど居心地がいいのか、いつの間にか7年も住んでしまった。
次はまだ考えていないが、2、3年以内には引っ越したいと思っている。
今度は隣にかわいい女の子が住んでるところがいいな。
なんてのは冗談だけど、便利で落ち着けるところがいいと思っている。
でも、いつになったら僕は落ち着くんだろうか。
うーん、当分先の事だろうな。
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