バレンタイン・デー(PART2)

 今年もまたバレンタイン・デーの季節となった。
数年前まではこの日が大嫌いだったことは以前書いた。
最近はやっと大人になったというか、別にどうってことない日になった。
でも義理チョコというやつはあまり好きになれない。
不景気の世の中だから、義理チョコを贈るのをやめなさいとは言わないが無意味なものであると思う。

僕が初めてバレンタイン・デーという日のことを知ったのは小学校4年生の時だった。
その日の夕方のことである。
授業を終えて帰り支度をしていた友達のランドセルから一つの包みが床に落ちた。
そのうちに教室のあちこちから「俺にも入っとる!」と声があがった。
そこへ担任の先生が入ってきたので、それぞれ席に着いた。
すでに先生は気付いていたらしく、
「学校にいらないものを持ってきてはいけません。」
と全員に向かって注意した。
その包みが何なのか分からなかった僕は、友達に「何、それ?」と聞いた。
「お前はバレンタインデーも知らんの。今日は女の子が好きな男にチョコレートを贈る日たい。」
と友達は小声で教えてくれた。
帰りの挨拶が済むと僕は期待に胸を膨らませ自分のランドセルを開けた。
そこには空間が広がっているだけだった。
急いで教科書とノート、筆箱を詰め込んだ。そして走るように家へと帰った。

そんな僕が初めてチョコレートをもらったのは中学2年の時だった。
ある女の子が僕にチョコをくれるらしいという情報を数日前から僕はつかんでいた。
そして当日を迎えたのだが、いつになってもチョコを渡してはくれなかった。
「あれぇ、どうしたんだろう?やっぱりくれないのかなぁ。」
少しずつ不安になってきた僕は、そのうちにどうでもいい気分になっていた。
そして授業が終わると一目散に下駄箱へ向かい、足早に家路についた。
学校が見えなくなったところで、もしかしたらと思い、恐る恐る鞄を開けてみた。
「あった!」
思わずその場で飛び跳ねたいくらいうれしかった。
顔が熱くなりちょっとだけ涙が出た。
その子にはホワイト・デーにお返しをしたが、3年生になりクラスが別々になると
自然と縁遠くなり何も発展しなかった。

毎年、この季節になると当時の事を思いだす。
どちらも現在となってはいい思い出だと思っている。

ところでバレンタイン・デーって本当は何の日なんだろうか?
辞書を引いても、3世紀頃の聖バレンタインの祭りだということぐらいは書いてあったが、
なんで愛を告白する日になっちゃったんだろう。
外国でもチョコレート贈ったりするのだろうか。
ほとんどの日本人は、きっと本当の意味も分からずに一生終えてしまうんだろうな。
なんか情けない話だよな。これって。
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