僕は、殆ど毎晩夢を見る。
たいていは何のとりとめもない夢なのだがたまに印象深い夢を見ることがある。
数年前の冬に見た夢もそんな夢だった。

僕は何人かの同僚と食事をしていた。
すると突然大きな揺れを感じ「地震だあ」と叫びながら慌てて外へ飛び出した。
相当大きな地震であったので、急いでそこにあったテレビのスイッチを入れた。
そこには、見慣れたNHKのアナウンサーが映っていてニュースを読み上げていた。
「大阪湾にある島の付近で大地震が発生しました。
  震度7を記録し、壊滅的被害が出ている模様です。」
僕は大変なことになったと驚いていた。

そこで目覚しのベルがなり現実の世界へと連れ戻された。
その3日ほど後にあの「阪神大震災」が発生した。
はじめて地震発生のニュースを知った瞬間、僕は唖然としてしまった。
そして「正夢」・・・という言葉が脳裏をよぎった。
こういう話は何かと、うさんくさいと思われるかもしれないが本当の話しである。
その証拠にちゃんと証人がいるのだ。
しかも複数の証人がいるのである。
ひとりは僕が勤めている会社の上司である。
この人にはたまに見た夢の話しをするのだが、
この時もあまりに変な夢だったので「変な夢を見ましたよ」と内容を話していたのである。
もう一人は僕の父親である。
父にもこの夢の内容について話していた。
僕の話しを聞いた父は弟が神戸に、姉が大阪に住んでいるのでよっぽど
電話しようかどうか迷ったらしいが、まさか息子がこんな夢をみたからとはいえず結局しなかったらしい。
地震の朝、父親から震えた声で電話があった。
「おまえの夢の通りになったな・・・」
僕は青ざめながら力なく
「ああ」
と答えた。

幸い叔父も叔母も無事であったが、しばらくは連絡が取れず心配していた。
あの地震で亡くなられたたくさんの方々の冥福を祈りたい。
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