アイリッシュ・ゲーリー

 三大ロック・ギタリストといえばクラプトン、ペイジ、ベックのことである。
しかし僕がロックを聴き始めた頃には3人とも第一線を退いていて
そのプレイを目の当りにする機会があまりなかった。
そこで僕が尊敬する三大ギタリストはリッチー・ブラックモア、マイケル・シェンカー、
ゲーリー・ムーアということになった。
いずれ劣らぬテクニックとセンスの持ち主だが、
この3人の中で人間的にもっとも優しい人はゲーリー・ムーアではないだろうか。
「暴君」と呼ばれ次から次へとメンバーを交替させたリッチー、
アルコールに溺れ失踪を繰り返したシェンカーに比べて、
頼まれれば浜田麻理や本田美奈子にまで曲を提供してしまうゲーリーは
きっと人がいいんだろうなと思う。
また音楽的にみた場合、ブルース色が一番強いのもゲーリー・ムーアである。
イギリス人とドイツ人とアイルランド人の違いなのかもしれない。
アイルランドといえばゲイリーの親友でもあった故フィル・ライノットやヴァン・モリソン、
U2などが有名であるが、音楽的には違っていてもどこか共通な部分を感じるのは僕だけであろうか?
ヨーロッパの歴史の中でアイルランドの置かれてきた立場、いつも他国の侵略にさらされ
虐げられてきた民族の血が彼らの魂の奥底から湧きあがってくるのではないだろうか?
ゲーリー・ムーアの曲の中で一番好きなのは「アフター・ザ・ウォー」に収録されている
「ブラッド・オブ・エメラルド」という作品である。
軽快なロックン・ロールや泣きのブルースという彼の得意なスタイルではないが、
情念がふつふつと湧きあがって来るような凄い曲である。
泣かせる曲ではとことん甘く切なく聴かせるが、
ここでの彼のギターは激しくそしてとても力強い。
アイリッシュの怒りが込められているようだ。
またこのアルバムにはアル中の末に自殺したブルース・ギタリスト、ロイ・ブキャナンの
「救世主よ再び」という曲も収録されているが、これが涙なくしては聴けないくらいに素晴らしい。
ゲーリーはたくさんのミュージシャンと親交があるのはいいのだが、
アルバム毎にメンバーが変るのはあまりよくないと思う。
勝手に最強のグループを考えてみた。
まずヴォーカルはグラハム・ボネット、ベースはグレッグ・レイク、ドラムはコージー・パウエル、
キーボードがドン・エイリーなんてのはどうだろうか。きっと凄いグループになると思うのだが。
ただし是非みんなゲーリー・ムーアに協力して盛り上げてくれることが条件となるのだが。
いつか実現しないかなあ。
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