フロムダスク・ティル・ドーン

 僕はホラー映画は苦手である。
子供の頃、テレビの洋画劇場でドラキュラとか見ちゃうと怖くて夜中にトイレにいけなくなっていた。
大人になって多少は平気になったと思うが、基本的には怖がりのビビリであることは間違いない。
だから、ホラー映画はほとんど見ない。友達と一緒だと何とか付き合いで見るのだが、自分ひとりで
劇場に見に行こうとか、レンタルで借りて見ようなんて思ったことは一度もなかった。
また、特にスプラッターは苦手で血が噴出したり、内蔵や体の一部がバラバラになる映画なんて絶対
見ないようにしていた。
そんなある日、僕は一本の映画を観ることとなった。
その映画とはフロムダスク・ティル・ドーンという作品である。
監督はスパイキッズでおなじみのロバート・ロドリゲス。
そして脚本がなんとあの天才クエンティン・タランティーノ。
映画バカ一直線で有名な二人の作品である。
さらに主演があのERのロス先生ことジョージ・クルーニーで競演が渋くてダンディなハーベイ・カイテル。
そしてヒロインにジュリエット・ルイス。
面白くないはずはない!と期待に胸を膨らませて観始めた。
ものの三分とせずに、冒頭の店内での緊迫感あふれるシーンにくぎづけである。
手に汗にぎるシーンのあとは、豪快に爆発する店をバックに、軽快なギャグを飛ばすゲッコー兄弟。
ジョージ・クルーニー超カッケー!銃を撃つシーンが超セクシー。
タランティーノも危ない感じが出てていいじゃんか。
手に穴あいてるぜー。こいつ。
しかも、ガムテープでそれを塞ぎやがった。
おぅ!こりゃ、すげー!
そこからしばらくはいかにもタランティーノという感じのバイオレンス・ロードムービーが展開されていく。
ハーベィ・カイテルが牧師の役とはびっくりしたが、ジュリエット・ルイスもカワイイし・・・と思ってたら、
牧師一家がゲッコー兄弟の人質になっちゃった。
やがて、なんとか国境を越えて、ティティ・ツイスター(おっぱいグルグルって訳されてるけど、ほんままいな)
という怪しげな店に入っていく。
入口でチーチ・マリン演じるいかにも怪しげな呼び込みが「プッシー、プッシー」の大連呼。(ちょっとこっ恥ずかしい)
店内に入るとダニー・トレホのバーテンが迫力があってメチャ怖そう。こりゃ、これから大乱闘か?
と思ってるとそんな雰囲気に・・・
ところが・・・である。
サルマ・ハエック演じる美女が・・・えっ?!何?ウソ?変身しやがった。
しかも、なんかすごーく安っぽい怪物?に。
そこからは、それまでの展開はどこいったん?という感じで、ヴァンパイア、血、肉片のてんこ盛、出血大サービス状態。
セックス・マシーンと名乗る男の股間にはなんとピストルが!(笑)
タランティーノはあっけなく死んじゃうし・・・。
って、完全にB級スプラッター映画になっちまった。
頭は混乱してるんだけど、画面から目が離せない。
ハーベイ・カイテルまでやられちゃったよー。おい。どうなるん?と思ってたら・・・。
と、ここから先は伏せておきますが、最後のエンドロールまでちゃんと見てください。オチがありますから。
「こりゃ、見事に一本取られちまった。」という感じで、見終わった後に、なんとも言えない満足感が。
たくさん人やヴァンパイアが死ぬんだけど、なぜか、全然、怖くない。
怖くないどころか、すごく爽快な気分なのである。
ジョージ・クルーニーの最高傑作は、ずばり、この映画である。
世界一のバカ映画。超A級のB級映画という称号をこの映画に与えたい。

これでホラー大丈夫かなーと思って、ちゃんとしたホラー映画観てみたら・・・
やっぱり怖かったことを付け加えておく。
TOPへ戻る