のぞきの思い出

 これはもう時効だと思うので正直に告白しようと思う。
あれは15年ほど前、僕が会社の男子寮で生活していた頃のことである。
男子寮の向かいには、駐車場を挟んでお風呂屋さんがあった。
実は僕はその風呂屋の女湯をのぞいていた・・・
というのは冗談だが、まんざら全くの冗談でもなかった。
というのも、その風呂屋の上がアパートになっていたのだが、
そのアパートに住んでいるお姉さんの裸をちょくちょく拝見させていただいたのである。
僕の部屋は3階だったのだが、ちょうど向かいのアパートと同じ高さだったので、
ベランダ越しに向かいの部屋が丸見えになる位置にあった。
たいていの部屋はカーテンが閉められており、中の様子は伺い知れなかったのだが、
ひと部屋だけいつもカーテンを閉めない部屋があった。
ある夜、ぼぉーとテレビを見ていた僕は、何気なく窓の外を見た。
すると、向かいの部屋に灯りがついており、窓際に女性が立っているのが目に入った。
次ぎの瞬間、なんと、この女性がいきなり服を脱ぎ出したのである。
当時、18、9歳の僕にとって、とんでもない刺激的な光景であった。
もう思わずボッキンである。
その日は下着姿を見せてくれただけで終わったが、それ以降は意識して
その部屋を見るようになってしまった。
こんなすごいことを自分だけの秘密にしておけるはずもなく、
友達を誘って一緒に屋上に上って金網にへばりついていた。
嗚呼、なんというすばらしい青春の風景であろうか。
傍から見たら全く情けないったらありゃしないが。
どうもその部屋には若い男女が同棲してるようで、おかげで女性が安心感からか
開放的になりカーテンもしめずに裸(といっても上半身だけ)になってるようであった。
しかし、アパートのま向かえが男子寮であることは周知の事実であったから、
もしかしたらこのお姉さんは露出好きだったのかも知れない。
「まあ、男の子がまた私をのぞいてるわ。興奮する!」とか思われていたのかも知れない。
というのは勝手な妄想だろうか。
しかし、この楽しみもしばらくしてやめてしまった。
理由は、ある夜のことトイレへ行ったら別の部屋の先輩がすけべそうな顔して
覗いてる姿を目撃してしまったからである。
覗いてるときの顔ったら、口をだらしなく開けていておまぬけもいいところだ。
きっと僕も同じような顔してるんだろうなと思ったら途端に恥ずかしくなってしまったのである。

まだあのお姉さんは窓辺で裸になってるんだろうか?
あ、もう随分経つからお姉さんじゃなくて、おばさんになってるか。
僕もおやじだもんな。
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