犬 塚 寿 子

2期・永久会員

hsk51d.jpg

ゴーキョピークにて(平成5年11月3日)


鵬翔山岳会創立六十周年記念に寄せて

  鵬翔は、私のこれまで過ごしてきたうちの半生を共に歩んできたと言っても過言ではありません。

社会の激動期に職場を数回変え乍ら、歩くこと、つまり山へ行きたいという願望を倦むことなく、ひたむきに今日ここまで辿って、当会の創立六十周年を迎えたことは,とても嬉しく、この上ない喜びと存じます。

  いま傘寿になっても歩けるのが二重の喜びであることは勿論、わが会の仲間達に支えられての今日と、おおいに感謝し,日々を楽しく暮らしています。

  顧みると、種々の病のうち急性腎炎で酸素吸入で蘇生した途端に、ヒマラヤではこのようになるのかしらと、若いときからあこがれていたものが急に身近に感じ、それを機にエベレストを是非眺望したいと胸に暖め、数年前にヒマラヤ通い四回目に待望のゴーキョピーク(5360m)に、七十四歳になって、高山病にもならずに到達できて、永い間の念願を果たしたのが、生涯忘れることのない喜びだったと確信しています。

  逆境にあったときに山を想い、恵まれた環境にあるときは敬虔な気持で山懐に入っていくことを、最良の過ごし方と思う年令になりました。

  これからの会への夢は、仲間達の優しい助け合いの信念をもって、鵬翔の名のいつまでも続くことを祈る次第です。

(二千年正月記)


icon378.gificon377.gif