関 清薫

創立会員・永久会員

関清薫

丹沢水無川放射状溯行(昭和16年6月)

  ガスの中から、塔ケ岳を目差して続々現れる、ヒゴノ沢、新茅ノ沢、源次郎沢、セドノ沢、沖源次郎沢、戸沢、本谷の各班。ヤナチャーの応酬しきり。

  尊仏小屋に雨を避け、今日の感激を語りつつ大休止する。金冷し沢班を最後に参加者三十二名全員集結し、午後三時半、三角点傍にて記念撮影を済ませ、大倉尾根を下って帰途に就く。

  折しも西の空に富岳その全容を現し、足下にまつわる雲海上に屹立する英姿、颯爽として又神々しい。

  水上、片倉の二名は、塔ケ岳・松屋間を一時間二十八分にて走破し、大倉尾根下降の新記録を樹立す。中にはあちらでウツラウツラこちらでグウグウと寝乍ら下る奴もある。七時過ぎ松屋へ帰着し、此処にて解散。無事此の壮挙を終了するを得た。

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