機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者-

監督 : 富野由悠季


1985年にテレビ放映された「機動戦士Zガンダム」が新たに劇場3部作として映画化される。

「一年戦争」終結後の宇宙世紀0087、反地球連邦組織エウーゴは、サイド7・グリーンノア1より

試作MSを強奪。奪ったMSのパイロットは軍人ではなく、カミーユ・ビダンという少年だった。

信じられないけど、20年前のTVアニメを劇場映画に作り直す、という作品。今回は第1部です。

他の劇場映画と比較すると、どうしても見劣りするダイジェスト版なので、

最初から作る方も見る方も、割り切った感覚が必要かも知れません。

良くもないし、特別悪いとも言えない映画でした。

時系列では、ガンダム3部映画の続編なので、冒頭に30秒でも1分でも、その説明が必要と感じました。

スペースコロニーの建設、
宇宙移民、
ジオン・ズム・ダイクンの演説、暗殺、
試作MSの開発、
一年戦争、
終戦協定締結、
ティターンズ台頭、

と、前フリの音楽流れてる間に、絵は止め絵でいいので、ざっと復習をすると親切でした。

(ジオン兵士の浮遊死体から入るのには、説明の意味を感じないので)

スペースコロニー1基には、だいたい2500万人住める設定なので、

日本国民を宇宙移民すると、5基でほぼ収まります。

各サイドには、コロニーが40個ほど浮いてる設定ですが、どのくらいの間隔で浮いてるのか、

そういう絵が見たいと思ってましたが、有りませんでした。

新旧の絵が混じっているので、見づらいのはマイナスでした。

全部作り直した方がスッキリしたと思います。

カミーユはTV版と印象は変わりませんでした。エキセントリックで人付き合いが苦手、

今も昔も「キレる子供」です。父母の遺体は、自分のMSで回収して、宇宙葬にすべきと感じました。

(戦闘中であっても。カミーユはこの時点では民間人だし)

説明が無い混乱した箇所もあります。ガンダムmk2の腕が壊れても、次には直っている。

mk2の色がいきなり白になる。リックディアスがいきなり全部赤になる、とか。

冒頭でシャアが被弾したり、ブライトがボコボコに激しい暴行を受けたりと、

直接肉体攻撃が描かれていました。彼等も生身の人間なんだなぁ、と。

魅力的な人物としては、ロザミアとアッシマーのパイロット。お蝶婦人の様なロザミアは、

美味しい所を全部持って行きました。彼女が女王、強化人間ロザミア萌えです(笑)

アッシマーもギャプランも、可変MSの利点とパワーを見せつけていました。

後の標準的なMSは、全部同じ性能に思えます。

mk2でも百式でもハイザックでも、大差ありません。

色や形は違っても、動きは同じです。

一番良かったのは、カミーユ父に押されたアーガマ整備員が宇宙に放り出されたのを、

ちゃんと救助に行ってくれる所。細かい描写の積み重ねが、説得力を生むと感じました。

歌はガクト?なんですかね?うるさいだけでした。あれは印象を悪くしてます。

次作は代えて下さい。

希望は平原綾香の「ジュピター」。

皆がよく知ってるZガンダムの物語です。新鮮味は全くありません。

でも、それほど悪い出来ではないです。ティターンズの横暴や虐殺に対する怒りは、

エウーゴの戦う動機として、ちゃんと語られています。

去年、NHKで「プラネテス」というアニメをやってました。宇宙のゴミの回収屋のお話し。

実に面白く、アニメ業界でもマトモな仕事をする人間が居るモンだと感心。拍手喝采です、素晴らしい。

それと比べると、映画Zはけっこう辛い。

でも、現在TV放映中の「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」よりマシ。

このTVアニメ、30分テレビの前にいるのが苦痛で苦痛で…。

愚劣というに相応しいアニメです。最低です。現在放映中。

ガンダムって、結局、最初の「機動戦士ガンダム」初代しかマトモな物がなくて、

それでも、なんとか今回の映画で何とかして欲しい、良い仕事を期待して見に行きました。

第2部も楽しみにしています。

間に合うんだったら、2部から全部新しい絵にして下さい、富野さん。

2005/6/2


Kの独善的評価  ★★(ミノフスキー粒子、MS(モビルスーツ)、スペースコロニーが宇宙世紀のお約束)

参考文献:機動戦士ガンダム大辞典「一年戦争編」/ラポート刊

機動戦士Zガンダム キャラクター設定フィギュア&名場面集/バンダイ刊

ガンダムセンチネル/大日本絵画刊


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