監督:岩井俊二
レイトショーで「undo」を見た。
今をときめく眩いばかりの才能を百万キロワットで全世界に放出する、
岩井俊二
豊川悦司
山口智子
の御三家が集結した作品だけあって、宣伝効果は絶大。
なんと、60〜70人入っていた(普段は20〜30人ぐらい)。
しかも女性7割強、年齢層極めて若し。
undo 言葉の意味
基本的意味 「一度したことを元に戻す」 動詞
1 (ひもなどを)解く、ゆるめる、(衣服を)脱ぐ
2 (一度したことを)もとどおりにする、帳消しにする
3 (人を)破滅させる、だいなしにする
47分のこの作品、物語はいたって単純明瞭。
一緒に住んでいた女が気が狂う。
ただそれだけのことなのだが、見る者を驚かせる映像に仕上げてある。
第三者の立ち入ることの出来ない恋人同士の特別な時空間、密度の濃さ、
手持ちカメラの揺れるアンダーな画、生理的にぞわぞわする聴覚的刺激、
窓のないコンクリート板張りの冷たい部屋、残酷な愛玩動物、
ワシは映像を見て、保存されている記憶を引きずり出された。
愛するが故の病気、無意識の形、
幸せの牢獄、永遠の静止、未来への加速する不安、
人の弱さ愚かさ、誰もが多かれ、少なかれ狂っているものさ、
壁に糞を投げつけるまでの距離はそう遠くない。
ああそうだ、ほんとに神経症になっちまう。
不安あればこその恋い、恋愛映画だと思う。思い詰めれば狂いそうネ?
よくできてました。素晴らしい!
小栗康平の「死の刺」(90)よりも若者向け(笑)
96/06/21
Kの独善的評価 ★★★★★ (肌に吸いつくような感触がある)