director:Frank Darabont
Based on the nobel:Stephen King
刑務所暮らしを扱う映画に共通することは、
空間限定的性格、 |
完全な身体自由の剥奪、 |
圧迫感、 |
閉鎖感、 |
などを、共通感覚として、
物語と劇場に居る観客を接続することなのじゃヨ。
刑務所と映画館さも似たり。
大手銀行副頭取まで上りつめた男が女房とその愛人殺しの冤罪で
入獄するのだが、根本の原因が男の妻に対する愛情表現の
貧困欠乏からきていることが中盤以降明らかになる。
何とも身につまされる話じゃね。
他人の心は縛れない。
男はムショに入ってから糞野郎共の的にされ、
何度も袋叩きや、強姦未遂の修羅場を経験する。
耳の穴から鼓膜を破り脳にナイフを通して殺すと脅され、
糞野郎相手のフェラチオを強制される下りは
息を呑む迫力である。
死ぬか、人生最大の屈辱を受け入れるか、
絶望の選択だ。
男は入るまでノーマルな世界で生きてきた。
特殊な世界ではない、ありふれた上流、いわば穏当な日常世界じゃ。
それがある日突然、生死の際どい境界線を歩く羽目になっちまう。
囲まれた場所には特殊なルールが存在する。
ルールを知るためには血を流さねばならぬし、ルールを拒めば、
その最期は予想もしなかった悲惨な結果となる。
ジャック・ベッケルの「穴」、
アラン・パーカーの「ミッドナイト・エクスプレス」と同じく、
終劇して冷たい空気を吸いに館外に出る時、
自由の意味を肌で感じてしまうのじゃ。
95/12/06
Kの独善的評価 ★★★★+ (とんでもないどんでん返し)