(1998)
監督:大林宣彦
女が愛した男のオチンチンを切り取り逃亡するという阿部定事件。
大林宣彦的、実験手法バシバシで描かれる定の半生。
時代背景が大正〜昭和初期の作品であることや、
実験映像の目白押しってことで、
寺山修司 |
の映画を彷佛させるのじゃ。
「田園に死す」とかね。
ワシは終始、何故、定はモノを切り取るに至ったか?
って思いながら見てたのだが、案外ソフトに表現してあったな。
陰茎と陰嚢を切断する道具(メス)の入手に、
定、14歳の初恋の相手、医学生でハンセン氏病患者の岡田を
もってきたのは実に自然じゃ。
「心を切り取る、心があれば安心できる」
物質化できない不確かな心に対する苛立ちと、
精神状態とは裏腹に、過激に欲情する女の体を持ち合わせた定、
唯心論vs唯物論を体現しとるじゃん!
割烹料理屋の旦那、龍蔵(片岡鶴太郎)の気っ風のよい
立ち振る舞いがgood!
98/04/19
Kの独善的評価 ★★(定と龍蔵のからみが弱いと感じる)