黒い家


監督:森田芳光
原作:貴志祐介


昭和生命金沢支社で保全業務を担当する若槻は、ある日、

自殺した場合、保険金は出るのか?

という電話を受けた…

「キッチン」(89)以来かなぁ、森田芳光の映画を見たのは。

「キッチン」は台詞棒読み演出が強烈な作じゃったが、

「黒い家」はエンターテイメントしてたね!

前半のとっても卑屈なサラリーマン描写が妙に可笑しく、

徐々に怖い世界に入っていく…ってのが、上手っスねぇ。

パッと見、異常な人物が登場します。

どー見ても、菰田重徳は変!

(電気のスパークか?昆虫の発する金属音か?の効果音が凄いっス)

犯罪心理学の助教授、ホモの金石も変!

面白い演出だと感じたのは、冒頭の首吊り死体発見時、

警察が来た後に、

球状の巨大なガスタンクを背に、菰田幸子が走ってくるカット

が入ってる事。

これがあるだけで、菰田幸子にアリバイ(現場不在証明)がある錯覚に陥るのよ。

原作と比較すると、映画の方は、菰田幸子に重きが置かれてたね。

小学校時代の回想が、鮮明な映像での表現なんで、えらく気持ちが悪いっス。

あと、性的な部分もずいぶん強調されてた。

乳しゃぶれ!

は拷問ですな…

気になった所と言えば、最後の決闘の時、

ワタシも親に手首を切られたんだ 保険金貰う為に 同じ事をして何が悪い

という説明的な台詞。

コレは要らないなー。いきなり、

乳しゃぶれ!

でOK!だと思いましゅ。

菰田家族の黒い家は、映画では富山県新湊市らしいけど、

(原作は京都市が中心)

黒い家の荒廃したディチールをもっと出して欲しかったなぁ。

けっこう外観は普通の家だったし。

若槻のアパートの合い鍵、

恋人の恵が持ってるってのが、FAX文書だけでは弱かった。

恵が合い鍵を使って扉を開けるカットが欲しい所。

菰田幸子が合い鍵を使うカットと同じアングルで。

映画「黒い家」で一番のハイライトは、

やっぱし、ホモの金石と若槻がエロエロだんすバーで飲む所っスね。

『農薬や工業製品に含まれる化学物質、ゴミ焼却場から出るダイオキシン、

これらが複合的に人間のDNAを損傷し、サイコパスの増加に拍車をかけている。

サイコパス的な人間が増える程、本物が目立たなくなる』

この迷彩効果、なんか背筋にゾゾーっと悪寒がはしります。

99/12/1


Kの独善的評価 ★★★★(気色悪くて、ええ感じ!)


[戻る]