(1997)
Directed by Gus Van Sant
百年に一人の数学の天才、孤児でチンピラ、スラム育ち。
そんなウィルが他人に対して心を開き、
地に足つけて歩き出す青春映画。
奴には二つの選択肢があったように思う。
ひとつは、工事現場と刑務所を往復する人生。
ひとつは、天賦の才を開花させる人生。
恋人を追ってカリフォルニアにボロ車を走らせるあたりは、
どっちつかずの中庸、青春映画の王道的結末ともとれる。
ほとんど自身の人生に意志決定をせず、
「捨てられる前に、捨てることでの自己防衛」を繰り返すウィル。
幼児虐待の生々しい傷痕がその背後に見える。
映像ではランニングシャツを着た男(肉体労働系?)が、
暴行をくわえに階段を上がってくるイメージ。
過去の恐怖の記憶をぬぐい去るには、成長した今、
その男に復讐するしかないんじゃね〜の?
保育園時代に自分をさんざん殴った野郎を
仲間と一緒に襲ったのは、そういうことだろ?
意識的に物語ではウィルは自己分析をしない。
他者(年長の男で同じく幼児虐待の過去を持つ)によって、
ゆるやかに、癒されることが大切だったのだろう。
不幸な過去をもちながらも、運のイイ奴の物語である。
98/05/05
Kの独善的評価 ★★★(宝くじの当たり券を持ってて〜の説得の仕方は生活感があるな)