ラ・マン(愛人)

Amant, L' (1991)

Directed by Jean-Jacques Annaud

Based on the nobel : Marguerite Duras


仏領インドシナ、

破滅寸前のフランス人家庭の長女を

絶大な金力を誇る中国人青年が

性の奴隷

にする物語。

戦略よりも偶然が大きな決定権をもつ愛憎関係…

「私達は結婚できない」

「下賤な中国人など誰が愛するか」

不幸な境遇がフランス娘の感性を殺し、理屈と処世術に全て変えたのじゃヨ。

フランス人は植民地での支配者サイドではあるが、

娘の母は騙されてその財産を失ってる。

上の兄は阿片欲しさに盗みをする乱暴者、下の兄は病弱で無力な存在。

娘の売春を止めるものは何もな〜い。

中国人と連れ込み宿で快楽をむさぼる時、イニシアチブは娘がもってる。

往々にして関係に無頓着な方が主導権を握るみたいじゃネ。

中国人青年が強力な親の管理下にあり、女を愛することしかできない

弱い人間というのがイイ。

背徳行為ゆえの後ろめたさを煽る、雑踏の猥雑な物音と静寂な室内の絶妙なコントラスト。

情事の場面の音の使い方が鋭い!

植民地での支配・非支配の関係が男女間ではそのまま、強者・弱者なのじゃが、

経済的にはまるっきり逆転しているっていう状況が面白い。

娘一家を中国人青年がレストランへ招待する場面、

支配者サイド(仏)のあからさまな敵意と悪意、蔑みと偏見が一気に表出!

娘は愛人の目の前で、下の兄と股間を擦りつけながら踊る。

その後、青年が娘を売春婦を扱うように力まかせに犯すのは、

生涯自己卑下を続ける男の、なけなしのプライドからくる怒りじゃ!

わざと暴力的なセックスになるよう娘が誘導したのかな?

93/


Kの独善的評価 ★★★★★(興奮しました)


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