監督:石井竜也
冒頭、約百年前の中国の阿片窟での前ふりが効いて、
物語に時代、経過した時間の重みを与えている。
自分の身体の変化に戸惑う青年を差し置いて、
海洋学者の老教授のウエイトが大きい。
人魚とは何かを語る説得力は、この教授と、
雑誌記者にあるのだが、一番事態が深刻な当事者の
青年より、周囲が大騒ぎしているように感じられた。
どうまとめるのかな?と思っていたら「E・T」と同じで
これには少々肩すかしを食らったのじゃ。
ホモ・アクアレリウス(人魚の学術名?)、
ミッシング・リンク(進化の過程で、人間になる前、
一度海に返ったものがいる、だから脊髄は複雑にカーブし、
体毛がないとする説?)の二つは興味深い。
石井竜也の「河童」につぐ、
水に関する映画の二作目だが、映像センスがないのだろうか?
思ったより面白味に欠ける仕上がりじゃん。
人魚になる青年役の浅野忠信、きれ長の一重瞼といい、
長髪といい知り合いのT.Kawataにつくづく似ているのじゃ。
漁船の網にかかって魚と一緒に甲板に落ちてくるシーンが印象的。
96/09/30
Kの独善的評価 ★★ (人魚の造形に不満)