■ ジャズ漫画界の帝王、ラズウェル細木氏の大傑作!

ラズウェル細木氏の作品に初めて出会ったのは、「ジャズ批評」での連載が最初だった。

bb / Jan.21,1998

アルト・サックスを買った男、イメージの世界では
彼はパーカーその人だった。しかし吹けども吹けども、
パーカーとはほど遠い音しか出てこない。
ある日喫茶店で知り合ったピアノ・トリオをやっている
「初心者集団」と称する女の子達と共演の約束をする。
しかし吹けども吹けども出来損ないの音しか出てこない。
そしてついに共演の日を迎えてしまった彼は、凄腕の女
の子達にビビリながら、やけくそでフリーキートーンを撒き
散らすのであった、、。
その日以来、彼のアルトは押入の中に眠る。

--- 「にわかアルト・サックス奏者編」 - ときめきJAZZタイムより

いつ訪れても閑古鳥が鳴いている、とあるジャズ喫茶。
ママはもう店を閉める算段しかしていない。
そんなある日、ママの店にウイントンが来るという情報が。
驚喜したママはセッションタイムを夢見て段取りを付ける。
当日超満員のお客達にウイントンはやっぱ来ないよと連絡が入る。
しかし気を取り直して地場のミュージシャンだけのセッションが始まる。
いいじゃん、いいじゃん、これもんよ!!とママは店の継続に勇気を得た。
しかし、翌日からまた店はしっかり閑古鳥の巣と化す。

---「がんばれママさん」 - コンプリート・ジャズ・コミック・コレクションより

読んでいくうちに登場人物の「ラズウェル」が、氏のことではなくて全国の
愛すべきジャズファンの象徴であることが判った。その彼をとりまく、いつ
でも何処にでもありそうな日常が読者を引きずり込むのだ。

ジャズファンが夢見る世界、はたまた陥りやすい症候群を氏も自ら
一通り経験されたのだろうか?そんな風に思えてしまうくらい、いずれの
作品もジャズをとりまく人たちへのへの愛情と皮肉?の混じった熱血大傑作集と私は思う。


「ときめきJAZZタイム」ジャズ批評社 1989年10月20日発行

ジャズ批評連載だった作品を14編収録した作品。
当時ジャズ批評を定期購読していた私は、真っ先
にこのページから読んだものです。

最もコアなジャズマガジンとして、季刊で発行され
ていましたが、レコード批評自体が学術的なタッチ
でかつ、紹介されているLPの半分は入手困難なもの
ばかりという内容、、。読者としてはただひたすら知識
としてそういうLPが出ているのかと、ありがたがってい
た記憶がある。氏の連載は、その堅物的な本のイメージ
を中和し、馴染みやすいものにしてあまりある貢献をしていたと思う。




「コンプリート・ジャズ・コミック・コレクション」双葉社 1992年12月1日発行

上の「ときめき、、」との重複が多いのですが、
収録作品数が26編と多くしかもラズウェル流
「ジャズ・キーワード辞典」と「ラズウェル・コレ
クション - 私の愛聴盤」も収録されている。

「俺も若いときはよく聴いたんだ」といった過去形
のジャズ・ファンには絶対なりたくないという、氏の
あとがきには力強いものを感じる。例えジャズ喫茶
に行く回数が減ろうと、中古屋をねりあるく回数が
減ろうとも、好きな音楽を聴いてるときの幸福感は
あの頃のままだ、というくだりは同じような
ファンの一人として、またCDを売っている現場の
人間として嬉しい限りです。このコミックと連動して
リリースされたCDも。


CD 「イントロデューシング BN4000」 東芝EMI 1992年12月16日発売

ラズウェル氏監修の元、ブルーノートの作風でもある超ゴキゲンでファンキーな音!
ばかりをパックした一枚。
これはおそらく氏の夢の実現のひとつではないでしょうか。
ジャズ批評家を喰った作風が多い氏自らが監修してしまった訳で、
かなり面はゆい思いをされたのではと想像しますが、そこはそれ、
有名作をパロディーにしたジャケット集などでしっかり中和されています?
"Set us free"のルーベン・ウイルスンを便器に座らせて
"Set ass free"とした一枚には腹を抱えて笑ってしまった。






「BLUE NOTE CLUB」機関誌

氏のジャズワークは現在も継続中。
「BLUE NOTE CLUB」機関誌への連載だ。
従来型の?コアなジャズファンだけでなく、
ライト感覚な女性をもターゲットにした東芝EMIの
戦略に沿ってか、肩のこらない作風となっている。
ような気がする、、(笑)
なお、BLUE NOTE CLUBとは東芝EMIがリリースする
ブルーノート作品を対象にした会員制のクラブで、
CDサンプラーの配布や特典もある魅力的な会。
誰でも入会できますので興味のある方は
東芝EMIブルーノートクラブ事務局
03-5512-1763までお気軽にお問い合わせ下さい。

注)ブルーノートクラブについて

ブルーノート事務局へ問い合わせの上入会を申し込むと、別途申込用紙が送付され、それを返送した時点で入会となります。
会員期間は一年単位で、特に退会を申し出ない限り毎年自動更新となります。
現在は有料会員制度になっておりますので、所定の会費は必要です。


JAZZ批評社かブルーノート・クラブあたりで、この「ときめきJAZZタイム」
または「コンプリート・ジャズ・コミック・コレクション」を
再版してくれたらファンとしては嬉しいんですけどねぇ。
なんとかならんかなぁー。


JAZZ関係だけではない、氏の作品の数々-

シリーズ - 「酒のほそ道」

酒とは実に奥深い人生の友。
様々なシチュエーションのもと、楽しみ方を伝授してくれる本。
酒飲みのうんちくに耳を傾けていると、酒飲みが「ウルサイ」の
ではなく、酒それ自体に、酒飲みをそうさせる魔力があるのか
と思われる。私自身は無粋な方で、アルコールであれば何で
もよい方なんですが、 ← 大体、この頃は付き合いでしか飲ま
なくなったけど。この作品を読むときはいつも、もしも氏と酒を
呑める日が来たらこんなことではマズイぞと緊張しながら読ん
でいる。(笑)


「酒のほそ道」壱 - 日本文芸社平成8年9月25日発行













「酒のほそ道」弐 - 日本文芸社平成8年9月25日発行













「酒のほそ道」参 - 日本文芸社平成9年10月25日発行













「酒のほそ道」四 - 日本文芸社平成10年2月25日発行

相変わらず、いかなる時も酒とともにある宗達。
酒と肴の日がな一日、とにかく手近にあるものを最高の肴にしてしまうこのパワー。
彼にかかってはその辺のツナ缶も、あるいは食パン一枚でも、
天下一品の料理に変えてしまうのだ。
その間に費やす時間と手間を惜しまないところがホントの酒飲みか。
このページをupしてから、時に、ラズウェル氏がサイン入りで
著書を贈って下さるのですがそれは家宝として、本屋さんでも買う、
その時に売れてますか?と聞くと、けっこう評判なんですよと答えが
返ってきます。嬉しい限りです。

bb / Aip.16, 1998


「酒のほそ道」五 - 日本文芸社平成10年12月10日発行

宗達健在なり。
クリスマス編、正月編、
お花見に、新社会人編と、
今回はシーズニングが目立ちますが
酒飲みには口実は何でもいいっすね。(笑)





bb / Dec.1,1998


シリーズ - 「パパのココロ」 婦人生活社 育児雑誌「プチ・タンファン」に連載の作品の単行本化。

これははっきり言って楽しいっす!!で、面白くてためになるという、読むとじっとしてられなくなるんです。
あのにくったらしい子供が可愛くなるんですから、この作品にはやはり何かあるぞ。
子供の居ない方も、独身の方も絶対読んでみるべし。ほんとに面白いんだぞ。←うちは子供居ない夫婦なのに、やっぱ読んで笑い転げる。
登場人物が漫画家とそのファミリーなので、
読者には筆者の日常として感情移入してしまう面白さがあります。

「パパのココロ」 婦人生活社平成7年8月5日発行















「パパのココロシリーズ2」婦人生活社平成10年4月10日発行


月刊「プチタンファン」の1994年4月号から1996年1月号までの連載分をまとめたもの。
歯磨きの苦労や、子供ならではの儀式等、今回も子育て生活に密着度100%で、
一気に最後まで読んでしまった。












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