今日、彼が亡くなったというニュースを「ぶる銀」で知りました。7月3日に亡くなったそうです。
心臓に疾患があって、ドナーを待っているというCNNのニュースを見たのが一昨年だったと記憶しています。
その後も元気に活躍していたので安心はしていたのですが、死因はやはり心臓疾患のようです。
一番好きなブルースマンの一人というだけでなく、ギターにしか興味がなかった私にブルースの本質を解らせてくれた人でもあったのです。
このホームページに着手したら書こうと決めていた自分のBEST3の一人でした。
もうこの3人で健在なのはアン・ピーブルズだけになってしまい寂しい気がします。
今、手元にジョニーのLP"MAKE MY HOME WHERE I HANG MY HAT"のライナーノーツがあります。
1983年当時、添田秀樹氏が書かれたものですが、
ジョニーの経歴を知るのに、これ以上の資料を私は知りませんので失礼を承知で、少し引用させていただきます。
- bluesboy 6 July 1997
- ルイジアナ→テキサス→ニューヨーク
ジョニーは37年3月27日、ルイジアナのヘインズヴィルで生まれ、13歳までアーカンサスで育っている。
その後テキサスのヒューストンへ移り、兄のジョー・ヒューズに出会い18歳で4
人編成のバンド"ザ・デュークス・オブ・リズム"を作ったのが
ミュージシャンへの第一歩だった。ヒューストン・ブルース・シーンの立て役者、ビッグ・フランクの世話になったり、クラレンス・サミュエルズの
下で南部へ初ロードに出たのもこの頃らしい。そして、ナッシュビルでクラレンスのバック・ギターとして初のレコーディングも経験している。
57年にはジョニー・"ギター"・ワトソンの紹介でドン・ロベイのデューク・レコードと契約するが、ミス・ラヴェル(ホワイト)の
レコーディング・セッションに参加しただけに終わっている。ジョニーとしては、ヒューストンの小レーベル
= デュークよりは、
シカゴとかニューヨークのメジャー・レーベルに惹かれていたらしく、ドンの方もボビー・ブランドのプロモートにより強い関心があったようだ。
58年には、ボブ・シャドと知り合いマーキュリーと契約している。この頃のジョニーのバンドは、ギター、ピアノ、ベース、ドラムス、サックス2本
という編成で、相当厚みのある音を出していたことを予想させる。このバンドを従えて、ジョニーはヒューストン・ゲットーを中心に、
アルバート・コリンズ、フレディ・キング、タイロン・デイヴィスらと接触を持ったようだ。
60年代初頭、ジョニーの友人ジョー・ヴィジィが録音の話を持ちかけ、チャーリー・ブースのゴールデン・イーグルというレーベルに初の
自己名義シングルを吹き込む。それが"Down On Bending Kness"という曲で、南部のローカル・ヒットとなる。因みにラウンダーの第一作で、
この曲を再演している。ゴールデン・イーグルの財政的行き詰まりを契機に、ジョニーはヒューイ・ミュークスに拾われ、彼のプロデュースの下で
Wandにアルバム一枚を売り込んだ。(結局リリースはされなかった)。この後、Atlanticに数枚のシングルを残しながら、67-68年頃は
バンドなしのソウル・シンガーとしてパッケージショウに参加していた。再びバンドを組んだのは69年で、70-71年頃にはロスのKentから
少なくとも4枚のシングルをリリースしたようだ。そして、75年にニューヨークへ移る迄、ヒューストンのローカル・レーベルへ多くの
シングルを残している。
ニューヨークへ赴く決意は、南部でのブルースの不振と、ミュージシャンとしての野望があったからだ。ハーレムやニュージャージーで
ギグをしながら、ジョニーの野望は遂に81年実ることになるのだ。
- ラウンダーでのジョニー・コープランド
79年末から約2年間の歳月をかけて作られたものが、ラウンダーでのデビュー・アルバム"Copelnad
Special"(ROUNDER 2025)で
ニューヨークとボストンで録音されている。冒頭でも書いたように、色々と話題を撒いた一枚で(注1)アメリカ帰りの友人から貰った土産の
レコードがこの一枚であり、私自身このレコードで初めてジョニーの名を知ったわけだ。このレコードではニューヨークへ移ってから
ジョニーのライヴ・パフォーマンスをベースに録音が行われたらしく、バックもジョニーのバンドが務めている。周囲での喧噪を小耳に
はさみながらも、なかなか面白いブルースマンがレコードを出したものだなと私などよくこのレコードを聞いたものだ。
そして、82年にリリースされたのがこのラウンダーでの二枚目であり、ジョニーのモダーン・ブルースに託したパッションを窺い知ることの
できる、第一作以上の出来を示している。アルバム・タイトルにもなっている"
メイク・マイ・ホーム・・・"は、77年Crazy Cajunに残した
ジョニーの弾き語りブルースで、ここで聞かれる全くのモダーン・ブルースにリアレンジしたヴァージョンから、今ジョニーが何を一番演奏
したいかわかって頂けると思う。強力なブラス陣に支えられながら、前面にフィーチャーされたよう歌うギターと歌のうまさは何とも魅力だ。
-- 以上がライナーノーツからの引用です。
注1)当時ソウル・シンガーからブルースマンとして転身を計ったことで話題になっていたことを指しています。(bluesboy)
私が初めてジョニーを知ったのはこのアルバムです。
ブルースをギター・ミュージックとしてしか聴いていなかった私に
ブルースの本当の面白さを強烈に解らせてくれた一枚でした。
それくらいジョニーの歌にはインパクトを感じました。
バンド全体のアレンジも決まってます。
(詳しくはこのHP制作時にUPした時のContents「特別な3枚」の方を参照していただければと思います)
当時は添田氏のこのライナーを何度も読みながらアルバムを聴きました。
格別な思い入れのある一枚として、これからも忘れないと思います。
ROUNDER 1982:国内盤 ATRAS LA25-5003
ユピテル・レコード(廃盤)
1 | Natural Born Believer |
2 | Make My Home Where I Hang My Hat |
3 | Devil's Hand |
4 | Cold Outside |
5 | Love Utopia |
6 | Boogie Woogie Nighthawk |
7 | Honky Tonkin' |
8 | Well Well Baby-La |
9 | Old Man Blues |
10 | Rock'n Roll Lilly |
Johnny Copeland: guiter and vocals Ken Vangel: piano Michael Merritt: bass Ken Pino: rhythm guitar Julian Vaughan: drums John Pratt: trumpet Joe Rigby: alto,tenor and baritone saxes Greg Alper: tenor sax Bill Ohashi: trombone Produced by Dan Doyle |
1 | Everybody Wants A Piece of Me |
2 | Copeland Special |
3 | It's My Own Tears |
4 | Claim Jumper |
5 | Natural Born Believer |
6 | Cold Outside |
7 | Honky Tonkin' |
8 | Love Utopia |
9 | Don't Stop By the Creek,Son |
10 | Houston |
11 | I De Go Now |
12 | Excuses |
13 | Ngote |
14 | Kasavubu |
15 | Abidjan |
ジョニーのラウンダー期作品の集大成盤。
(3)のようなマイナーのド・ブルースに弱いんです。ピアノの絡みも最高。
(7)のストレート・ブルースでもジョニーの持ち味が最大限発揮されています。
(14)と(15)は最初妙なブルースだと感じましたが、ジョニーの全体像を知って、これこそがもう一つのジョニーのキャラクターだと判りました。
1 | FLYIN'HIGH(Yesterday) |
2 | HOOKED,HOG-TIED & COLLARED |
3 | GREATER MAN |
4 | JAMBALAYA(On the Bayou) |
5 | SAN ANTONE |
6 | THIGPEN(Cornball) |
7 | PROMISED MYSELF |
8 | LOVE SONG |
9 | CIRCUMSTANCES |
10 | AROUND THE WORLD |
フランスのGITANESと契約してからの第一作。
ルーズなフィーリングで始まるトップの曲からちょっといつもと違う。
そうホーン・アレンジからして全然違うんです。
荒削りだけどワイルドだったバンド・サウンドのイメージが、ゴージャスで洗練された気がします。
といっても当のジョニー自身は変わってないところが良い。
ピアノにDr.Johnが入った(4)が一番気に入ってしまった。
いつか自分のバンドでこのバージョンでやってみたい、といっても実はへたなんですが(笑)
次の(5)と Buckwheatがアコーディオン弾いてる(8)も地味ですがとっても良いです。
(8)でのギターが何でもないようで、ジョニーの懐の深さを改めて知る思いがしました。
1 | CATCH UP WITH THE BLUES |
2 | ROLLING WITH THE PUNCHES |
3 | EVERY DOG'S GOT HIS DAY |
4 | COLD,COLD WINTER |
5 | MAKING A FOOL OF MYSELF |
6 | RAIN |
7 | THE GRAMMY SONG |
8 | BYE,BYE BABY |
9 | ANOTHER MAN'S WIFE |
10 | I'M CREEPIN' |
11 | PEDAL TO THE METAL |
12 | LIFE'S RAINBOW(NATURE SONG) |
軽快なフットワークでのっけからキメてくれます。
実際この時期が最も充実していたのではと感じます。
全曲にジョー・ギター・フューズやロニー・ブルックス、ゲイトマウス・ブラウン!らが参加。
バラエティに富んでいて何度聴いても飽きのこない作品です。
(4)なんかゲイトマウスのレコーディングにジョニーがゲストで入ったみたいな錯覚を覚えるけど、ゲイトマウスってほんま、強烈やねん。
一曲、一曲が粒ぞろいですが、(7)みたいなカントリー・タッチの曲もあってほんと、ジョニーはフレキシブルです。
個人的には本来のジョニー節が聴ける(2)とか(5)(6)とかが好きですが、(5)なんかではゲストのロニー・ブルックスまでが
ジョニーっぽいフレーズのソロを弾いてる。
1987年にグラミー賞をとった、アルバート・コリンズ、ロバート・クレイとの共演作を思い出させる作り方ですが、
これはあくまでジョニーのフィールドでやってます。
1 | READY,WILLING,AND ABLE |
2 | THE JUNGLE |
3 | BLUES AIN'T NOTHING |
4 | KASAVUBU |
5 | HOLD ON TO WHAT YOU GOT |
6 | MONKEY ON MY BACK |
7 | WE LOVE WALKING ON THE WILD SIDE |
8 | JUNGLE SWING |
9 | SAME THING |
10 | ABIDJAN |
11 | I GOT A LOVE |
いきなりレイドバックした気分で始まるのと、アコースティク・ギターをフューチャーしてあるので新機軸かと思いきや、
アルバム全体はラウンダーでもあったアフリカン・ルーツした感じ。
1984年にラウンダーから出た「ブリング・イット・オール・バック・ホーム」を初めて聴いたときは正直とまどったんですが、
過去にアフリカを回ったときに各地で現地録音した物と聴いて納得しました。
誰が聴いても解るアフリカの音にしたかったんだ、という発言を読んで、その目論見は大成功だと思った。
でこのアルバムはその時ほど『アフリカ』してるわけではないですが、それでもリズム・セクションにきっちりとふりかけのように
散りばめてはあります。
そのせいかちょっと違和感があってあまり聴いてない作品ですが、(5)のようなストレート・ブルースは
いつものジョニーが聴けます。
(8)は何気に妖しい雰囲気が好きです。レゲエ+アフリカ+ボ・ディドリー?
私はブルースマンになってからのジョニーが好きなので、
これより以前の作品は持っていませんが、ファンの間ではソウル時代の彼の評価は相当高いらしい。
P-VINEから出ているその時代の作品を一時期良く聴いたことがありましたが、結局私にはジョニーはブルースマンでした。
また今回の訃報を掲載してあります、ぶる銀の該当ページは http://www.wellcomm.co.jp/~blues/jcopeland.html
です。