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Payton's Place / Nicholas Payton - Verve 国内盤 POCJ-1411 1998年5月20日発売

@ Zigaboogaloo A The Three Trumpeteers B Back To The Source C A Touch Of Silver
D Concentric Circles E Li'l Duke's Strut F Time Traveling G With A Song In My Heart(Richard Rodgers-Lorenz Hart)
H Pararhernalia(Wayne Shoter) I Brownie a la mode J People Make The World Go Round(Thom Bell-Linda Creed)
K The Last Goodbye L C'est L'amour qui passe
all compositions by Nicholas Payton except tracks 8,9,and 11

Recorded at avatar studio New York Sep.29-30 1997 and Jan.6,1998
Production Coordinator Camille Tominaro
Recorded,Mixed,and Mastered by James Nichols

Nicholas Payton - trumpet / Tim Warfield - tenor sax / Anthony Wonsey - piano / Reuben Rogers - bass / Adonis Rose - drums
Wynton Marsalis additional trumpet,tracks 2,10
Roy Hargrove additional trumpet,tracks 2,8
Joshua Redman additiona tenor sax,tracks 4,

1973年9月26日ニューオリンズ生まれというから、現在25才といたって若いけど、実は10代で鳴り物入りのデビューを果たしている。
当時は神童だの第二のウイントンだのと喧しく、今から思えば彼にとっては周囲のそういった空騒ぎは迷惑なだけだったのかも知れない。
というのもこの作品で初めて彼はなんでも有りの姿勢を打ち出したからだ。

@の「ジガブーガルー」なんか、一聴してあのリー・モーガンの大ヒット作「サイドワインダー」のようなジャズ・ロックのサウンドをベースに、
ハービー・ハンコックの名作「ウォーターメロン・マン」のようなメロディかかぶさる、いたって軽快な曲であります。
優等性的なスタンスを今まで崩さなかった彼にしては、これは思い切った過去の自分との決別宣言なのかと受け止めました。
しかも朗々と吹いているこの曲を頭に持ってくるので、こりゃ絶対そうだなと思った次第です。

Aは現在のトランペット・シーンをリードする先輩ウイントン・マルサリスとロイ・ハーグローブが客演してるのですが、
ここでソロの二番手を吹くニコラスが一番存在感があったりする。全然負けてないのが凄い。
このペットの鳴りの良さはかつてのフレディ・ハバード級。
ライナーを書いてらっしゃる児山氏も指摘してるのですが、作風自体がフレディっぽいCなんか、うっかりしてるとフレディ本人かと思ってしまう瞬間もあります。

Cはタイトル通りホレス・シルバー風の作品でここでのテナーはジョシュア・レッドマン。
ジョシュアもニコラスもここでのアプローチは50年代のハードバッパーを思わせるのですが、それが作風にぴったり合っていて、
私なんかには嬉しいスタイルの曲ですね。ブルーノート時代のショーターとフレディをちょっと思い出したり。

でも個人的なベスト・トラックはEの「リル・デュークス・ストラット」です。身体が横揺れするようなゆっくり目の曲が好きなんですが、
この曲なんかはまさにそういった曲調でグルーヴ感に満ちてます。
とにかく70分以上ほぼ満タンに収録したこの作品、今の彼が如何に自分のすべてをここにぶつけたかが判る一枚です。
今望みうる最良のジャズが聴ける一枚と思いました。

b.b. May 30 1998