単行本 Jazz PEOPLE Index Blues PEOPLE index mail to bluesboy

ここに集めた本は、度重なる転勤の都度、狭いアパートへ引っ越すことになったりで、かなりの本やLPを処分した際にも生き残ったもの。
何故かずっととっておきたかった本という物には、愛着を超えたものがあるような気がします。


Ortiz M.Walton著 / 外山善雄・訳 スウィング・ジャーナル社 1975年2月

著者は黒人としては初めてボストン交響楽団の
一員となった経歴を持つ人。黒人サイドから書か
れたジャズの歴史書として当時はかなりインパク
トがあった。

白人に支配されるマーケット、それはロックとの
関わり合いについてもページが割かれている。
もう我慢できない、というメッセージは必然的な
ものだったに違いない。






J.C.トーマス著 / 武市好古・訳 スウィング・ジャーナル社 1975年7月

多分にトレーンを神格化しすぎる傾向にあった当時、
私もその信者の一人でした。この本が出たときは彼
のLPをBGMにむさぼり読んだ覚えがあります。
この本で彼を知るというより、読むことで自分自身が
信者であることを確認していたような気がする。

しかし当時20代前半だった私にそういう生活は「すり
込み」としての効果は絶大?だったのかマイフェイバ
リット・シングスでのソプラノや、MR.PCでのテナーを
聴くと絶対的な存在感を持って迫ってくるのです。
もちろん私にとってトレーンは過去の物ではなく、今
でも重要なウエイトを占めてます。


クロード・ブラウン著 / 小松達也・訳 サイマル出版会 1971年

発刊当時、朝日を始めとした新聞社の
絶賛を浴びた一冊。今思うと、ゲットー
出身の黒人が本を出したということ自体
が、マスコミ受けしたと いえなくもない。

とはいえ当時18才だった私には、ヤク、
女、盗み、と何でも有りの毎日を赤裸々
に書いたこの本が衝撃的であったことは
確か。当のアメリカでもかなり売れた本
らしい。




植草甚一著スウィング・ジャーナル社 1968年

この本を買ったのは75年で既に第13版と
なっているから、やはりかなり人気があっ
たのは間違いない。

かくいう自分もこの植草甚一氏の本はよく
読みました。今思うと何故そうまで読んだ
のかピンとこないのですが。しかも要所、
要所に囲みや線引きが入れてある。

それらは当時の自分にとって気になるキー
ワードだった訳ですが、片端から本を読んで
いた時期ではありました。



植草甚一著晶文社 1971年

やはりこれも買ったのは74年で版は10刷
となっている。自らを雑学で食べていると
形容する人ですが、この本なんかはまさに
雑記帳と言ったニュアンス。

それでいて先へ先へと読みすすんでしまう
のは普通のひとの感覚で書かれてるから
だと思う。ジャニス・ジョプリンについてもそ
の生き様について、いいとも悪いとも主観
は書かずに、彼女の印象的な写真が載っ
ていたライフ誌だけは捨てなかったとか、
話題のレベルが身近なのです。



植草甚一著晶文社 1967年

これは73年に買って、版は18刷。
タイトル通り、フリージャズについて
書かれている。前衛を語るとなると
鋭角的あるいは精神論的になりそ
うなところを、氏はいつものペース
で新宿のオザワだのトガワだの、
具体的な店名をあげては何処で
何を買ってなどと、日記帳にして
しまうあたり荒技である。

30年も経つと今はない店の名前
が懐かしい。



植草甚一著晶文社 1970年

これも73年に買って、版は12刷
ここではジャズから離れて社会
事象や他の人たちの様々な発
言に検証を入れてある。

ある出来事について書かれて
いるものをみたとき、果たして
そうなのかなと、別角度から書
かれたものがないか気にとめる
ようになったのは、こういった本
の影響が大きいようだ。
今50代前後の方に氏の愛読者
が多かったんだろうな。

内田晃一著スウィング・ジャーナル社 1976年

発刊当時は新宿のレコード・ショップで輸入盤を
担当していた頃。当時はシュワンのカタログを見
てあたりを付けて発注するといったバクチ的な仕
入方でした。今と違って売れ筋がひとつのものに
集中するということはなく、多品種少量仕入でした。

平行して日本のジャズにも興味を持っていたのは
きっと、ジャズ喫茶だけでなくPIT INNなんかでライ
ヴをちょくちょく聴いてたせいでしょう。海外のジャズ
よりさらに売りにくいのが日本のジャズではありまし
たが。生を観ればそれらがどれくらい素晴らしいもの
であったかたちどころに判るのですが。


ジャズ批評社 1983年2月

これなんかはBlues PEOPLEのほうに載せた方がふさわしい内容なのですが、
ジャズ好きが突っ込んだ黒人音楽全般 ゴスペル、ブルース、ソウル、ファンク
の本ということで。さすがにコアな編集姿勢の現れでしっかり年表も付いていて、
1619年のオランダの奴隷船の入港から始まっています。

それによると1712年にニューヨークで最初の大規模な奴隷暴動が発生、1739年
からはさらにそれが激化、1789年にワシントンが大統領に就任、北部で奴隷貿易
禁止となっている。1827年には最初の黒人新聞が発刊され1855年には反奴隷
制度の歌の曲集が発行されている。1861年の南北戦争勃発、1865年にはその
南北戦争が終結し黒人の自由を保証する憲法修正第13条が議会を通過、リンカ
ーン暗殺もこの年の出来事。1870年には憲法修正第15条で黒人の選挙権を承認、
最初の黒人議員が誕生した。

で、1880年にチャーリー・パットンがこの世に生を受けた。