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20世紀ポップ・ロック大全集 パンク&レゲエ・ムーヴメント編

NHKソフト・ウェア - ポニー・キャニオン PCVE-10775 ¥3.300(税抜) 1998年7月17日発売

収録アーティスト&インタビュー

アフリカ・バンバータ、アーサー・ベイカー
バーナード・サムナー、ピーター・フック
シーモア・スティン、リック・ルービン
ランDMC、ビスティー・ボーイズ
ラッセル・シモンズ、チャックD
デ・ラ・ソウル、デリック・メイ
フランキー・ナックルズ、アレックス・パラースン、
グランド・マスター・フラッシュ、デボラ・ハリー他




クラフトワークをして最高にファンキーなサウンドと絶賛する
アフリカ・バンバータ。
まずここで、通常のブラック・ミュージックにおいての
「ファンキー」というイメージと大きく異なった位置から
曲を解釈してるんだなというのが解りました。

この時期のヒップホップ・シーンに関わった人たちの
インタビューを聴いていて感じたのは、まず「解ってる」やつか
そうで無いかの試金石がクラフトワークだったようです。

しかしヒップホップ・ムーヴメントへの転換期にも
黒人アーティスト達はメディアからは冷ややかな扱いを
受けています。
結果的にはビースティー・ボーイズが自分たちなりの
ヒップホップをひっさげて登場、その大成功によってようやく
シーン全体に陽が当たるようになる。
それでも、パブリック・エナミーのようなメッセージ色の
強いものは電波には乗らなかったようです。

しかしとにかく彼らに共通しているのは「サンプリング」という
作業の上に自らの世界が構築されていること。
楽器を使って曲作りをするそれまでの手法とは根本的に
異なっているのがヒップホップ文化の根底にあるといっても
過言ではないと思います。

すでに世に出ている星の数ほどの音源からいかにクールで
ファンキーなネタを見つけるか、またそれを如何にかっこよく
仕上げるかがDJのセンス。それは作る方も受け止める方も
刺激的であることは確かだと思います。

しかしそれらの多くはあまりにもストリート感覚過ぎて
その場、その時代には良くても、ずっと聴き継がれては
いかないのではという危惧も個人的には感じています。
ひとことで飽きやすいってことですが。その辺は音楽市場が
ひとりでに答えを出すことになるのだろうと思いますけど。

いずれにしてもこの手法はこれからも色んな形に発展していくのでしょう。
イメージ通りに加工しやすいこと、ヒット曲作りにもネタを引きやすい
(著作権の問題はありますが)手法である以上、これからも次々と
新しい人がこの手法を取り込んでいくのではと言う気がします。
あとは同様の手法を多用するテクノシーンが果たしてメジャーに
成りうるのかという興味でしょうか。

インタビューの中で、ビースティーが「ヒップホップ」ランDMCが「ラップ」と
はっきり言葉を区別してシーンを語っているのですが、字幕は総て
「ラップ」と訳していたのがちょっと気になりました。
中には「ビースティ・ボーイズは非常にブラック・ミュージックを
愛してる連中だ」と語っているのを、「彼らはラップ好きだ」と訳していたり。

ま、そういった些事はおいといて、加工された音を楽しむ人々と、
生の音を楽しむ人々が共存していく時代である以上、好きか嫌いかの
両極間を振り子がいったりきたりする瞬間が自分の中でも続いていきそうです。

過去を振り返ってきたこのシリーズもこれで一応完結。
ここから先は誰にも予測は付かないのだけれど、ルーツと今を知れば
次が見えてくるのかも知れないという気持ちはあります。
私にはまだそれが見えてはいないのですが。


- bb / Feb.11,1999