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20世紀ポップ・ロック大全集 ブリティッシュ・ロックの金字塔編

NHKソフト・ウェア - ポニー・キャニオン PCVE-10770 ¥3.300(税抜) 1998年7月17日発売

収録アーティスト

エリック・バードン、ロバート・プラント、
ヴァン・モリスン、ジョン・メイオール、
ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、
ビル・ワイマン、チャス・チャンドラー、
チェス兄弟、ジョルジオ・ゴメルスキ、
ジョン・リー・フッカー、ノエル・レディング、
ミッキー・モスト、アレクシス・コーナー、
ブライアン・ジョーンズ、ミック・ジャガー、
エリック・クラプトン他



'60年代初頭、時を同じくして同時多発的にブルースに
触発された英国の少年達が、数年後には英国のみ
ならず、米国の音楽シーンまでも塗り替えていくことになる。

当時エレキ・ギターを持ち込めるクラブが無かったことから
自らクラブ設立を提案し、このブリティッシュ・ブルース黎明期に
大きな貢献をした、アレクシス・コーナーの存在は大きい。
燃えたぎるほどのブルースへの情熱に溢れた連中が連夜、
ここに集うことになる。アレクシスはクラブのオーナーでは
なかったけれど、常にその場を仕切る役割を負っていた。
ステージに上がりたくてたくてうずうずしている連中を、
その場、その場の判断でプレイさせていた様子が
目に浮かびます。

初めの頃は集まったミュージシャンの方が客より多い
といった状況だったようですが、いつしか評判を呼び
300人収容のこの店が常に満員というようになったという。
連夜多くのティーンが集ってブルースで踊る、今では夢のような
姿がこの当時は最先端の姿だった訳ですね。極端にいえばブリ
ティッシュ・ロックの原点がここに集約されてます。

常連だったストーンズの人気がホール・クラスになった頃、
一軒の小さな店に過ぎないアレクシスの店は、彼らの
後釜を探すことになり、見つけたのがヤードバーズだった。
ジョン・メイオールの証言によれば、この時期のクラプトンの
ブルース・ギターはまだ未消化だったようですが、それでも
多くの人々の驚愕と賞賛を集めるには充分だったようです。

ここで、当時のヤードバーズのメンバーが興味深い話をして
います。その頃のクラプトンは、極細の弦を多用していたため
しょっちゅう演奏中に弦を切り、切れた弦を張り替えるのがスロ
ーモーだったので「スローハンド」というニックネームを貰ってしま
ったらしい。メンバーも心得たもので、また切ったぜ、という感じで、
演奏のテンポを落とし、彼が弦を張り替えている間観客は手拍子
を打ちながら待ったそうです。「そうとは知らなかっただろう」と得意
そうに話す表情はどうやらそれが真実らしい。

ともあれ、ブルースという共通のスタート地点から活動を始めた
彼らではありますが、そういった時期を経て、ストーンズやクリーム、
そしてレッド・ツェッペリンといった、その後の時代をリードする斬新な
音楽性を持ったバンドが生まれました。

今思い起こしても不思議なのは、単なる貿易の産物として
イギリスの港にたどり着いたマディやウルフのドーナッツ盤が
総ての引き金を引くきっかけとなったこと。それがこのビデオ
でも語られてます。こんなアングラなレコード聴いてるのは
俺達だけだと思っていたら、みんな聴いてたんだよ、と。

- bb / Dec.1,1998