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20世紀ポップ・ロック大全集 ファンキー・ソウル・ヒストリー編

NHKソフト・ウェア - ポニー・キャニオン PCVE-10774 ¥3.300(税抜) 1998年7月17日発売

収録アーティスト

アリサ・フランクリン、ジェームス・ブラウン
フランキー・クロッカー、フレッド・ウエズリー、
アラン・リーズ、ネルソン・ジョージ、
ジャボ・スタークス、ブーツィー・コリンズ、
バーニー・ウォーレル、ジョージ・クリントン、
ファミリー・ストーン、ラリー・グラハム、
カリス・バヤーン、ラーキン・アーノルド、
ローガン・ウエストブルックス、ケニー・ギャンブル、
リオン・ハフ、メイシオ・パーカー、
デビッド・ボウイ他


'60年代後半のソウル・ミュージックの衰退後
新たに強烈なリズムを全面に打ち出した
ファンク・ミュージックがシーンに
台頭し始めます。

その代表格としてJB(ジェームス・ブラウン)
にかなりの時間を割いて、彼がこの時代
如何に大きな役割を果たしたかが
熱く語られていきます。

JBがバンドの中に複数のリズムを導入し、
ポリリズム的なアプローチで
ホーン・セクションまでをリズム楽器に
変えてしまった等、JB特有のファンク・サウンドの
創始者であることを強調しています。
とはいえ、途中からバンドに加入した
ベースのブーツィー・コリンズが
さらにそれを発展させた部分を
きっちりと押さえています。

その後ブーツィーはJBの元を去り
P-ファンクの王者、ジョージ・クリントン
率いるファンカデリックに加入するわけですが
そこでもリズム面の要はブーツィーだったと
ジョージ自身の口から語られ、
彼の重要性を強調します。

とはいえ、Pファンク特有の過剰な演出や
サウンドは一部の熱狂的ファンを開拓はしたものの
一般的には受け入れられなかったことを
『俺達はカルト過ぎたから』というジョージのコメント
で指摘した形になってます。

一方でサンフランシスコから登場した
スライにも大きなスポットが当てられ、
共に成功した両者を、独裁者的なJBと
集合体として成功したファミリー・ストーン
という位置づけで対比的に浮かび上がらせています。
またここで、ベース弦を打楽器的に弾く、チョッパー・ベース
奏法は、スライのバンドに居たラリー・グラハムが創始者で
あることも確認されます。

私も記憶に鮮明なのですが、当時自分の周囲でも
このベースはめちゃくちゃ格好いいとか、
中には早速真似してバキバキいわせて弾く
人たちが出始めた頃でした。
プロ・ミュージシャンでは後藤次利氏がいち早く
このスタイルを取り込んで作品作りをしてましたよね。

ファンクの流れは拡大しオハイオ・プレーヤーズ、
アース・ウインド&ファイア等の人気バンドも
生まれひとつのムーヴメントを形成するのですが、
特にP-ファンク勢に顕著だったバンドの巨大化が
結果的にはファンク自体のスピリットそのもを
失い萎んでいったと締めくくっています。

その結果、よりシンプルな音への回帰として
パブリック・エナミーの音と映像をバックに
ヒップホップへとシーンの流れが
変わっていったと、締めくくっています。
とはいえ、一見新しいそのヒップホップの
サウンドも根底にあるものはこの時代の音を
サンプリングするという行為の
上に構築されてることも
指摘してます。

前後しますがファンク・ブームの最中、
一方で映画『サタディ・ナイト・フィーバー』の
大ヒットによる空前のディスコ・ブームが
発生しており、その現象を抜きにして
'70年代を語ることは出来ないのも事実です。

そのディスコ・シーンの中心にあった
当時のフィラデルフィア・サウンドのコンポーザー、
ギャンブル&ハフはそれまでのファンク・サウンドの
要のひとつであったホーン・セクションをストリングスに
置き換え灰汁の強さを薄めた曲を書くと
次々それらがチャートインしたと
言う意味の事を語っています。

この受け止め方は少々私の
偏見混じりかも知れませんが。

その頃鳴かず飛ばずになっていたマイケル・ジャクスンの
ジャクスンズをギャンブル&ハフがプロデュースして
復活を果たした経緯も紹介されています。
このときマイケルの作曲の才能に気付いた
彼らが曲作りのノウハウをマイケルに伝授
したという話は興味深い話でした。

ディスコ・ブーム・・・
とっつきのいいもの、
口当たりのいいものに
大多数の人々は反応するという
最たる事例がこの空前のディスコ・ブーム
だったと思うのですが、その辺のところを
『あの時代なら、国家だってディスコ・ビートでやればヒットしたぜ』
という皮肉で間接的に指摘しています。

ジョージ・クリントンにいたっては
『ディスコ・ビート・・あのワンパターンなリズムが俺の癇に触るんだ』
とヘイトしてるのが笑えました。ちょっと同感した次第です。

- b.b. Oct.29,1998