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20世紀ポップ・ロック大全集 ロックンロール誕生編

NHKソフト・ウェア - ポニー・キャニオン PCVE-10771 ¥3.300(税抜) 1998年7月17日発売

収録アーティスト

ウィリアム・ホス・アレン、
ルーファス・トーマス、
コジモ・マタッサ、デイヴ・バーソロミュー、
レッド・タイラー、ロイド・プライス、
リトル・リチャード、サム・フィリップス、
スコッティ・ムーア、ジャック・クレメント、
アイク・ターナー、マーシャル&フィル・チェス、
ボ・ディドリー、ジェリー・リー・ルイス、
ポール・バーリソン、ローランド・ジェインズ他


冒頭に登場するデイヴ・バーソロミューが言うのには、
当時売り出し中のファッツ・ドミノをその頃白人の間で
流行していた甘口のポップス・スタイルにアレンジして
唄わせたら、これが大成功したんだとのこと。ふーん。
やはり凄腕プロデューサーというのは時代感覚を
読むのに長けているのですね。

一方で、自分のスタイルにあくまでこだわった
リトル・リチャードが対比的に紹介される。
シャウトするのが俺のスタイルなんだ、甘口なんて・・
とギョロ目で力説する姿が印象的。
己が信じたスタイルで成功した自信も感じ取れた。

また、カントリー・タッチを基調にしたその頃の黒人音楽のスタイルとは一線を画してデビューした
チャック・ベリー等各人が各様に自己のスタイルを追求しつつも、売れたいと願う気持ちは
共通だったというのがよく判りました。
そういったシーンの動きは一気に盛り上がり、'56年から’58年にかけて、R&Rのレコードの売上が
それまでの 4倍になったという事実からもその実感は伝わる。

しかし直後の、当局によるペイオラ (ラジオ局やDJに現金を渡して自社のレコードをかけて貰う習慣)
取り締まりの騒ぎで、一気にまたシーンは冷え込んでしまうわけですが、その辺のところが、
あっさりとしか触れられていないので、この時期、このペイオラが違法になったことで、
どれくらい業界が驚異に感じ、またダメージを受けたかが伝わりにくかったのが残念です。
そんな低迷期を打破したのが、若きバディ・ホリーだったとここでは紹介されていました。

メンフィスという街が果たした役割についても、軽く触れられていて、
こと、黒人音楽に関してはシカゴ等の大都市だけで発展してきたわけでは
ないことの理解を深めようとしているあたり、編集者の姿勢が伝わります。
ロックン・ロール、というとまずプレスリーが
中心になって話が進められがちですが、
さすがはBBC、ここではかなり他の人たちにも
焦点を当てて、冷静に振り返っています。

また、ここでもサム・フィリップスとチェス兄弟の
インタビューが重要なウエイトを占めてますが、
当時の時代的背景を元に語るそれらの
話は何時聞いてもやはり興味深いです。

-b.b. Oct.7.1998