春の早い今年は、渡り鳥の通過も早いであろうとにらみ、ゴールデンウイークよりすこし早めの4/25.26に舳倉島に渡ろうと計画した。しかし、25日は晴れるという週間天気予報に大きく裏切られ、先日より小雨がずっと降り続いていた。それでも、日中は回復するという天気予報の言葉を信じて、深夜の高速道路を金沢西へひたすら走らせていた。金沢西まであとすこしという所まで来て、パーキングに入った。時間は5時ちょうど。雨は止むどころか、ひどくなるばかり。ここで舳倉島行きを中止と決めた。屈強なバーダーの人に怒られるかもしれないが、軟弱バードウォッチャーの我々にとって、雨は最大の天敵なのであった。本当は、双眼鏡やカメラが濡れるのがいやなだけである。言い訳はこれくらいにして、我々軟弱バードウォッチャーは、2時間の仮眠をとり、普正時の森-石川野鳥園に行くことになった。

1998/4/25 AM7:00 普正時の森-石川野鳥園
 小雨はなんとか霧雨に変わりレインウエアーを着ての出発となった。最初のお出迎えはヒガラだった。その後シジュウカラ、ツグミ、アカハラが現れたが、名物のクロツグミは見当たらない。耳を澄まして歩いていると、コマドリ、オオルリの素晴らしいさえずりが聞こえた。が、姿は見れない。なんとかオオルリのメスを見ることができた。ササゴイの池では、ササゴイは居ず、タカブシギが忙しく採餌していた。
 霧雨がまた小雨と変わり、我々軟弱バードウォッチャーは森をあとにし、車の中からバードウォッチング出来る河北潟へ向かうことになった。
1998/4/25 AM11:00 河北潟
 河北潟に近い農耕地を見てびっくりした。なんと、まるでシギチのように水田の上にユリカモメが集まっている。きっと北日本の人には普通の光景だろうが、海、川、池でしか見たことのない僕にとってはとても奇妙な風景だった。
 農道をゆっくりと走っていると、多くのヒバリが足元から飛び立つ。ほかの鳥が見当たらないので車を止め、ヒバリをゆっくり観察していると、カワラヒワ、ホオアカ、ノビタキ、キジが現れた。その後もあちこちでキジが現れたが、目に付くのはほとんどオスばかり。メスは隠れているのだろうか?それとも、あの地味な模様のため、見つけられなかっただけのことだろうか。
 遠くでチュウヒが飛んだ。よく見ると反対側でも1羽飛んでいる。そうか!ここはチュウヒの繁殖地なんだ。干拓地内をぐるっと一回りしたが、本当にチュウヒの数が多い。小枝を1個所に集めているものもいる。チュウヒは地面に営巣するのだろうか?まだまだ勉強不足。たくさんのチュウヒを見たが、残念ながらメスタイプばかり。立派なオスはどこにいるのだろう。遥か遠くの北の国へ渡っていけなかった個体だけが、ここで繁殖しているのだろうか?そんなことを考えながら、河北潟の南にある観察小屋へ向かった。
 小さいが、とてもきれいな観察小屋だった。目の前からベージュ色の鳥が飛び立った。観察小屋の窓から死角になる木の方へ飛んでいったので、外へ出て近づいてみた。コムクドリだ。オスとメスがいて、葉の影から見え隠れしている。とてもかわいい。近くの葦原からギョギョシーギョギョシーと聞こえてきた。なかなか姿が見えない。ここのオオヨシキリは、シャイな奴だなーと思っていると、なんと木の上にいる。そうか、たまには木にも止まりたくなるんだな。
 明日もここに来ることにして、今日のバードウォッチングはこれにて終了。 PM4:00

1998/4/26 AM9:00 河北潟
 くもりのち晴れ。という当日の天気予報は大うそで、本日も雨の中でのスタートとなった。前日と同じように、農耕地から観察を始めた。チュウシャクシギがいる。水田の中からミミズの様なものを捕っているようだ。干拓地の中をうろうろしたが、前日よりも鳥の数が少なく退屈していた。そのとき、尾の長い大きめの鳥が目の前を横切った。オオカラモズ!そんなはずはない。オナガだった。しかし、前日の普正寺の森で見ることが出来なかったので、うれしかった。2羽いて、その内の1羽が見張役をして、もう一方が枝を運んで巣を作っているようだ。しばらく観察していたが、オナガにプレッシャーがかかったようなので撤退することにした。
 南の観察小屋の近くにハヤブサがいた。男前の顔をよく見てやろうと近づくと、水面すれすれを滑るように飛んで逃げていった。とても速い。かっこいい。観察小屋からはカモ類が普通に見える程度だった。

1998/4/26 PM1:00 普正時の森-石川野鳥園
 まずは石川野鳥園でオリの中の鳥を見ることにする。いるわいるわ、フクロウ、アオバズク、ウズラ、コハクチョウ、セグロカモメ、ヒヨドリやワシタカ類。中でも、クロツグミがほかのツグミ類達といっしょにいて、ちょこまかと動き回る姿がとてもかわいかった。今日こそは、こいつの仲間に出会えるようにと考えながら、森の中へと出発した。
 入口からすぐのところに階段があり、そこから50メートルほど進んだところに、とても素敵な樹がある。言葉では説明できないが、『もののけひめ』のワンシーンに出てくる、妖精が棲んでいそうな気配のする樹だ。高い枝先でなにかがせわしなく動いている。ムシクイの仲間のようだ。識別しようと双眼鏡で追いかけるがなかなかとらえることが出来ない。ピッ、ピッ・・・チヨチヨビー・・・両方の声があちらこちらでする。センダイムシクイとエゾムシクイが混ざっているようだ。ヒーリーリヒーリーリ、高い声がした。尾が長い。サンショウクイだ!日本各地で激減しているらしく、僕も見るのは久しぶりだ。オスとメスと2羽いるようだ。サンショウクイを満喫し、ササゴイの池に行った。昨日と同じようにタカブシギがいる。水際にゴイサギが・・・違う、ササゴイだ。クマザサのような背中の羽がとても美しい。
 森の中を一巡したが、残念ながらクロツグミを見ることは出来なかった。

 

   普正寺の森-石川野鳥園でみれた鳥
ササゴイ、ゴイサギ、アオサギ、コサギ、カルガモ、コガモ、トビ、キジ、タカブシギ、キジバト、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、モズ、コマドリ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、ヤブサメ、オオヨシキリ、センダイムシクイ、エゾムシクイ、オオルリ、コサメビタキ、ヒガラ、シジュウカラ、メジロ、サンショウクイ、ホオジロ、アオジ、クロジ、カワラヒワ、ムクドリ

   河北潟でみれた鳥
カイツブリ、アオサギ、コサギ、ダイサギ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、ヨシガモ、ハシビロガモ、アメリカヒドリ、キンクロハジロ、ミサゴ、トビ、ハヤブサ、チュウヒ、キジ、コチドリ、ケリ、タシギ、チュウシャクシギ、ユリカモメ、ウミネコ、キジバト、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、ハクセキレイ、モズ、ノビタキ、ツグミ、オオヨシキリ、ホオアカ、カワラヒワ、ムクドリ、コムクドリ、オナガ

 

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