1999年のゴールデンウイークは以前から行きたかった奄美に決定となった。2ヶ月前の航空券の予約開始日に申込んだが、すでに満席ということでキャンセル待ちをした。諦めていたら出発日の2週間前に旅行社からOKの電話があり大慌てで下準備をしたのだった。「せっかく奄美に行くんだから、バードウォッチングだけでなく海に潜ろう!」「えっ、まだ寒いんじゃない」「でも、沖縄のすぐ近くなんだから泳げるよ」「だいたいそんな時間ないじゃない」などなど、大騒ぎしている内に気がつけばJAS561便に乗っていたのであった。

1999/5/1 PM1:30 奄美大島空港-さとうきび畑-大瀬海岸
 15分遅れで奄美に到着した。飛行機から出ると気温はさほど高くないがムッと湿気に包まれた。「あー南国に来たー!」レイを持ったお姉さんがいない。そうそうハワイじゃないんだ。
 レンタカーを借りさとうきび畑へ向かった。ミフウズラは1時間もあれば見つかると思っていたが甘かった。お腹がすいてきたので名物鶏飯を食べ、再び探したが見つからない。畑にいるのは、セッカとトラクターについて歩くアマサギだけである。見つけにくい物を無理に探すのは嫌いなので、ここは後回しにし、大瀬海岸へ向かった。
 この日は、ほぼ大潮でかなり沖まで潮が引いていた。まず最初に目にした物は、、、?、、、?、、、?日頃の識別勉強不足で何がなんだかわからない。「んー、アオアシシギだよな。 んーっ、コアオアシシギでいいよね。むむっ、これはオオメダイチドリだと思うんだけどなぁ。あっ、これはセイタカシギ!これは間違いない!」環境が変わるとこんなに自信がなくなるなんて情けない。「もしかしてすごい大物だったりして、、、」なんて考えていると、スワロフスキーの望遠鏡を持った屈強のバーダーがやって来た。「んー、ぜんぜんダメですねー」その言葉に安心し?自分の識別が間違っていないのを確信したのであった。

1999/5/1 PM8:00 金作原自然観察教育林
 夕食の後、懐中電灯を持って金作原自然観察教育林へ向かった。『バーダー』によると名瀬市内から約20分だが、1時間位かかってしまった。にもかかわらず、お目当てのアマミヤマシギは現われなかった。噂どおりマングースにやられたのだろうか?リュウキュウコノハズクの声はあちこちから聞こえるが姿は全く見ることができなかった。


顔がやや赤い亜種アマミヤマガラとトラクターについてまわるアマサギ

1999/5/2 AM9:00 奄美自然観察の森
 いつものように朝寝坊をしてしまい早朝より金作原自然観察教育林に行く予定をキャンセルし、奄美自然観察の森に向かった。最初に出迎えてくれたのはヤマガラだ。顔がやや赤い。そう亜種アマミヤマガラなのだ。森のあちこちでアカヒゲの声がする。チリリリリ。頭上でサンショウクイが巣を作っている。こちらも亜種リュウキュウサンショウクイで胸が灰色だ。ルリカケスが横切っていった。とてもきれいな色で、オオルリより少し濃いブルーだ。森をぐるっとひとまわりしたが、アカヒゲの姿は見れなかった。ここは鳥の数が多くて楽しいのでまた来ることにして帰ろうとした時、入り口の管理センター?の建物の下でぴょんぴょん飛び跳ねている鳥がいた。双眼鏡で覗いた。黒い胸。赤い背中。アカヒゲだ!たくさん餌をくわえて、こちらの様子を伺っている。近くに巣があるのだろう。あまり邪魔をしてはいけないので退散した。

1999/5/2 PM4:00 秋名水田地帯
 リュウキュウヨシゴイを見るために秋名へやって来た。夕方ではあるがまだ明るい。農作業の人もたくさんいる。水田にアオアシシギ、コアオアシシギ、クサシギ、タシギなどがいた。セッカがやけに多い。水田とアシ原の際を探すが見つからない。他のウォッチャーも見つけられないようだ。暗くなるまで粘りたいが、今晩もナイトウォッチングに行きたいので、夕食を食べにホテルへ帰ることにする。食事付きのツアーはバードウォッチングには少々不便だ。

1999/5/2 PM8:00 ○○林道
 1年前にここに来ている友人から「ここならマングースがいないから絶対見れる」という林道へ向かった。国道から300mほど入った所に林道の入り口があるが、すでにここでリュウキュウコノハズクの声が聞こえている。「ここならいそうだ!」ハンドルを握る手に力が入る。が、アマミヤマシギはなかなか現われない。前方の枝に何かがいる。懐中電灯で照らしてみる。残念、キジバトだ。林道をどんどん登っていく。コホッ、コホッ。キャウ、キャウ。リュウキュウコノハズクのオスとメスが鳴きあっている。そーっと照らしてみた。その時、葉の後ろに隠れていた彼が近くの枝にやって来た。首をのばして左右に振りながらこちらをのぞき込む。そして何もなかったように元の葉の影に消えていった。その間わずか30秒。
 林道も登りが終わり下りはじめた頃、目の前をヘリコプターのように垂直に上昇し鳴きながら飛んでいく姿を見た。アマミヤマシギだ!あぶない、あぶない、ひかないように気をつけなければ。しばらく進むと前方にヘッドライトに照らされたアマミヤマシギがいた。5m位の距離だが全く逃げようとしない。噂には聞いていたが、ライトが眩しいのか、にぶいのか。これでは「マングースにやられても仕方がない」と、しみじみと考えてしまった。


たくさんの虫をくわえて巣に運ぶアカヒゲと全く動こうとしないアマミヤマシギ

1999/5/3 秋名-湯湾岳-マテリヤの滝-○○林道
 早朝、秋名に行ったが目的を果たせず、住用のマングローブの観光をした後、湯湾岳へやって来た。湯湾側からは崖崩れで上がれず、北の方から上ることにしたが、林道が悪くすぐに引き返したため何も見ることができなかった。(大体こんな昼間に来るのが間違っている!)それでもきれいなアカヒゲの声は聞くことが出来た。
 マテリヤの滝周辺は、密林でアカショウビンがいそうな雰囲気があり興味津々だが、ハブが恐くて入っていけず観光だけにした。
 今晩も夕食の後、昨日と同じ林道に行ってみた。本日は風が強く、雨もパラパラと降っていた。そのせいかコホッ、コホッもほとんど聞けず、アマミヤマシギも1羽も見れず終わってしまった。なぜだろう?出発が昨日より30分ほど早かったせいだろうか。

1999/5/4 AM10:30 奄美自然観察の森
 最終日は朝から雨だった。どこに行こうか迷った末、東屋など屋根のあるところから観察できるということで、奄美自然観察の森に決定。森の少し手前の電線にハトがとまっていた。腹の色と下尾筒を確認する。ズアカアオバトだ。
 2日に来た時に見たアカヒゲの所で、奄美在住のTさんに出会った。一緒に撮影することの了解を得、カメラを横に並べた。奄美の野鳥の事を教えてもらいながら飛行機の出発時刻までアカヒゲにレンズを向けた。

  奄美でみれた鳥(抜粋、見た順)
アマサギ セッカ キジバト アオアシシギ ムナグロ ダイサギ コアジサシ セイタカシギ ソリハシシギ オオメダイチドリ オバシギ キョウジョシギ ダイシャクシギ オオソリハシシギ シロチドリ キアシシギ メダイチドリ アオサギ ミユビシギ ヤマガラ サンショウクイ ルリカケス シジュウカラ コゲラ メジロ ハシブトガラス アカヒゲ コサギ イワツバメ バン タシギ クサシギ ツバメ リュウキュウコノハズク アマミヤマシギ イソシギ ウズラシギ リュウキュウツバメ クロサギ カルガモ ズアカアオバト

最後まで読んでくれた方 ほんとうにありがとうございます