今年のGWは沖縄に行くことになった。「沖縄は3月がいい」「やっぱり秋が一番!」などいろんな話を聞いたが、とにかく固有種だけでも押さえておこうということでヤンバルの森を中心に計画をたてた。一ヶ月以上前から友人知人webを使って情報を集めたが、忙しくてそれらをまとめることができず、結局1時間50分の飛行機の中で整理整頓したのであった。

 

2002/05/03  金武
 飛行機の格安運賃の都合で前日の夜に那覇にはいっていたので、5/3は朝から行動できた。潮の時間を調べてみると、午後から引くようなので空港周辺の探鳥地はパスして北上する。まずは金武からだ。
シロガシラ
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 最初に見たのはキジバトとヒヨドリ。色が本土のものより黒い。アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、アマサギのいる水田、芋畑でセッカに混じってきれいな声が響いている。シロガシラだ。行動はヒヨドリに似ているがさえずりはすばらしい。
 畑で頚を伸ばし上を向いて動かないのはリュウキュウヨシゴイ。しばらく動かなかったが、タイミングを見て飛んで逃げていった。背中の赤茶が美しい。

      リュウキュウヨシゴイ  LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 顔の白い太った黒い塊が近くの草むらに降りた。シロハラクイナだろう。しばらく待ったが出てこないのであきらめる。アオアシシギ-1、キアシシギ-2、とシギは少ない。やはり5月ではなぁ、、、、。
 12時を過ぎ、おなかが空いてきたので金武の町へ行ってハンバーガーを買って食べた。普通のものより2.5倍ほどのビッグサイズ。おすすめは「ターコチーズバーガー 350円」 一度お試しあれ。

 そのまま北上を続け、屋我地干潟に寄ってみたが、遠くにクロサギ、ムナグロがいるくらいだったのですぐに移動する。

 

2002/05/03  喜如嘉
 オクマビーチの近くの喜如嘉に到着。奄美の秋名にロケーションが似ている。農道をゆっくり走っているとシロハラクイナが飛んで逃げた。あ〜残念と思いながら下を見るとリュウキュウヨシゴイがうずくまっている。あまりに近すぎて動くに動けないようだ。ゴメンナサイと思いつつも写真を撮らせてもらう。
 田植え前の水田でシロハラクイナが採餌している。先程の個体だろうか。こちらの車を見てとなりの畑に姿を隠した。今度はおどろいた様子ではないので、すぐに出てくるだろう。愛想のいいチュウサギが目の前にいたのでそいつと遊びながら彼の再登場を待つことにする。すると反対の畑からヒクイナが出てきてウロウロし始めた。こちらも近いので、はいパチリ。右の方を見るといつの間にかシロハラクイナが出ていた。シャッターを押そうとすると畑の人が出てきて 、はいおしまい。
ヒクイナ
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

シロハラクイナ
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 

2002/05/03  辺野喜ダム
 夕方、ホテルにチェックインし、しばらく仮眠のあと辺野喜ダムへ向かった。星は山で見るほど明るいと感じなかったが、ヤンバルの空はほんとに黒い。静かな森の黒い空に満天の星。電気の無い頃はどこでもこんな感じだったのだろう。
静かな林道を走っていると上から葉っぱが一枚落ちてきた。不思議に思い懐中電灯で上を照らすとリュウキュウコノハズクがこちらを見下ろしていた。コホッ、コホッと鳴き始め、どこかにいる雌がキャウ、キャウと答えた。この声はあまり多くの場所では聞けなかった。奄美ではどこでも聞けたのとは大きな違いだ。
 大きな葉の繁る細い林道を奥へ奥へと進んだが、目的の鳥は見つけられなかった。が、仲良く並んで寝ているズアカアオバトの姿を発見。感激。現在、22時。翌朝は4時起床の予定なので、今晩はこれで終了する。
顔が見えなくて残念ズアカアオバト
Canon EOS-1N + 300mm2.8 + 2X(ストロボ使用)

 

2002/05/04  辺野喜ダム
 珍しく?予定通りの4時起床。暗いうちにダムに到着。空が明るくなってくると一斉にメジロ、アカヒゲ、アカショウビンが鳴き始めた。夜の間に雨が降ったらしく舗装道路が濡れている。車を走らせると次々にアカヒゲ、コマドリが飛び出してくる。こんなにたくさんいるんだ!

 

2002/05/04  琉球大学演習林
 ノグチゲラの目撃例の多い琉球大学演習林へやってきた。ここは車では入れず、徒歩での探鳥となる。トンボやチョウが非常に多い。キノボリトカゲも見つけた。とってもかわいい。羽化したての虫を次々に食べている。
キノボリトカゲ
Canon EOS-1N + 300mm2.8 + 2X

 サンコウチョウの姿を見、アカショウビンの声を聞きながら歩いたが、ノグチゲラの姿を見るどころか声すら聞くことはできなかった。眠気が襲ってきたのでホテルへ帰って夕方まで仮眠することにする。

 

2002/05/04  ○○○林道
ホテルのフロントの人に「ヤンバルクイナが見れていない」と言うと、「難しいでしょう。今、道の駅でヤンバルクイナと天敵についての展示がしてあるから、そこに行けば何かヒントがあるかもしれない」と意味深なことを言われた。そこに行ってパネルを見ると、最近はマングースだけでなく捨て猫の影響で生息の南限が急速に北上していることがわかった。なるほど、辺野喜ダム周辺では見れる確率が低いのかもしれない。3月に観察されているMさんもこの周辺ではない。ありがたいヒントをいただいたので、今日はもう少し北へ行ってみよう。
 今回のレンタカーはラッキーなことにカーナビが標準で付いていた。モニターをグリグリ動かして探すと川沿いの林道があったので、そこへ向かうことにする。コンビニでおにぎりを買い、まだ明るい時間から山へ入って行った。予想していた通り川沿いの林道は、いい雰囲気だった。本土とは少し違うさえずりのシジュウカラ、きれいな脇腹のメジロなどがたくさんいた。サンコウチョウの声を聞いていると近くの木にアカショウビンが飛び込んでいった。双眼鏡で見るとトカゲをくわえている。車のウインドーに雲台とスコープを取り付けて覗いてみた。「あれっ、いつのまに右向いたの?」「え〜っ、左向いてるよ」「ということは2羽いる!!!」 急いでスコープにデジカメをセッティング。ところが夕方の谷間は薄暗く、シャッター速度が1/2秒。感度を最高の400にし、露出補正を-1.0にセット。これでISO 800相当、1/15秒 が切れる。こんな時デジカメはとっても便利。
アカショウビン
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 林道を平地近くまで降りてきた時、キョッ、キョッと待望の声が聞こえた。山側の木の中にいるようだ。二つのシルエットが木を登っていった。木の最上部あたりまで来た時にオスと思われる個体は谷川へ飛んでいったが、メスはじっとしている。スコープでゆっくりと観察。黒いベレー帽をかぶっているような感じだ。嘴は図鑑のものよりも黄色く感じた。
 おにぎりを食べながら暗くなるのを待って林道を逆戻りした。水たまりから何かが飛び出して逃げたので懐中電灯で照らしてみた。近くの枝に止まっていたが、すぐにいなくなってしまった。オレンジの眼をしていたのでオオコノハズクだろう。その後、何もあらわれず本日の探鳥はこれで終わりとなった。

 

2002/05/05  ○○○林道
 今日も4時起床で探鳥開始。もう、ふらふら。昨日の林道へ向かった。ヤンバルクイナに出会えなくても、再びアカショウビンやノグチゲラに会えるかも知れないと思ったからだ。上から下まで走ってもアカヒゲが出てきたぐらいで、今朝はあまり盛り上がらなかった。腹が減ってきたので昨日ノグチゲラを見たあたりに車を止め、朝食を食べ始めた。サンドイッチをくわえたまま顔をあげた時、フロントウインドーの前方にバンが一羽、、、、、えっ!こんなところにバンがいるわけがない。やったーーー!ヤンバルクイナだーーー!!! 思っていたよりも大きくて太っている。サイドミラーにレンズの先をのせ、ピントをあわせた。残念なことにシャッターは3回しか押せなかった。シャッター速度1/15秒 。ちゃんと写っているだろうか。
かろうじて写っていたヤンバルクイナ
Canon EOS-1N + 300mm2.8 + 2X

 

2002/05/05 瀬長島
 大納得のニコニコ顔でヤンバルの森を終了して、一気に南へ。どんなシギチがいるだろうか? 今日は子供の日で少年野球やらバーベキューのレジャー客やらですごい人と車の数。島への一本道は国道なみの混雑。なんとか車をとめて干潟に降りてみる。男前のムナグロがたくさんとキアシシギ、アオアシシギ、キョウジョシギ、チュウシャクシギなど。写真を撮ったりしていると、いつの間にかクロツラヘラサギが5羽も飛んできていた。いままで何回か見たことがあるが、こんな豪快な採餌風景は初めて。集団で豪快に嘴を左右にふっていた。
クロツラヘラサギ
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 

2002/05/06 瀬長島
 昼過ぎの飛行機の出発まで、昨日と同じ瀬長島へ。昨日とほぼ同じ顔ぶれだが、クロサギが加わっていた。トウネンも一羽。やたらと白っぽかったが、たぶん普通のものでしょう。それにしても立派な干潟。今度はぜひ、シギチのベストシーズンに来てみたい。
クロサギ
LEICA APO-TELEVID 32×wide + NIKON COOLPIX990

 

 今回の探鳥旅行もとっても楽しかったが、ヤンバルクイナの将来がとても心配になった。生息南限の北上が今のペースだと10年もしない内に絶滅してしまうのではないか。人は何ができるのだろうか、真剣に考えてしまう。しかし、マングースや捨てネコの駆除も効率良くできないらしく、ヤンバルクイナを捕まえて保護するなんて、もってのほかだ。ヤンバルクイナを第二のトキにしたくない。
 おっと、真面目な話になったが最後はお気楽に。こんなお土産を見つけました。とっても硬いアーモンドチョコです。

 

最後まで読んでくれた方 ほんとうにありがとうございます