熊本県阿蘇市 平原古墳群
発掘調査
(2023年度)

徒 然 な る ま ま に


2023年9月7日(木) 撤収の翌々日

 撤収の翌々日、9月7日、快晴の空のもと、阿蘇地域を車でまわりました。

 コースは、大観峰 → 上御倉古墳・下御倉古墳、国造神社 → 中通古墳群、長目塚古墳 → 道の駅 阿蘇(昼食) → 阿蘇中岳火口 → 白川水源 → 道の駅 あそ望の郷 くぎの(柏木谷遺跡)。

 約3週間ものあいだ、阿蘇で生活をしていたのに、阿蘇の環境を知らないままというのは、学生さんたちにとって残念なことですし、それ以上に、地域に根ざした学問でもある考古学としてはいかがなものかと考えるため、何とか阿蘇を見てまわる小旅行を企画したいと思っていました。

 調査終了後になりましたが、また、調査参加者全員の出席とはなりませんでしたが、この日、それを実現することができました。

 大観峰から、平原古墳群が立地する阿蘇谷の地形を観察したあと、午前は阿蘇谷の主要古墳である上御倉古墳と下御倉古墳、そして中通古墳群(長目塚古墳)。
 学生さんたち、これら古墳と平原古墳群の位置関係を確認してくれたでしょうか。

 午後には阿蘇中岳火口。
 そして南郷谷に下って、白川水源、道の駅あそ望の郷くぎの(柏木谷遺跡)。

 阿蘇中岳火口は、私にとってもとてもひさしぶりの訪問でした。
 思い返せば、2015年の上御倉古墳石室の三次元計測を実施していたとき、中岳が大規模に噴火をしたのですが、それ以来、噴火警戒レベルの引き上げや引き下げの状況、さらには火山ガスの状況をみつつ、火口見学が中止されたり再開されたりしています。

 幸い、この日は火山ガスも安全レベルで、火口近くの駐車場まで車で行くことができました。

 学生さんたち、火口を間近に眺めながら、地球の息吹を感じてくれたでしょうか。

 また、白川水源では、熊本の水の豊かさを知ってくれたでしょうか。
 そして、道の駅あそ望の郷くぎのからの眺めと大観峰からの眺めを比べて、南郷谷と阿蘇谷の地形の違いを感じてくれたでしょうか。

 阿蘇の自然環境の一端を知ってくれたら、また、実際に現地に立ってその風景のなかに身を置くことの大切さを知ってくれたら、とてもうれしく思います。

 本当なら、平成28年(2016年)熊本地震の跡(震災遺構)も見学したかったのですが、それは時間がなくて断念しました。
 今後、自分たちで企画してまわって欲しいと思っています。


 この日の夜には、打ち上げ。
 大いに盛り上がって、今年の調査が終わりました。

 コロナ禍以前に戻ったような、そんな感じがしています。
 熊大考古学の合宿による発掘調査実習にとって、今年が再開の年となります。
 新たな船出。
 元年です。





2023年9月5日(火) 19日目(最終日)



 本日撤収。
 初日から数えて、19日目。
 これまでの平原古墳群の発掘調査では、もっとも短い調査期間となりました。

 それもこれも、雨で中断することが1日もなかったという天候に恵まれたおかげであるのはもちろんですが、参加学生の力量や3年生の参加可能日などを考慮して、最小限のトレンチ掘削にとどめたことも、調査期間の短さに大いに影響を与えています。
 この辺のさじ加減が、大学による発掘調査実習のもっとも難しいところの1つ。
 ここを見誤ると、なかなか終了できない実習調査となってしまいます(これまでの経験からの実感です)。

 なお、上の写真は、撤収を待つ宿舎(山田公民館)の様子です。

 さて、今日の阿蘇の天気は曇り気味で、わずかですが雨がちらつくような空模様でした。
 でも、撤収にはまったく影響がなく、朝食後すぐにトラックへの器材積み込みを行いましたが、昨日までに形の定まらない器材(大スコや鋤簾など)を先行して大学に持ち帰っていたこともあり、すべての器材や個人のキャリーケースなどをトラックの荷台にきれいに収めることができました。

 そして、布団の引き取りが済んだ10時15分頃、山田区長・大倉孝行様にお礼を申し述べて、阿蘇をあとにしました。

 その後、大学へは11時30分頃に到着。
 大学のトラック、レンタカーのシエンタと軽バン、学生さんの車の計4台すべてが、何事もなく大学まで無事に到着してくれたことに、心から本当にホッとしました。

 大学到着後は、器材や生活用品の片付け、ゴミ捨て、軽バンのレンタカー会社への返却などのほか、差し入れをいただいた方などお世話になった方々への礼状書きを、学生が中心となって実施してくれました、
 私はといえば、レンタカーのうち軽バンのみを先行して返却したのち、レンタカーのシエンタへの給油などを行っていました。


 そんなこんなで、コロナ禍で3年間中断していた、合宿による発掘調査実習を4年ぶりに実施したのですが、不自由な生活空間に閉じ込められる合宿での調査実習について、それが熊大考古の夏の日常であるとの認識が学生さんたちに芽生えてくれたら、、、と願っています。
 文明の便利さに慣れきった学生さんたちは、今回の3週間弱にわたる不自由な合宿生活をどのように感じてくれたのでしょうか。

 わずかでも、学生さんたちの心に何か刻むものがあれば、、、と願っています。

 お疲れ様!



2023年9月4日(月) 18日目

 今、午後3時半前。
 宿舎片付け、清掃が終わって、学生さんたちはのんびり過ごしています。

 このあと、午後4時に区長さんが公民館に来て下さり、撤収についての最後の打ち合わせを行います。

 ところで、今日もいい天気。
 暖かい太陽の光のもと、宿舎の片付け、清掃は順調に進みました。

 約3週間ものあいだ生活させていただいた公民館への感謝の気持ちを込めて、床全体をぞうきん拭きしました。
 また、とくによく使用した台所の器材を磨きました。
 棚として利用していた座卓も片付け、個人荷物もコンパクトにまとめてもらいました。

 あとは、明日、トラックに積み込んで運び出すだけです。


 私は、明日の運搬を少しでも楽にするため、いくつかのトラックに積み込みにくい器材や空き缶などを先行して大学に運びました。
 午前9時半に出発して11時頃に大学に運び込み、12時半頃に阿蘇に戻ってきました。

 その道中、適度に曇ってきたので現場に向かい、3号墳の全景写真撮影を行いました(下の写真)。
 写真日和でした。
 今回の現場は、本当に天気に恵まれました。

 そのおかげで、予定よりも数日早く、明日、撤収の日を迎えます。



 今、夜の9時10分。
 最後のミィーティングが終わったところです。

 とにかく、今年は、学芸員実習などで3年生がバラバラと離脱するなか、2年生の8人が、本当に頑張ってくれたと思います。
 初めての現場で、おそらく何をしているのか十分に理解できないまま、指示にしたがって作業をしていたのだと思いますが、彼ら・彼女らの明るい雰囲気が現場を救ったように思います。
 そして、そうした2年生たちをまとめた大学院生・向井さんと3年生・本多さん。
 彼女たちの頑張りには目を見張るものがありました。

 今回の合宿による現場で、コロナ禍で完全に断絶した感のあった熊大考古発掘調査実習の伝統が復活したのではないでしょうか。
 自画自賛しすぎかな?

 でも、今の2・3年生はとてもいい雰囲気だと感じています。

 このままの調子で、後学期の報告書作成作業、そして次年度の発掘調査実習につなげていくことができれば、、、と思っています。



2023年9月3日(日) 17日目

 本日の午前で、現場での作業はほぼすべて終了しました。
 残すは、終了時の写真撮影。
 今日は天気がよすぎたので、写真撮影はあきらめました。
 明日、時間を見て、3号墳の最後の写真撮影をしたいと思っています。

 今日の現場作業は、東トレンチの埋め戻しがメイン。
 トレンチ断面図の盛土部分について再確認したのち、皆で一斉に埋め戻しました。
 落葉で埋め戻し箇所をカムフラージュするまで、およそ2時間。
 皆、黙々と埋め戻しに精を出してくれました。



 埋め戻し終了後、現場器材をすべて宿舎に持ち帰り、皆で洗浄。

 器材洗浄のなかでも、ブルーシートの洗いがとても大変、、、
 晴天のもと、男性陣は上半身裸になって、頑張ってくれました。

 シートのほか、さまざまな器材の洗浄も、なんとかかんとか、夕方6時頃までにはメドがつきました。

 今日も天気には恵まれました。
 男性陣の背中の日焼けの跡が痛々しく、でも、それもまた一興となっています。


 器材洗浄にメドがついたので、明日は宿舎として借りている山田公民館を徹底的に清掃するつもりです。

 いよいよ、調査も終わりに向かって、カウントダウンの段階に入っています。



2023年9月2日(土) 16日目



 現地説明会。
 対面での現説は4年ぶりでした。

 地元、山田地区の皆様を中心に20名ほどの参加があり、結構、盛況だったように思います。

 私の熊大での現説では、私がまずはじめに挨拶したあとは、フィールドマスターにすべて説明してもらっています。
 実習調査ですから、やはり、学生が主役となるべきだと思いますし、学生にとっても、自分たちの調査成果を分かりやすく一般の方々に説明する訓練のいい機会になると思っています。

 ところで、コロナ禍の3年間は、YouTubeのLive中継のみの現地説明会を行っていました。
 その経験を活かし、今年度は、対面での現説の様子をそのままLive中継するという手法で臨みました。

 Live中継のみのときは、それのためのシナリオを準備しているので、比較的スムーズに進んだ印象があります。
 しかし、対面現説では、思わぬ質問があったり、参加者どうしが思い思いにしゃべり出したりするので、その場、その場での臨機応変な対応力がとても大切だと実感しました。

 今回の現説では、フィールドマスターの学生が長く沈黙する場面があったため、また、声が小さい場面がしばしばあったので、かなり間延びした、とても視聴しにくいものになったように思います。

 対面現説をそのままLive中継する場合は、説明者の力量、とくに進行の力量がとても重要だとつよく感じた次第です。


 現場作業。

 南西トレンチでは、土層名注記の最終チェック。
 その後、割り付け用の水糸や釘をすべて除去し、トレンチ全体を清掃して、現説に備えました。

 現説終了後、午後4時から5時半頃までかけて埋め戻し。
 トレンチ全体が埋まりました。
 下の写真の通りです。

 明日、トレンチ設定箇所や廃土置き場周辺全体に落葉をかけて、完全に調査前の状態に戻す予定です。

 東トレンチでは、土層名注記、検出面の等高線記入、盛土の違いを平面図および断面図に明記、などの作業を実施しました。

 時間の関係で、墳丘盛土の断ち割りは実施できないのですが、ひとまず最低限の作業は終了しました。
 明日、埋め戻します。


 9月5日の撤収まであと少し。
 ほとんどの現場作業が終了したので、少しホッとする局面ではありますが、気を抜くことなく、最後まで走り抜きたいと思います。




2023年9月1日(金) 15日目

 今日、朝一で大学のトラック借用に向かいました。

 午前5時に起床し、学生さんにJR宮地駅まで送ってもらって、午前6時ちょうど発の列車で熊本市内へ。
 午前7時16分にJR竜田口駅に到着し、そこからはバスで熊本大学まで、、、
 午前7時30分過ぎには大学の車庫でトラック借用の手続きを行うことができました。

 阿蘇から熊本市内まで、JR一本で行くことができるようになって、熊本地震からの復興を実感しました。

 2019年度調査の際は、数鹿流(すがる)崩れのため豊肥本線が不通となっていたので、阿蘇から肥後大津まではミルクロード経由のバスで向かい、そこでJRに乗り換えていましたから、、、
 そのときのことを思うと、豊肥本線が復活して本当によかったなあと、多くの高校生が乗っている車内をみながら、しみじみと感じていました。


 トラックを借用したあと、今日から現場に戻る学生さんを助手席に乗せて阿蘇に向かい、午前9時40分には宿舎に到着。
 現場の様子をみたあと、すぐに不要器材を軽バンに積み込み、一緒に阿蘇に来た学生さんをまた乗せてふたたび大学へ、、、
 午後12時頃には、不要器材を大学の資料室に運び終えました。

 桂花ラーメンで昼食後、また阿蘇へ向かい、午後2時過ぎ、現場での作業に合流しました。


 さて、現場では、トレンチ平面図や土層図の作成がたんたんと行われています。
 今日ですべてが終わっていませんが、ほぼ順調に進んでいると思います。

 この作業だけでは人員があまるので、残った学生さんたちには現説準備として、古墳までの登り口の整備、見学者への説明場所の整備、遺物展示場所設置の試行などを行ってもらいました。
 また、明日以降、絶対に使わないであろう器材を選別して宿舎へ運び込み、洗浄班を編制して、彼らに器材洗いをしてもらいました。

 さらに、明日のYouTube Liveの試行、、、

 久しぶりだったので、当初はWebカメラや音声の調整に苦労しましたが、何とかかんとか、声の小さな大学院生なのですが、拡声器を通した彼女声がネットの向こうに届いていることを確認できました。

 さあ、明日ですね、、、


 ところで、台風12号の進路がとても気になっていたのですが、3日には日本列島の南の海上で熱帯低気圧に変わるとの予報に変わり、少し安心しました。
 でも、残る作業量を考えると、1時間でも惜しいので、雨が降らないことを強く願っています。



2023年8月31日(木) 14日目

 今、朝の8時25分。
 いつもであれば出発しようとしている時間ですが、今朝は雨。
 今回の現場で初めて、朝から雨が降っていて(下左の写真)、皆、宿舎で待機中です。

 下右の写真は、部屋干しの洗濯物に大型扇風機で風を送っている様子。
 雨が多かった2019年度の調査ではこの風景が日常でしたが、今回の現場ではこれがはじめてです。



 今、夕方の4時35分。
 午前は雨のため待機しましたが、雨がやんだので、宿舎での昼食後、午後1時に現場へ向かいました。
 とはいえ、全員で向かうのではなく、現員12名(今日から3年生1人が復帰で1名増です!)を二手に分け、現場班6名、宿舎班6名としました。

 宿舎班には、宿舎、とくに台所の整理整頓、また、昨日のうちに現場でもう使わない器材を宿舎に持ち帰っていたのでその洗浄などを頼みました。

 現場班は、シートにたまった雨水の排水作業ののち、4名には土層断面の実測に取りかかってもらいました。
 私ともう1人の学生さんは、調査区周辺の整理整頓に従事。
 とくに明後日の現説に備えて、見学者がつまずく恐れのある枝などを拾ったり、ゴミ拾いをしたり、また、古墳までの登り口がとても滑りやすくなっているので、手がかりとなるロープをはったりなどの細々とした作業を行っていました。

 さらに、現場ではもう使わない器材を整理して、宿舎に持ち帰ろうと車に積み込んでいたちょうどそのとき、ふたたび雨が、、、
 急いで、トレンチにシートをかけたのですが、シートをかけ終わったタイミングで、小畑弘己先生と韓国からの留学生、李さんが差し入れをもって激励に来て下さいました。
 そして、少し現場全体の説明をしたあと、午後3時半、一緒に宿舎に引き上げました。

 シートをかけた状態でしたが現場の様子、また、現場や宿舎で頑張る学生さんたちの姿を小畑先生にみていただけたことは、とてもよかったと思います。

 一昨年でしたか、コロナ禍の学生たちの様子をみて、小畑先生は「研究室が崩壊する」との危機感を抱かれたと『考古学研究室報告』の序文に書いておられましたが、合宿での共同生活および発掘調査実習を経験した彼ら・彼女らの姿は、先生の目にはどのように映ったでしょうか。
 私は、まだまだすてたものじゃないと、一緒に生活をしていて、そう感じています。

 ここまで書いたところで、午後5時を回りました。
 これから温泉です。


 今、夜の10時です。

 明日の実測の下準備をしている学生、台所でなしを食べている学生、ミーティング部屋でスマホをみながらお菓子を食べている学生、、、
 皆、思い思いに過ごしています。

 でも、今年の2年生、、、完全に男女別での行動、、、
 一緒にお菓子を食べようともしないし、親しく話そうともしない、、、お互いに誘いもしない、、、

 私には不思議な雰囲気です。



2023年8月30日(水) 13日目



 昼過ぎから30分ほど降られましたが、何とか1日中、作業ができました。
 のちのち、この1日が大きかったと思えるのかもしれません。

 東トレンチでは、淡々と実測作業が行われています。
 大学院修士課程1年の学生と学部2年生のコンビ。

 院生に教えられつつ、学部2年生も、初めて現場で方眼紙に向き合っています。
 初めてだから、線の質は厳しく問いません(本当は問いたいけれど、、、)。
 正確に、可能な限り早く、書き上げてくれたらと思っています。
 それが9月5日の撤収につながります。

 南西トレンチでは、全景写真の撮影を行いました。
 上の写真がその一部。

 朝方は太陽が出ていたのですが、トレンチの全面清掃を終えた頃には、ちょうどいい具合に曇ってくれて、写真撮影は順調に進みました。
 天が味方してくれたのでしょうか。

 写真撮影のあとは割り付けの水糸設定。
 そして、実測作業に移行しました。

 こちらは、学部3年生と2年生のコンビ。
 なかなか順調に進んでいるようです。


 明日は雨予報、、、はずれて欲しいと願う気持ちで一杯です。



2023年8月29日(火) 12日目



 3日連続、晴天。
 1日中作業ができました。

 東トレンチでは、実測作業に移行しました(下左の写真)。

 今日の現場の陣容は、院生1名、3年生1名、2年生8名となっていて、2年生は発掘調査自体が初めての学生ばかりなので、実質、実測できるのは院生と3年生の2名のみ、、、
 そのため、現場最後の記録作業には、とても苦労しています。

 戦力不足がはなはだしい現場となっています。
 その分、2年生には頑張って欲しいのですが、、、なかなか、、、

 南西トレンチでは、分層と清掃(上の2枚の写真)。
 明日の午前のあいだに全景写真を撮り終えたいと思っています。
 うまく曇って欲しいなあ、、、

 下右の写真は、現場に設置している簡易トイレ。
 これまで、平原古墳群の調査日誌に一度も登場していないので、ここで紹介です。
 平原6号墳への登り口に設置しています。


 今日まで、一日も休むことなく、現場作業ができています。
 そのおかげか、当初の予定よりかなりの前倒しで作業が進んでいて、現説終了直後に埋戻し、そして来週の初めの9月5日には撤収できると思います。
 そう決めて、明日から作業を急ぎたいと思っています。



2023年8月28日(月) 11日目



 本日、東トレンチでは、全景写真撮影。
 上がその写真です。
 昨日、大学院生のフィールドマスターが行った分層では致命的な間違いがあったので、本日それを再検討してもらいました。
 でも、なかなか解決できず、また、おかしな分層をしていたので、結局のところ、最後に私が手を貸すこととなりました。

 もっともっと、経験を積んで、説明のできる分層ができるようになってほしい、、、そう願っています。
 頑張れ!

 で、東トレンチでは、その分層作業と並行して、トレンチとその周辺を全面清掃してもらい、全景写真に備えました。

 曇り待ちで、12時頃から午後3時頃までの約3時間、じっと我慢して、空の様子をみていました。

 幸いなことに、午後3時以降に曇ることが多くなり、その間を利用して、写真撮影を終えることができました。

 でも、これまでと同じ35oカメラでの写真に加えて、ドローンによる上空からの写真、そしてSfM用の写真が加わり、写真撮影の手間が増えたように思います。
 とくに、雲待ちしながらのドローンによる撮影は、ドローンのバッテリーのこともあるので、雲が出るまで、上空で長く待機させておくこともできません。
 35oカメラの場合、タワーの上で待機しながら、一瞬の曇りの合間を捉えて、シャッターを切ります。
 こうした旧来の手法に比べて、ドローンによる撮影は手軽でいいのですが、雲待ちをしなければならない場面では、ドローンを飛行させるタイミングがすこぶる難しいと感じた次第です。

 予定していた写真を撮り終えたので、明日以降、東トレンチでは実測作業に移行します。

 一方、南西トレンチでは、断ち割り部の全面で、地山を確認することができました(下左の写真)。
 黄色土の上に黒色土がのるのですが、そのいずれもを地山と認識しました。
 石材の集積は、その地山の上に堆積している灰黒色土層中にあるようです。

 この辺を明日再度確認し、トレンチ全面を清掃して、全景写真撮影に移行する予定です。



 ところで、今朝は霧で真っ白でした。
 下右の写真のように、通常では見える阿蘇五岳が、霧のためまったく見えませんでした。

 これを、大観峰などからながめれば、阿蘇谷が雲海に沈んでいるのかもしれません。



2023年8月27日(日) 10日目



 8月22日以来、5日ぶりに、雨の心配のない現場でした。

 そのせいか、はたまた合宿10日目にもなるからか、かなり体がだるい午後11時前の私です。

 でも、雨で1日中、休んだことはないので、天気には比較的恵まれているといえるでしょうか。
 さて、東トレンチでは、石材集積部の清掃、および分層、割り付けなどを実施しました。
 明日、全景写真を撮るつもりで、学生さんたちには頑張ってもらいました。

 しかし、分層に致命的な間違いがあるので、明日にその点を見直してもらうつもりです。
 盛土と地山、流出土の関係、、、層位学の基本中の基本です。

 南西トレンチでは、石材集積部の実測と並行して、トレンチ南半部の断ち割り作業を実施しました。
 すると、何と、2019年度調査では見出すことができなかった(おそらく、掘り下げ不足、、、)黄色の地山が検出されました。

 これ以上は決して下がらないので、明日以降、分層作業に移ってもらう予定です。


 今日、2019年度調査に参加した卒業生2名が激励に来てくれました。
 米30kgやメロンなどの差し入れとともに。

 私たちにとって、近い時期の卒業生が尋ねてくれることはとてもうれしいことです。
 感謝です。


 とても眠いので、今日はこの辺で、、、



2023年8月26日(土) 9日目



 上の写真は、今朝の様子。
 昨日の大雨の爪痕です。

 2日連続の、排水作業から始める現場となりました。

 今日も、若干の降雨と雷鳴のため、午後1時半頃から2時半まで宿舎に戻って待機しましたが、でも、再出動して、午後5時半頃まで目一杯、現場作業ができました。
 よかったです。

 さて、現場の様子です。



 上左の写真は、東トレンチの東端付近で検出された石材集積箇所です。
 昨日までは、2号墳の葺石が転落したものと考えていたのですが、そうとばかりは言い切れなくなってきました。
 石棺材にもなるような板石が数点、含まれているようなのです。
 はてさて、これは何?

 この石材集積部は、とても硬い黄色ローム層(地山)の上に乗っているようですが、でも、その石材集積部には若干の落ちがあるようで、そうした落ち部分に堆積したもののようにも観察できます。

 明日以降に、注意深く確認しなくてはなりません。

 上右の写真は、南西トレンチでのミーティング風景です。
 トレンチ下部の石材集積部を避けて、トレンチの南半部の断ち割りを始めました。

 すると、写真にも若干見えていますが、茶褐色をなすよくしまった土層が顔をのぞかせ始めています。

 南西トレンチでは、明確にこれが盛土であると根拠をもって判断できる材料がなく、はたまた、明確に地山であると判断できる状態にもないので、明日以降、断ち割りをさらに進めたいと思っています。
 当トレンチでは、土層解釈が大きな課題です。


 今日、熊本古墳研究会の数人が見学に来て下さいました。
 そして、土層の評価などについて、有意義なアドバイスをいただきました。
 心から感謝いたします。



2023年8月25日(金) 8日目



 二日連続、降られました。
 それもひどい雷雨。
 雷、、、怖いです。

 ちょうど昼の12時頃から雨に見舞われました。
 テントの下で、昼食当番がおにぎりをお椀に盛り付けたところだったのですが、現場での昼食はやめにして、お椀からタッパーにおにぎりを戻してもらいました。
 そして、あわててシートをかけ、撤収しました。

 今日は、かなり濡れましたが、宿舎に帰ってよかったです。
 宿舎に帰り着いた途端、近くに雷が落ちたような、ひどい雷鳴がとどろきました。
 そして、土砂降り、、、

 宿舎での昼食後、天気の様子をみるために、いったん待機、、、学生たちは昼寝、、、私はSfMのデータ解析、、、
 雨が上がったら現場に行って、少なくともシートにたまった水を抜きたいとも思ったのですが、いますべき宿舎での仕事も勘案して、今日の午後からの現場作業は中止としました。

 現場で雨に降られると疲れますねえ、、、


 さて、今日の現場。

 東トレンチでは、トレンチの中央から東側、すなわち、3号墳と2号墳のあいだの平坦地においては、その全体に黄色土が広がっていることが確認されました。
 また、トレンチ東端付近では、これまで確認されていた石材とは別の石材もサブトレンチ内から検出されました。さらに、土器の小片も確認されました。

 明日以降、黄色土まで一気に下げたいと思います。

 南西トレンチでは、昨日の雨がトレンチ内に入ったようで、石材集石部がかなり汚れていました。
 そのため、その部分の清掃から開始し、その後、写真撮影を行いました。

 ドローンって、本当に便利ですね。
 足場を建てなくてもいいのですから、、、

 でも操作にはまだ慣れません。
 今日、ドローンを木の枝に引っかけてしまいました。

 なお、下の写真がドローンで撮影した石材集石部です。
 明日、実測作業に進みます。





2023年8月24日(木) 7日目

 阿蘇山田地区恒例の地蔵祭の日。

 公民館に集まって地元の方が地蔵さんを囲んで食事を取られるので、朝は15分前倒しで準備して、男子部屋の片付けを行いました。
 地蔵祭の場所として公民館の男子部屋を利用されるため、男子部屋の荷物をすべて女子部屋に運び込んでおく必要があったのです。

 バタバタと片付けを行ったにもかかわらず、出発はいつもよりも10分早くて、8時20分となりました。
 皆、やればできるやないの!

 で、午後3時前。
 一天にわかにかき曇り、激しい雷雨となりました。
 慌てて撤収しましたが、その撤収作業の早いこと、早いこと、、、
 ここでも、皆、やればできるやん、と感じた次第。

 今年の実習調査で、現場で降られたのは初。
 車に乗り込む際は相当の雨脚でしたが、現場では樹木に守られ、また撤収作業が素早かったおかげで、濡れ鼠になるまでには至らず。
 その点はよかったです。


 さて、現場作業。

 東トレンチでは、2号墳の葺石が転落したものと推測される石材部を清掃し、写真撮影。
 デジタル1眼レフ、ドローン、そしてSfM用の写真と、撮影段取りが多くって、写真撮影作業がますます煩雑になって来たような、、、
 でも、便利になったのは確かです。
 左がドローンによるその写真です。

 南西トレンチでは、トレンチ最下部で検出された石材集積部の清掃、石材の洗い出しを行うのに並行して、その石材部実測に備えて、トレンチの割り付け作業を開始しました。

 SfMによるオルソ画像を下図に用いる実測ではなく、トレンチに対してオーソドックスに割り付けを行い(メッシュを切って)、手測りで実測してもらいます。

 実測の基礎を学び始めた学生さんにとっては、現場に方眼を作ってコンベックスと錘を用いて測点の計測を行い、方眼紙上に図面を描いていくという作業を経験することは、考古学の基礎技術を理解するうえできわめて重要です。

 そう確信しているので、MetaShapeでの処理が可能なパソコンも持ち込んではいるのですが、ここは、学生たちに頑張ってもらうつもりです。

 たとえミミズがはっているような下手な図になったとしても(ボツにするかもしれませんが、、、)、手測りでの実測作業を頑張って欲しいと思っています。


 今日、久保田慎二先生が激励に来て下さいました。
 夜も宿舎で私たちと生活を共にして下さいます。

 今、午後5時10分。
 大雨で午後3時10分に撤収してきて、地蔵祭のためいったん片付けた男子部屋をあらためて設営し直したあとの時間を利用して、ここまで書いてきました。
 これから温泉に行ってきます。


 今、午後10時過ぎ。
 夜のミーティングが終わって、みな思い思いの過ごし方をしています。

 今年の学生たちの特徴、、、
 男子は男子のみ、女子は女子のみで過ごすことが好きなよう??

 2年男子は台所でトランプ三昧、女子たちは女子部屋で、、、??



2023年8月23日(水) 6日目

 朝方までは雨が激しく降っていたのですが、朝食を終えた頃にはほぼ雨が上がり、30分ほど様子をみたのち、午前9時に現場へ出発しました。
 そして、1日中作業ができました。
 撤収は午後5時40分頃。

 朝、現場に行くと、東トレンチのシートには雨水がたっぷりとたまっていて、作業はその排水作業から開始しました。
 そして、昨日の調査日誌でも書いたとおり、東トレンチおよび南西トレンチとも、下方に拡張しました。



 左の写真が東トレンチ拡張部の様子。
 葺石と判断される石材ですが、転落したものであろうと判断できます。

 一方、南西トレンチでは、石材がまとまった状態で検出されました。
 右の写真がその様子ですが、板石のみならず、かなり幅のある石材も混じっています。
 そのため、たんなる箱式石棺ではなく、石室が破壊された残骸ではないかとの推測をしています。
 石室といっても、横穴式石室ではなく、出土する土器の時期を念頭に置くと、竪穴式石室の可能性があります。
 長目塚古墳前方部石室のようなイメージです。

 おもしろい成果なのですが、この石材の集積は、トレンチ幅に収まらず、かなり大きく広がるように思えます。
 そのため、この石材集石の全貌をあきらかにするためには、あらためてそれにふさわしい調査区を設定する必要があります。

 でも、今回それを行う余裕はなく、でも、一部石材を取り上げないと、石材下の様子が確認できません。

 まだ調査序盤なのですが、今回の調査を、どのような形で締めくくるのか、思案のしどころに到達したように思っています。

 まあ、淡々と、手順を追って進めるしかありません。
 明日は、トレンチの割り付けを行い、石材集積部の実測に進みたいと思います。



2023年8月22日(火) 5日目



 一日中、作業ができました。
 各トレンチでは、さまざまな進展が、、、

 上左写真が東トレンチ、右が南西トレンチの様子です。
 いずれも、ドローンによる撮影。

 まず、東トレンチ。

 トレンチの墳丘側では、墳丘面および地山面の確定をほぼ終えました。
 盛土や地山の様子は、6号墳の東トレンチや北トレンチの様子と酷似しているように思います。

 黄色土混じりの盛土が地山の黄色土層に乗り、その下には褐色ローム層の地山が確認できそうです。

 問題は、トレンチ東端付近で出土したかなり大きな礫2点といくつかの小礫(下左の写真)。
 2号墳の葺石だとは推測できるのですが、転落なのか原位置なのか?
 今のところ転落だろうと思っていますが、根石にもなるような大きな石材が並んでいるので、少々不審に思う気持ちもあります。

 ですので、若干トレンチを拡張して、その確認をしたいと思っています。

 一方の、南西トレンチ。

 墳丘側では80pほど下がっているのですが、明確にこれが盛土であると自信を持って判断できる状況にはありません。

 2019年度調査の西トレンチの状況とよく似ています。
 あのときも、迷いに迷って、自信がないまま分層したのですが、そのときの気持ちを思い出しています。

 2019年度調査で地山と判断した褐色系の土層が見られるのですが、いかんせん盛土と明確に判断できる土層が見出せずにいます。
 もう少し下がるのでしょうか?
 でも、あまりに下がると、墳丘の高まりが失われてしまいます、、、

 悩ましいのですが、断ち割りが必要なようです。

 南西トレンチには、それとは別の課題も浮上しました。
 上の下右写真なのですが、トレンチの西端部で、石棺材だと判断できる石材が重なって出土したのです。

 盗掘された石棺が破壊され、そのせいで散乱した石材が集積しているだけだとは思うのですが、でも、トレンチ壁に食い込んでいる状態なので、先に掘り進めることができません。
 また、万一なのですが、見ようによっては石材が並んでいるようにも見えますので、箱式石棺である可能性も考えて、明日以降、東トレンチと同様、こちらもトレンチを拡張して確認したいと思います。


 今日から、1名減って総勢12名。

 今時の学生たちが、楽しそうに談笑している姿が、何よりです。

 ところで、明日は1日中雨の予報。
 調査開始から5日が過ぎたので、いい休養日になるかもしれません。
 でも、晴れて欲しいというのが私の本音、、、



2023年8月21日(月) 4日目

 午後3時過ぎに雷鳴が近づき、ネットの雨雲レーダーを見ると、気象庁もYahooも3時半過ぎに雨雲が上空を通過するとの予報。
 雨雲レーダーによる近い未来の予報はよく当る印象があるので、すぐに撤収を決めて指示しました。
 約30分で、トレンチの養生、テントの撤収、器材の片付けを終えることができ、いつもよりかなりのスピード。
 やればできるやん!、とうれしかったのですが、午後3時40分頃に撤収して宿舎に戻っても、雨が降る気配はなく、、、

 雨雲レーダーの予報も、雨雲は南に逸れるというものに変わっていました。

 こんなとき、あと1時間ほど作業ができたのに、、、と大いに後悔の気持ちが迫ってくるのですが、でも、仕方なし。

 夕食の準備が終わり、そして温泉に向かうまでの時間、およそ1時間ほどの空き時間ができたので、その時間を利用して、学生たちは出土した遺物の整理や汚れた衣服の洗濯などを行っていました。

 日中の現場から夜の宿舎へという合宿生活の流れが、およそ身についてきたのかなあと、その姿をみて少しうれしくなりました。
 でも、現場ができたのに、、、という少しの後悔はあるのですが。



 トレンチの掘り下げは淡々と進んでいます。

 上左の写真は東トレンチ、右の写真は南西トレンチの作業の様子。

 宿舎当番を2名残すので、私とフィールドマスターを除くと、実際にトレンチ作業に集中して従事できるのは、多くても10名、しかも2・3年生ばかり。
 学芸員実習のため現場を抜ける3年生が今後さみだれ式にいるので、10名未満の日の方が多くなります。
 上の写真のような少人数です。

 今日の午後、この現場参加予定の14名が初めてそろいました。
 でも、明日に1名が抜けるので、次に14名がそろうのは11日後の9月1日。

 今年は、フルメンバーで作業をすることができない、夏の調査となっています。



 ところで、今日の南西トレンチでは、土師器高坏の坏部片が出土しました。

 流出土中なのですが、かなりの大型破片。
 上左の写真がその様子です。

 この破片の近くでも、いくつかの土師器片が出ているので、接合するかもしれません。
 整理作業が楽しみです。

 東トレンチでは、トレンチ北半部の断ち割り部にて、地山の黄色土が検出されました。
 ちょっと予想とは異なった位置だったのですが、明日、その辺りの精査をしたいと思います。

 早くも、東トレンチでは終わりがみえてきたような、、、

 一方、南西トレンチでは、上述したように土師器片がかなり混じるので、一気に下げることができません。
 掘っているのは、発掘調査が初めての2年生が主なのですが、何とか大胆かつ慎重に、掘り下げて欲しいと思っています。

 そうそう、山田区長の大倉さんに、トレンチのドローン撮影時に障害となるあすなろの枝を切ってもらいました。
 私たちでは決してできなかった作業なので、本当にありがたく思いました。
 心から感謝しています。

 明日、ドローンからの撮影の試行をしたいと思っています。



2023年8月20日(日) 3日目



 1日中晴れで、目一杯作業ができました。
 昨日は、夕方、雷鳴が近づいてきたので30分ほど早く終わったので、1日中作業ができたのは今日が初。

 左の写真が東トレンチ、右が南西トレンチです。

 慣れない学生たちがこわごわ掘っているので遅々とした進みです。
 でも、土師器片、須恵器片がチラホラ出土して、とくに発掘調査が初めての2年生は、とても小さな土器片でもとてもうれしそう。

 遺物が出てくれることは、うれしいことですが、夜の遺物整理の時間が長くなりそうで、今後、睡眠時間が少し心配です。

 掘り下げはまだ流出土を除去し始めたばかりといったところ。
 もっと掘削スピードを上げてもらわないといけません。

 そうそう、本日、大きな樹根を除去するため、電動のこぎりを購入しました。
 除去までにはかなりの時間を要しましたが、電動のこぎり、値段だけのことはありました。


 今日は、頭痛がひどくって、気分が悪いほど、、、
 この辺で、、、



2023年8月19日(土) 2日目

 トレンチを設定して、掘り下げを開始しました。

 参加学生数、そして3年生がほぼ抜けて初現場の2年生がほとんどになる日もあることから、トレンチ数は2本としました。
 3号墳東側の東トレンチと南西側の南西トレンチ。

 上段2枚の写真が東トレンチ、下段2枚が南西トレンチ。
 さて、明日からどうなるでしょうか?



 ところで、阿蘇では毎日温泉に行くのですが、2日目にして阿蘇駅前にある「夢の湯」へ行きました。
 女性陣は、初日から連続で「湯巡追荘」。
 2019年度までの学生たちは、なるべく安く温泉を済ませることに腐心していたように思うのですが、今年の学生たちは少し違っているのかもしれません。
 安さよりも快適を求める傾向にあるのかな?

 2日目の今日は、朝から夜まで通しての阿蘇での生活の初日。
 皆、少しでも慣れてくれることを願っています。

 下写真の左は朝のおにぎり作り風景。昼食用のおにぎりを作っています。
 右の写真は夕食風景です。今年はこんなに少人数です。




2023年8月18日(金) 初日

 今、夜の10時半。

 初日だから、4年ぶりだから、そして合宿での発掘調査が初めての学生ばかりだから、宿舎での生活がスムーズに進まず、、、
 夕食のスタートが午後8時10分頃となり、夜のミーティング開始が午後9時10分となって、すべてが遅くなってしまいました。

 初日から雨に降られたので、現場から戻ってきた学生たちの着替え手順、つまり畳を汚さない方法での着替えに手間取ったり(皆初めてだから仕方がありません、、、)、夕食準備に手間取ったり(完成がとても遅くなって、、、)、そして温泉からの帰宿が遅くなったりで、宿での仕事がすべて後ろ倒しとなってしまいました。

 まあ、でも、徐々に公民館での生活に慣れて、彼らなりの生活パターンができていくと思います。
 こうした集団生活、いまどきの学生たちにとってはどうなのか?、と言われることもありますが、今日のところは、なんとか無事離陸できたように思います。
 明日からの学生たちの様子を注視していきたいと思います。


 さて、今日は、朝7時に大学の考古学資料室に集合。
 明け方、大雨でしたが、大学で器材をトラックに積み込んでいるときには雨はほぼ上がり、10時過ぎに阿蘇に到着したときにも、雨は降っていませんでした。
 幸運でした。
 器材の搬入時に雨に降られたら大変ですから、、、

 私は大学にトラックを返す必要があるので、現場設営と宿舎設営は学生たちに任せて、昼前にいったん熊本市内へ戻り、少しの不足器材を買い足して、阿蘇に戻りました。
 およそ午後3時半頃だったでしょうか。

 それから私は、宿舎で洗濯機を設置したり、男子部屋を整理したりしていました。
 ですので、午後からは現場には行かず。

 明日、今日の現場設営の様子を確認したいと思います。
 明日の午後は雨予報なのですが、雨が降らないことを心から祈ります。



2023年8月8日(火) 10日前

 今日は8月8日(火)ですが、まだ前学期は終わっておらず、私(杉井)もこのあと5限目に授業があります。
 今年の前学期終了は8月10日(木)。
 昨今の大学は、16回の授業時間確保のため、夏休みがとても短くなっています。
 後学期開始が9月27日(水)で、夏休み期間中に集中講義や博物館実習が実施されますから、お盆休みも考慮すると、夏の発掘調査実習に当てることのできる期間はとても短く、1ヶ月確保するのにも四苦八苦しています。

 さて、今年度(2023年度)は、2019年度以来4年ぶりに、合宿にての発掘調査実習を行います。

 コロナ禍真っ最中の2020年度から2022年度までの3年間、学生たちと寝食を共にしての調査を実施することができず、自宅から通うことのできる現場を用意して、夏の発掘調査実習を何とか実施していました。
 その間、大学院修士課程学生の不在が続いたので(学部4年生で就職が決まるので、うれしいことではあるのですが、、、)、合宿での発掘調査実習に関するノウハウが完全に途絶えてしまいました。
 これまでの熊大考古のやり方を知っているのは私と小畑先生だけという有様、、、

 ですので、合宿による調査再開にあたり、相当な力業(ちからわざ)で、今日まで準備を進めてきました。
 学生たちに、難しい仕事を求めたこともあったかもしれませんが、何とか、現場・宿舎に持っていく器材については、今日でほぼ準備が終わりました。
 洗濯機2台も新品になりました(下右の写真)。


 調査現場は、2019年度以来の阿蘇市平原古墳群です。
 宿舎は、阿蘇市山田地区の公民館。
 準備段階から、山田地区の皆様、そして区長さんには、本当に親切に相談にのっていただきました。
 そして、合宿での公民館の利用をご許可下さいました。
 本当に、感謝の気持ちで一杯です。

 調査対象の平原古墳群南尾根グループ3号墳には、墳丘やその周辺に多くの倒木があったのですが、それらの撤去も現区長さんと前区長さんがお力添えを下さり、事前(7月20日)に実施することができました(上左右2枚の写真)。
 かなり大きな木が倒れていたので、学生だけでは到底撤去できなかったでしょうから、本当にありがたかったです。

 私以外、学生たちにとっては、初めての集団生活になるので、皆、少し不安そうにしていますが、始まってしまえばあっという間。
 また、今年度はひさしぶりに大学院修士課程の学生が在籍しているので、その彼女にフィールドマスターを任せますが、現場経験がほとんどなさそうで、心配げな様子。
 リーダーとして、また現場担当者として、合宿生活も、発掘調査も指揮してもらいますが、手を貸す場面が多々生じることは覚悟しています。
 でも、自分で考えて行動し、指示を与え、後輩たちの信頼を勝ち取って欲しいと願っています。そして、調査参加者を1つのチームにまとめ上げてくれることを期待しています。

 その大学院生の彼女も含め、調査参加者の考古学調査・研究能力のみならず人間力の向上に役立ち、またよい思い出として心に刻まれる現場になるよう、そして来年度以降にもつながるよう、気を配りたいと思います。

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