恐怖のカタカリダンス
宿のフロントに座っていた一人のインド人が話し掛けてきた。
「今日の夜、カタカリダンス見にこない?」
「え?あなたダンサーなの?」
「ううん、俺は歌手だよ。今日のカタカリはクリスマススペシャルさ。いつもは2人のダンサーしかでてないんだけど、今日はなんと4人出演だよ。見においでよ」
「ほう。それはまた。クリスマススペシャルとな。じゃあ行こうかな」
カタカリダンスというのはケララの伝統的な踊りで、パントマイムのように顔や手足のしぐさで物語を語る、というものらしい。インドに来る前からその奇怪な化粧とハリボテのような衣装の写真を見て、こりゃ見にゃならんと思っていた。しかもクリスマススペシャルだって!なんてラッキー。
カタカリが演じられるのは海辺の小さな椰子ぶきの小屋。ランプのともるほの暗い舞台で、役者がメイクアップするところから見せてくれるのだ。ココナツオイルと植物からとった色粉をべっとりと顔に塗り、紙でできた飾りを顔にはりつけ、何枚もスカートを重ねてボリュームを出し・・・。淡々かつ長々と行われたメイク(ゆうに1時間以上)が終わると、ようやくダンスが始まった。ひゅー!クリスマススペシャルー!
まずは女形が出てきて(カタカリは男性のみで踊られるらしい)一通りしぐさや表情の解説。とても繊細で微妙な動き。衣装もキレイ。しかし、いかんせん女形役の男の人がゴツイ。手とかむちゃくちゃでかいもん。はっきり言って、役者一同に楽器演奏群まで足しても、この人が一番ごつかった。ひょっとして女形に向いてないんじゃ・・・。 かーなーりうけた、「胸」を表すしぐさ。→
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、ボイン。
インド旅行中、えび夫妻の間で しつこく流行。 それにしてもこのアニメGIF、 でっかく作りすぎました。
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そして悪魔役登場。お鼻にポンポンなんてつけちゃって、あれカワイイと思ったのは最初だけ。舞台上からぐっとヤツににらまれるとめちゃくちゃコワイ。本気でぞっとする。突如「オーッ」と奇声を発しちゃったりするし、もういっちゃってる感じ。コワイコワイ、ひー。 ←目の中に植物の種を入れて充血させているそう。痛いやろ、それ、痛い!
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そして、血気盛んな武将(?)、もの静かな神様(カエル調)と登場。皆さんまっかっかに充血した目をなさっていて、見ていても痛々しい限り。 →カエル調神様
ストーリーはこんな風に進んだ。始めに出てきた女形が悪魔の目にとまり、お!いい女だぜ。あーれー、そんなご無体な!クルクルクル・・・(ほんとに腰の紐をクルクルやって女がまわされていた。インドでも同じだなあ、と変に感心)状態になったところに武将がやって来る。女を助けるために武将、戦う。悪魔、倒される。ああ、お約束のストーリーだな、と思った。しかし、ここからがインドの一味違うところ。
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戦っているうちに何だか武将エキサイト。倒れ付した悪魔のハラを裂き、顔を血で真っ赤に染めて、おめく。そ、そして、悪魔のハラに手をつっこみ、ハラワタをじゃんじゃん取り出して、食べている!!!!
ヒ、ヒドすぎる・・・。
え。固まる観客。クリスマススペシャル・・・・・ってこれですか?
その後、悪魔を食らった武将は何だか反省して、神様に許しを請うたりなんだりしていたが、もうあのハラワタのインパクトが強すぎて後の事は覚えちゃいない。悪いことしたら内臓えぐられちゃうんですね。そして食べられちゃうんですね。クリスマスなのに惨劇なんですね。
というわけで、とんだクリスマススペシャルであった。いつもはもう少し平和なのがあってるようなので、お子様連れの方はスペシャルじゃない日に行きましょう。子供は泣きます、うなされます。夫は何か知らんけど怒っていた・・・。
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