文字

ロゴ


線

Prologue('01/12〜'02/1月のたび)
その昔、シンガポールのとある南インド様式のヒンドゥ教寺院で、なぜかインド人(タミル人だった)につかまり、たーっぷりとヒンドゥの神様の話を聞かされた事がある。寺院内では夜の儀式に向け、女性たちが床に美しい模様を描いていた。そのカラフルなデコレーションと、もういいっちゅうくらい続くインド人の神様話が、「あなたはいつか南インドに行くのだ」という催眠術を、えびにかけてしまったのだった。

「インドに行くなんて俺を殺す気か。インドって言えば、カレーだろうが。毎日カレーで、俺のハラが無事なわけはなかろうもん」
という夫の抗議には、非常食として梅干茶漬けと醤油を用意することをもって解決したとし、南インドのすばらしい写真の数々を折に触れさりげなくちらつかせ、夫の口の形が「コ・・・」となった次の瞬間には珈琲をおいれする、という妻としての素晴らしい努力の結果か、なぜか自然と年末の南インド行きのチケットが手元に・・・。あらあら不思議だこと。

この頃、えび夫妻の住むアパートには一匹の猫が住み着いていた。もともとは子猫の時にガリガリの状態でやってきて、アパートのいろんな住民にいろんな食べ物をもらいながら、育ってきたやつだ。しかし成長とともに餌をあげる住民も減り、いつの間にかなんとなく、えび家にしょっちゅう通うようになっていた。

まあ一応野良とはいえ、2週間留守にして、ヤツはやっていけるんだろうか。通い家は他にもあるし死にはしないだろうが、帰った頃には他人(猫?)になってはしないだろうか。

そんな一抹の不安を抱えつつ、クリスマス前の日曜日に機上の人となったのです。

にゃんと夫



TOP