「闘鬼滅鬼倶楽部」

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 【 第 零零零 回 】

 いよいよトキメキクラブ・開始です.その助走として,今回は,未だ当サー
クルで勝手に伝説になりやがった方の偉業をお伝えしましょう.

 ある年の・コミケでの事だと思いねえ.


 《 恐 怖 ・ ス ケ ッ チ ブ ッ ク 男 》


 『スケッチブック・・・』

 いきなり,その男はそう呟きました.
 ウチの本の中身を見ることもなく・そう呟いたのです.

 私と・あむ氏,眠かったのが眠気がちょっと飛びます.

 スケッチブック・・・って・・・はぁ?
 た,多分・スケッチブックお願いします・だとは関連想起出来ます.
 しかし.

 男はそう呟いただけで,沈黙します.無礼です.非常識です.
 ムカつく私.

 ここは文房具屋じゃねんだよ.スケッチブックなら他で買ってこい・とでも
言ってやりましょうか.

 でもそれに耐えます.それくらい耐える程には,コミケとは準公的な場所で
あり,あたしゃ・大人なんです,ちょっとだけ.

 『誰に描いて欲しいんですか?』『・・・ 誰 で も ・・・』.

 殺すぞ・キサマ.

 信じられないでしょうが・居るんです.コミケってとこには・こ〜ゆ〜極端
な野郎が.
 当然・そんな物凄い方の要望を受け入れる程・私共は大人ではありません.
お帰り願います.

 『すみませんが・今日・絵描きの人居ないんですよねぇ・・・』

 奴・大人しく去りました.
 一応・絵描きのかなり端くれの私は居ましたが,居ないと嘘こいたのも私で
す.事態を穏便に済ませる為なのです.
 これは・正義です・多分.

 しかし.

 なんと・また・現れたりするのです.しばらくして.
 奴も流石に今度は少し考えてきた様です.

 『誰に描いて欲しいんですか?』『この・・・表紙・描いてる・・・人』
 『居ません』『・・・・・・』

 いや・ほんとに居ないんです.その本の表紙描いてる人は.その人はコミケ
自体に来てないんです・全然.結構名前だけなら通ってる・知る人ぞ知る魅力
的な絵の描き手なんですが.

 でも,居ないものは居ないのです.そこで帰れば良いのです,そ奴.

 『じゃあ・この人で・いいです』と奴はイラスト指さします.

 それ・俺のイラスト(爆笑).

 この人で・いいです・と本人の前で言ってしまったら,ワタクシ・御指名ア
リガトウガザイマス,粉骨砕身ガンバリマス・・・と言えるかいっ(笑)俺は
そんなに大人物じゃねえぞ.

 そりゃ・俺はお前の第一指名より落ちるよ.でも,ならば・この人を・でな
く『で・いいです』・・・いつ俺がお前に頼んだとゆ〜のだ・コラ.
 ここで,あむ氏の説教炸裂です.

 『で,いいです・は無いでしょう.相手の気持ちを考えて下さい』『・・・
・・・』

 奴は去ります.済みませんの一言も当然ありません.
 しかしそれに驚く程私達も初ではなくなってました.
 ここまでの人間なら・非常に稀少ですが存在します.

 が.

 三度・そいつは・現れる.

 これはドキュメントです.だから・凄いのですが.
 さて・奴ァ,今度は何を学んできたのでしょうか?

 『この人で・お願いします』そいつはまた同じ本の表紙を指さします.

 だから・その人居ないんだってば.

 『・・・だから・居ませんッ』『・・・・・・』
 流石に温厚で我慢強いあむ氏も少しキレかかっています.同時に怯えても居
たのでしょう.ちなみに僕はとっくにキレていました.だから無言です.

 奴の目付きが変です.と言うか,目は何やら虹色グラスしてたので,判らな
いのですが,ボディランゲージから,不満がアリアリです.

 奴は疑ったのです.こちらを.居るのに居ないと言っているのではないか・
と.その前に自分の行動を検証せい.

 『ほんとぉですか・・・』

 ぷちぷちとあむ氏の血管が切れる音が聞こえる様です.ちなみに私はとっく
に腰が抜けていました.いやん・恐怖ぅ.

 『そんな事で嘘付く理由は無いでしょうッ.大体・居たって・相手が描く気
 が無ければ・そういうのはしないんですよって言いますよッ!こっちも!』
『・・・・・・』

 あむ氏・正論です.ですが,既に奴は正論など,島とか紅茶とかとゆ〜認識
しかないのでしょうか?沈黙で応えるのです.

 『はいはい,居ませんから・あっち・行って下さい』『・・・・・・』
 あむ氏・喧嘩腰です.こんなに彼がキレかかっているのは,準備会の見本誌
チェックで,触手が男性器に見えると言われてしまった時以来かも知れません
ね.
 しかしそれは無理無いのです.

 何せ・奴・スケッチブック要求しながら・ウチの本・買ってません(笑).
 それだけでも人として・扱いは軽くなります.

 奴・考えます.考えています.

 『これとこれ・下さい』

 おや・買いました.これで,彼は客に昇格です.得体の知れないナニカから
得体の知れない客にクラスアップ.しかしそれでもまだ妖怪です.客として最
低ランクに辛うじて引っ掛かる程度です.

 『で・この人に・スケッチブック』『居ないってばッッ』

 なるほど.奴は自分がここで本を買ってないから差別されていると類推した
様です.

 『あのねえッ.もしここに居たら,買っても買わなくても,スケッチブック
 を引き受けるかどうかは,本人の問題なのッ.だから,買わなくても,差別
 なんかしませんよッ.以上』
 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 事・ここに到ると僕は笑いを噛み殺すのに必死です.
 勿論・僕が応対してたら・とっくに蹴りが出ていたでしょう.しかし傍観者
としては最高のコントです.

 『じゃ・この人で・いいです』

 だから・それ・俺・・・.

 『で・いいですと言うのは失礼でしょって言ってるでしょぉッッ?』
 『・・・居るんじゃないんですか?』

 居ます.居ますが・私・困ります・こんなの.
 しかし流石にあむ氏が,いよいよ人間の耐久性限界を越えてますのでここは
バトンタッチで私の応対です.

 『・・・え〜〜〜っっと・・・何を描いて欲しいんですか?』
 私・恐怖の余り妥協しています.非現実感に不必要な譲歩をしています.

 『・・・なんでもいいです・・・』『・・・・・・』

 私・考えます.なんでも良いって・・・.

 『あの・それでは困るのですが』『・・・』『何か具体的に言って貰わない
 と,ちょっとねぇ・・・?』『その人の絵ならいいです』『男でも?』『・
 ・・・・・』

 うまい!我ながら美しい切り返しです.
 奴・考えます.何かを考えています.

 『・・・んじゃあ・・・〜〜ちゃん』

 奴が挙げたのはロリキャラです.奴が指さしているのは春麗絵です.
 ちなみに私はロリはその本に一切描いていません.ロリは苦手なのです.

 『・・・いや・・・それは・・・あの・・・』『・・・』『・・・そういう
 絵が似合う人じゃないでしょう?その人』『・・・』

 ワタクシ・狡猾であります.他人の事の様に,尋ねます.この時,ちょっと
自己保身が私を防御し始めました.

 『・・・じゃあ・この絵のキャラでいいです』

 ブチ.
 私の横でキレた人が遂に吠えます.

 『じゃあ・その人も・いませんッッ!』『・・・』『それならば・居ないん
 ですッ!』『・・・・・・』

 あむ氏・秘肉・もとい・皮肉を言っています.おいおい・こんな字が一発変
換のトップに来る・俺って一体?
 『・・・本当に居ないんですかぁ?』

 最早,そ〜ゆ〜問題ではないのですが,奴はあむ氏の言葉の意味を推し量る
事無く,そうのたまいます.

 『居ても・居ませんよぉ☆』『・・・』『居ても・居ませ〜ん.そ〜ゆ〜事
 です.判るでしょお?』

 俺・応えます.爽やかに.

 それから・奴・内のスペースからちょっと離れてこちらを監視してました.
 数刻後,スペースからちょっと出ていたワタクシに近寄ります.

 『・・・本当は居るんでしょう?』

 ・・・ 一 体 な ん だ ・ お 前 ?


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